5月26日(日) 2013 J2リーグ戦 第16節
岡山 2 - 3 熊本 (16:03/カンスタ/8,356人)
得点者:21' 仲間隼斗(熊本)、48' 仲間隼斗(熊本)、65' 齊藤和樹(熊本)、89' 押谷祐樹(岡山)、90'+1 押谷祐樹(岡山)


何度も録画を見返してみましたが、”戦術的”にどちらがどう修正してきたのか、どうもはっきりとした潮目は見えませんでした。ただ熊本の運動量が徐々に落ちてプレスが甘くなったことと、これまでの得点の半分は試合残り15分で上げているという岡山の終盤の強さがあいまった結果かと。それでもなんとか逃げ切ったというゲームでした。

吉田監督は「もう5分あったら負けていた。1失点目は仕方ないが、2点目は人数をかけ攻めることが考えられない状況でカウンターを受けた。許せない。あれで負けていたら立ち直れない」(熊日朝刊)と言う。選手を責めるコメントをあまり見ないこの人にしては、よほど腹に据えかねたのか、随分厳しい言葉でした。

前節の栃木戦の裏返しのような。試合への入り方、メンタルの強さなど、まるで栃木から触発され、それを見事にお手本にしたようなゲームでした。

20130526岡山

岡山・景山監督が「(昨夏から無敗だった)ホームで戦えることもあり、心に隙があったとすれば、今日の熊本のようなチームには勝てないと痛感した」(熊日朝刊)というように。現象面ではセカンドの争いで熊本が圧倒し、ゲームを完全に支配する形で試合が進んでいきました。

もうひとつの前節との違いはファビオのスタメン。この試合での大きな存在感。岡山もプレスをかけてくるチーム。それでも、うまくいなしてダイレクトや長めのボールでつないでいく。ファビオにおさまる。正確に言えば、ファビオと齊藤のコンビネーションで、かなりなボディーコンタクトをしながらも、玉際の厳しさと、技術面で上回り、マイボールでおさめていった。序盤から(熊本にとって)ボールもゲームも落ち着いて見えました。

前半21分。中盤の争いからマイボールにすると、片山が仲間に出す。そのパスにうまく前を向いた仲間がドリブルで一気に仕掛ける。齊藤のプレスにも助けられ、粘りながら何人抜いていったのか仲間。Pアーク付近まで持ち込むと軸足を滑らせながらも右足を一閃。ゴール右隅に蹴り込み先制点を奪います。

後半3分には、高く上がったクリアボールを岡山DFが処理しそこなった。そこを齊藤が奪って右サイドを突進。PAゴールラインぎりぎりまで持ち込みマイナスパス。中央のファイビオのシュートはGKがパンチングで逃れるものの、詰めていた仲間がそれを押し込み追加点。

さらに20分には、齊藤が落として仲間が中央をドリブル。DFを十分ひきつけたところで追走してきた齊藤にパスを出す。左45度、齊藤は落ち着いて決めるだけでした。

積み重ねる得点。仲間の2ゴール、1アシスト。まさに仲間の日。

守りでは、相手の2シャドーはDFとボランチがサンドする。ボランチにはFWふたりとこちらのボランチが。3-4-3に対するひとつの対応が確立したかも知れない。

そして、無理をしない見切ったプレーに徹していました。高い位置で奪われること を最も警戒しながら。カウンターでいけそうな場面でも、“もし奪われたら”のリスク管理がなされるようになっている。引き際が潔い。これも進歩だと思いました。

さらに、小気味いいワンタッチパスでリズムを作る。持ちすぎない。球離れが実にいい。景山監督が「昨年からそれほどメンバーは代わっていないのに、スタイルはがらりと変わった」 (J's Goal)と言い、「前節の後半に見せたようなパス回しをやられるとまずい」(スカパー)と警戒していた熊本の姿がそこにありました。

岡山はマイボールになる位置が低く、攻撃への切り替えでボールと人が動く距離が長すぎて、熊本に易々と対応されてしまう展開。熊本の圧に押されてカウンターに転じる際のパスミスも連発します。

しかし、試合途中で3点リードしたからといって、まだひとつの勝ち点も得たわけではないのも確かでした。熊本の運動量、プレスがペースダウンしていく経過は、スカパー解説者が、時間をおって本当に丁寧に分析してくれました。その熊本のペースダウンと見事に相対して、岡山の攻撃が徐々に徐々に、それこそ生きたパスが一本づつ繋がりはじめ、ジワジワと活性化していく。そこがやはり、岡山が今この順位にいる理由だったのでしょう。

そしてその均衡は、実は後半の早い時間帯から崩れはじめており、多分、仲間の追加点後あたりからではなかったかとも思われます。あの得点は、相手DFの軽率なミスから。解説者の言うように、前の3人で1点とったような形でしたから。

70分あたりからは見た目にも主導権が移り始め。一旦移った流れは、なかなか押し戻すことが難しくなる。あと20分。どう戦うか。それが熊本の課題でした。

「疲れている選手を順番に代えていった」というのは吉田監督。堀米のスタミナ問題が常に熊本にはつきまといます。明らかに岡山は、“行けなくなっていた”堀米のサイドを執拗に狙っていた。熊本のブロックに開いた蟻の一穴。

ただ、堀米から藤本の交代が定番化しているものの、今日の藤本、うまく試合に入っていけたとは言えなかった。持ちすぎで、ボールを奪われるケースが目につきます。もちろん、試合をうまくクローズするために、”持つために”投入されているのもわかるんですが、うまくいかなかった。失点の起点になった石原へのアプローチにも不満が残ります。

怒涛のような岡山の勢いに押され、終了間際になってあれよあれよという間に1点差に迫られる。0-3から神戸に追いついたこともある岡山の終盤の粘り強さ、怖さを思い知らされる4分のアディッショナルタイム。ロングボールのキャッチに飛び出した南が、敵味方選手と激しく交錯して、もんどり打って倒れる。動けない。これは落ち方が冗談抜きに悪い。

時計が止められ、医療スタッフがピッチに入る。赤のサポーターが「雄太!」コールを延々と続ける。長い時間が費やされ、そしてようやく、なんとかゆっくりと起き上がろうとする南。そのときでした。岡山のサポーターから、そんな南に対して大きな拍手が送られたのは。

既に3枚の交代カードは使い切っていました。もし、このまま南が立ち上がれなかったら、フィールドプレーヤーがゴールマウスを守るしかない。そうなったら、残り時間わずかとしても完全に岡山に分があった。岡山にしては劇的な逆転勝利を手にするチャンスでもありました。しかし、岡山サポーターが、(ある意味時間を使ったともいえる)南に対して送ったのはブーイングでもなんでもなく、温かい激励の拍手でした。

試合後、アウェーに駆けつけたサポーターとともに勝利の「カモン!ロッソ」を唄ったあと、熊本イレブンは、当然のように岡山サポーターの元にも挨拶にいきました。この南へのスポーツマンシップ溢れる拍手に感謝すべく。そしてそれに応えるように、さらに岡山サポーターから湧き上がったのは「南コール」だったのです。

ヒーローインタビューに立った殊勲の仲間は、岡山のホーム戦15戦負けなしが、昨年の熊本戦から始まったことに触れ、「熊本で始まったから、今日の熊本で終わらせたかった」と、この試合に懸けた思いの強さを語りました。それは選手と同じく、間違いなくわれわれの思いでもありました。

けれどこうして激しいゲームを終えた今、その勝利の喜びとともに、それを超えた爽快感と深い達成感に思い至りました。今日のカンスタで見せてくれたフェアでクリーンなメンタリティ。素晴らしいサポーター。その圧倒される数。サッカーやっててよかったなあと。そしてまたひとつ大事なことを学ばせてもらったなと。ファジアーノ岡山。J参入5年目と6年目のほぼ同期。お互い切磋琢磨してきた.。今後も良きライバルでありたいものです。

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