7月7日(日) 2013 J2リーグ戦 第23節
熊本 0 - 3 松本 (19:04/うまスタ/4,139人)
得点者:43' ホドリゴカベッサ(松本)、52' 玉林睦実(松本)、80' 塩沢勝吾(松本)


前節の引き分けに関してわれわれは、連敗という「悪い流れを払しょくできたという意味では、重要な勝ち点1だった」と書きました。神戸戦で守備組織を一度整理し、ピッチコンディションの悪い愛媛戦をなんとかドローに収めて、後半戦さあこれから反転攻勢だという思いだったのですが。なんともまぁ、「まさか…」と呟きたくなるような不甲斐ない試合を見せられてしまいました。

朝から時折の激しい雨と、強い日差しが交互に繰り返す不思議な天候。試合開始の頃には、梅雨というよりすっかり夏空。気温は 28.3度と、スタンドには心地よい風が吹いていたものの、ピッチ上の湿度は 82%という蒸し風呂状態だったようです。

ホームとは言え、熊本は勝利から遠ざかっている。前節、水しぶきの試合から中3日の連戦。「大味な試合の後だったので、余韻が残りそうだった」とは、戦前の矢野のコメント。このカテゴリーにしてもなかなか切り替えが難しいというのも意外でしたが、フィジカル、メンタルともに相当に厳しい状況でのゲームというのが客観情勢だったのでしょう。

20130707松本戦

後ろでつなぐ熊本。後ろで徹底してつなぐ。ここで取られないことは分かるが、つなぐことで一杯いっぱいなのもわかる。

「後ろでの回しがうまくいかなくて、どんどん下がっちゃったというのが、攻撃がうまくいかなかった原因。ボランチも下がるし」(J’s Goal)と言うのは吉田監督。しかし当の原田は「暑かったので、相手の前線の選手を走らせようと最終ラインで球を回した」と言う。高橋は「僕らセンターバックがボランチやサイドの選手をもっと上げられるように(ならないと)」と。確かに堀米の位置も低かった。このあたり、監督も含め、チームの意思はどこにあったのでしょう。

「パスコースを制限されてうまく散らせなかった」(吉田監督)のは確かでした。松本の前線の3人が、高い位置からしつこくプレスを掛けてパスコースを限定する。「ボランチの横のところにどういう対応するかというのは、映像を見せながら少し話をした」というのは敵将・反町監督。中盤も含めて熊本対策を練っていました。今シーズンの自らのホーム開幕戦で1-2の敗戦を喫したことへの意趣返し。目に物見せてやるという強烈な意志は半端ではありませんでした。

果たして熊本側(吉田監督)の、松本に対するスカウティングはどうだったのか。

走れるのはわれわれのほうだ、Jリーグのなかで一番きつい練習をしている…。という、勝利したときほど饒舌ないつもの反町節。しかし、単純にスピードやスタミナで熊本が劣っているというのではないような気がします。ただ“走る”ことで90分間を、長いリーグ戦を通していくのは無理だし、無謀だし。

カウンターへの準備は出来ていた。失点の場面も人数は足りていた。一瞬の隙。ノーマーク。数的に有利でなくても、ちょっとした局面を強引に作ってしまう松本のエネルギー。そしてクロスの精度×シュートの精度。

いわば、動き出し負け。飛び出し負け。反町監督の言う“走る”は、決定的な動きのことと理解すべきなのでしょう。試合最終盤になってもその決定的な動きができること。おそらく常々、相手DFの死角になるように動き出し、飛び出していくことを徹底的に練習しているのだろうと思わせます。2点目の玉林の長い距離の駆け上がりなど、その典型ではないでしょうか。「キツかったけれど相手もキツそうだったので、走れば勝てると思っていた」と言う玉林。なんともけれん味のない言葉です。

われわれが、この局面で、この日のゲームについて何かもっともらしく、解説調で語っても、それはみんな百も承知でわかっているわけで。そんなことより、失点の仕方がいつもあっさりで、それがわれわれファンでさえ、がっくりと膝をつかせてしまう。

「人数は足りていた」なかでの今日の失点は、組織的に崩壊した北九州戦の場合と違って、個の責任も大きい。「今日は個人に与えられた仕事ができなかった」と矢野も悔やむ。

リーグ前半戦の総括をする熊日の連載「ロアッソ雌伏」の2回目(7月4日付)は、スカパーでホームゲームの解説する瀧上知巳・東海大九州監督のインタビューでした。チームの戦力面、監督の指導面など適切な指摘が並んでいましたが、特にリーグワーストの38失点を喫したDF陣には「はっきり言って、ぬるい」と手厳しいものでした。

選手の入れ替えを示唆する吉田監督。「(今後は)新しい選手を使っていくのも手。練習でモチベーションの高い選手や闘う姿勢の強い選手を選んでいきたい」と。しかし思うに、モチベーションや闘志だけではやっていけないのもこのレベルではわかっていることだし。何より、それって普段からやっていて当り前。それほどメンバーが固定していたということなのか。

「自信を失っている」状態なのでしょうか。監督も選手も。そしてわれわれファン、サポーターも。

いろんな批判や、タラレバや、ないものねだりが一斉に噴き出してきます。確かにもっともな意見もあるのですが、これまで、選手も、監督も、クラブもそれぞれにベストを尽くしてきている。無い袖は振れないし、今になって分かることだってあるし。一番怖いのは、ベストを尽くせない状況に”陥って”しまうことではないでしょうか。

今節のゲームで、0-3という同じスコアで千葉に敗れたG大阪。日本代表MF遠藤保仁は前半12分、23分、後半13分の失点に「相手に効率よく点を取られたのだと思う。下を向く必要はない」と言い、同じく日本代表DF今野は「効果的に点を決められたとは思うが、でもしっかり崩されての失点だったし、セットプレーから取られたのも問題。その課題は修正しないといけない」と受け止める。置かれた立場は確かに違いますが、非常に冷静なうえに、課題に向かい合おうとしています。

迷走するのが一番怖い。完全に降格圏に入ってしまうと別の話になります。それは、チームの存続に関わることになるから。

とりあえず、勝ち点を拾うことに集中してはどうだろうか。自信を失っている状況では何をやってもうまくいかない。悪循環というマイナスのパワーが働き始める。このマイナスになかなか抗うことは難しい。戦術をシンプルにして、出来ること、出来ないことを選別してはどうだろうか。そういう意味で、負けはしたものの守備を整理して戦った神戸戦をわれわれは一定の評価をしたかったのです。

「われわれはまだ何も手にしていない。何も得ていない」とは、よく言われるサッカーの言い回しですが、今の状況は、それとはまったく逆の心理です。

「われわれはまだ何も失ったわけではない」じゃないか!相手も同じカテゴリーのチームだろ!勇気を持って、最高のプレー、最高のゲームを見せてくれよ!と。

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