6月29日(土) 2013 J2リーグ戦 第21節
熊本 1 - 2 神戸 (19:04/うまスタ/7,926人)
得点者:14' 小川慶治朗(神戸)、54' 原田拓(熊本)、90'+1 杉浦恭平(神戸)


一つのゲームが90分間トータルでの攻防であるように、1シーズンも42試合。山あり谷あり、浮き沈みは承知のうえではあります。迎えた第21節、ちょうど前半戦の最後の試合は、目下2位に位置する神戸との対戦。公式戦では初めての対戦でした。

20130629神戸

上位であり、J1からの降格チームであり、戦力的にもひとつ抜けているチーム。熊本は相手をリスペクトして、しっかりブロックを敷き、奪っては中盤を省略したロングボールを多用します。誰もが思ったように、熊本としてもゲーム観がはっきりして、戦いやすいのではないかと。この厳しい状況のなかで、この相手とやることで、ひとつシンプルに整理できるきっかけになるのではないかと思いました。

それでも、久々に当たったワンランク上の質感。神戸の個々の選手のスピード、切り替えに翻弄される序盤の時間帯。熊本も相当に集中しているのですが、それを上回る神戸のスピード。それは走るスピードではなく、プレー(判断)のスピード。中盤で貰った小川の前が空くと、ポポが真っ先に右斜めに走ってDFを釣り出す。ポポに預けた小川はすかさずそのスペースに走りこむ。ポポからのダイレクトの返球をトゥーキックを押し込みます。人は足りているのに着ききれない速さ。先制点の場面はその典型のような形でした。

早い時間に先制されてからの前半。いつものように2点目を取られるな、凌げ、慌てるなと、そればかり思っていました。ただ、相手の手ごたえも十分に感じているのか、もはや悪癖ともなったアンバランスな前掛かりの罠にはまることはなかった。もちろんそんな状況ではないし、神戸がそれを許さないというべきか。

中盤から完全にボールをコントロールし、ポゼッションで圧倒する神戸。自陣で完全にブロックを作って受ける熊本。わかりやすい構図。しかし、齊藤が、仲間が、「いつもよりは共通の意識でやれた」「全員が声を出して意思疎通ができて」と言うような、しっかりした守備の時間帯でした。

そして、粘り強く跳ね返し続けて行ったことで生まれた変化。徐々にそのスピード、そして高さに適応、順応していきます。奪われてからの帰陣も、横へのスライドも素早い。そのなかで攻守切り替えの応酬。次第に自信を取り戻していくのがわかります。熊本のパスがテンポよく回るようになる。
37分には左位置の堀米のFK。ファーの矢野が折り返すと、橋本がダイレクトで撃つ。惜しくもこれはポストに嫌われ、前半での同点機を逸しました。

そして迎えた後半。むしろ熊本側に攻撃のリズムを感じるような入り方。54分、オフサイドをかいくぐり、仲間が右サイドに持ち込むとゴールラインぎりぎりで切り返して時間を作る。ここぞとばかりニアに走りこんでいたのは原田。「打ち込めば何かが起きると思った」という仲間の速いグラウンダーのクロスを、左足アウトに掛けて押し込み同点としました。

たたみ掛けるように熊本はファビオを投入。ファビオが前で起点を作り、その後も再三のチャンス。しかし最後の詰めが甘い。

逆に神戸も、熊本のブロックを崩していくまでには至らず、交代カードを早めに切りながら打開をはかります。攻守が入れ替わる、というより、もっと微妙に攻守のバランスが変化するような時間帯。熊本は、ブロックを作りながらも、チャンスと見れば果敢に攻め上がる。ちゃんと人数もかかっている。相手のリズムやバランスを崩せば勝機は必ず訪れる。

しかし最後に訪れたのはPK。セットプレーという名前のパワープレーに屈してしまいました。まあ、その前のファウルがなぜ起きたかということからの”流れ”なわけで。いっぱいいっぱいの終盤の、あと一歩のところで後手を踏んでしまった。これは決してアクシデントではない。そう言えるでしょう。

敵将・安達監督は「アーリーヒットというか、空中での駆け引きというか、動き出しのタイミングとか、そういうのが気になりました。上手だったと思います」(J's Goal)と、FW齊藤が一番やっかいな選手だったと誉める。しかし、吉田監督は誰か個人を指しているのか、前線総体を言っているのか文脈からは読み取れませんが、「相手DFから抜け出すときのファーストタッチや、いい形まで持っていってもシュートを打てないなど、個人的な問題もある」(熊日)と、その先を憂う。確かにシュートで終われず、カウンターに持ち込まれる場面は、結果的に無事で済んでも、危ない局面。それが何度かありました。

決定力というより、決定機に持ち込む一歩手前のところ。今日対峙したエステバンのような知略に富んだDFの裏をかけるようなスピードとテクニック。たとえばファビオに関していえば、縦に入ったボールを受ける体勢を狙われていることは当然ですが、それをかいくぐるような成長を見せて欲しい。

「まだ半分」「もう半分」のリーグ戦。

4連敗で終えるという厳しい結果の前半戦。しかし振り返ってみれば、全然どうしようもないということではなく、持っている力を出せていないということだったと思います。持っている力を出しにくい戦いぶりであったというべきか。

このリーグ、強いほうが勝つではなく、勝つほうが強いでもない。少なくとも同じカテゴリーならば、賢いチームが勝つ、勝ち続けられる可能性が高いと思うし、もっとシンプルに言えばコンディションのいいチームが勝つ。そういうことなのでしょう。

前半の最終戦という節目の時期で神戸と当たったことが、後半を迎えるうえで幸いだった。そう思うのは、神戸をリスペクトするが故だったかも知れないとはいえ、守備の意識と組織を再構築できたのではないかということ。この成果をベースに、あとは攻撃を加味していける。そんな”標準”を得ることができた試合ではなかったのかと。冒頭に書いた「シンプルに整理できるきっかけに」なったのではないかということです。

そしてリーグは折り返し。今日スタジアムに参集したファンはおよそ8000人。負けが込んでいるのに来場者が増えている。そんな感じがしているのは、われわれのいつもの楽観論でしょうか?いえ、来場者が増えるかどうかは別にして、ファンが本気になってきている。いや、ファンにとってのチームの存在が少しだけ変化、深化しているような。それだけは間違いなく言えると思います。

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