7月14日(日) 2013 J2リーグ戦 第24節
熊本 1 - 1 岐阜 (19:03/うまスタ/5,603人)
得点者:7' 堀米勇輝(熊本)、87' 森安洋文(岐阜)


サッカーも社会の縮図のようなものかもしれない。

監督を変えるのは、監督を変えたいから変えるわけでもなく、状況全体を変えたいから、もしくは、まったく違う部分も含めて変えたかったわけで。組織のなかで何かを変えるには、メンバーを納得させる理由が必要になる。監督交代というのは、そのもっともわかりすい方法論ということですね。

初めて経験する監督交代劇。まあ、新監督は、決して新しくない監督(笑)という意味ではちょっと違うかもしれませんが。変えるためにやったこと。果たしてどんな変化があったのか。なかったのか。

はっきりと変わったのは先発メンバー。ベンチの顔ぶれ。ケガの黒木、五領が復帰してきたことで、ずいぶんフレッシュになった印象。布陣も、片山が一枚前に出て。そして北嶋が先発に。ボランチは吉井、原田の組み合わせに。

20130714岐阜戦

一列上がったことで、「得点に絡む仕事をしないといけないと思っていた」と言う片山。効果は早速表れました。開始早々の7分、筑城とアイコンタントがあったという片山が、スローインを受けて前を向くと、ゴールラインぎりぎりまで鋭くえぐってマイナスパス。北嶋がニアにDFを引っ張ったところに、中央でフリーの堀米が決めた。渾身の得点といえました。

そしてゲーム中、目に見えた一番の変化は、中盤までの組み立てで、ボールを下げる場面がほぼ無くなったこと。「一度下げたボールは前に入れる(2回続けて下げない)」。新指揮官のそんなシンプルな指示が奏功していました。

そして何より変えたかったのは、「はっきり言って、ぬるい」と指摘されていた守備の対応。

このあたりの経緯は、11日付の熊日、植山記者の解説に詳しい。愛媛戦翌日、飯田強化本部長が吉田前監督に3点の要望を出したのだという。その一つ目は、「勝ち点1(引き分け)をベースにして勝ち点3(勝利)を狙う試合運び」。それはとてもクリアでわかりやすい。

要するに、1点先制したら(状況によっては)ある意味それを守り抜く。あるいは攻撃の突破口が見つからず、スコアレスなら、そのまま引き分けを狙う、というようなことでしょうか。面白味には欠けるかもしれないが、そんなことは言っていられない。チームの置かれた危機的な状況下で、チームとして生き残るために、敢えて出した緊急避難的な方針だったのでしょう。

今日のこのゲームで、ひとつ納得がいくのは、チームの意図したことが伝わってきたこと。それをピッチ上で実践しようとして、ある程度、実現できていたことではないでしょうか。

最終盤の残念な失点も、セットプレーということで、偶然性が高いように見えるのですが、既に足の止まりかけた状態で、いっぱいいっぱいの末で止めた結果がファウルの判定だったと。やろうとしたことの延長線上にあったことは間違いないとも言えます。

岐阜の行徳監督に対する試合後のインタビュー。記者は「前期対戦したときと今日とで、前からの圧力の面などの違いはどう感じていますか?」と、その”変化”について質問している。彼らも変化を知りたかった、確かめたかったのでしょう。

それに対して、「前半の時は非常にハイプレッシャーで、連動してきたと思います。(中略)今日は攻撃的な配置にしていて、前からプレッシャーをかけるというよりも攻撃に関して圧力があるなという印象を受けました」と答えた敵将。微妙な言い回しですが、戦った相手指揮官の正直な表現。受けて、攻める。あるいは、奪いどころは中盤。そのうえで、中盤でボールを下げない方針が徹底していたというわれわれの印象も、その言葉から裏付けられます。

ついでに言えば、先の飯田本部長の要望の残り2つは「攻撃時のリスク管理など守備の改善」、「チーム内の意思統一」でした。今日のゲームはこのあたりに尽きるだろうし、われわれも、このあたりがどれほど意識されて、変わっていたかを見届けようと思って見ていました。

ただ、池谷監督代行が、「1点とったら、前に前に行っていいかもしれなかったが、ちょっと引いてしまい、流れが向こうにいった」とコメントしているように、意思統一というより”試合運び”。そこに関しては、まだまだ自信を無くしている状態から抜け出していないとも感じられます。

開幕戦以来、全試合に先発出場の齊藤をベンチからも外し、しかしチームのサポート役をわざとやらせることによって、何かを感じさせようと試みた。まだ全体合流後、間もない黒木を使ったことは、橋本にも「出て当たり前」ではないことを感じさせたのではないか。そして急造ながらも、試合途中での3-4-3へのシステム変更というオプションを得た。週前半の監督交代劇からわずかな時間のなかで、そんな、ゲーム内外でも出来うる限りのあの手この手で、”変化”を与えようとしているように見えます。

変化は見られた。変化の”兆し”は確かに感じられた。結果は、「良くも悪くもない」(池谷監督代行)ドロー。でも、これがベース。これを基準点にして、まずは降格圏から少しでも浮上すること。決して悪くない。われわれは今、勝ち点23の18位。降格圏との勝ち点差は4。この場所から再スタートです。

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