9月16日(月) 2013 J2リーグ戦 第33節
熊本 2 - 1 東京V (16:03/うまスタ/6,102人)
得点者:29' 常盤聡(東京V)、37' 大迫希(熊本)、82' 齊藤和樹(熊本)


昨夜は、スカパー!オンデマンドで繰り返しゲームをなぞり(得点シーンと最後のカモンロッソのとこだけ…)。遅くまでJ’s Goalの選手、監督コメントが上がるのを待ち。そして今朝は、早起きして朝刊を開いてみると、何と1面に…。開幕戦でもなく、優勝したわけでもなく、長らく勝てなかった降格圏のチームが、久しぶりに勝った。ただそれだけなんですが。でも確かにその紙面はファンとしてはとてもグッとくるもので…。

4分間の長い長いアディッショナルタイム。残りあと30秒での東京のCK。もう見ていられない。思わず手を合わせる。ショートコーナー。片山が、大迫が、黒木が… 粘りに粘り、上げさせない…。終了のホイッスルと同時に、精根尽き果ててピッチにへたり込む選手たち。

大きな溜息を吐きながら、改めて思いました。楽に勝てることも、普通に勝てることもない。1つ勝つにはこんなに大変なのかと。身をすり減らすような運動量と、神経を削るようなギリギリの集中と…そして、ほんのちょっとのラッキーと。

20130916東京V

「前半は風があったから、全部プレッシャーに行こうと声をかけて、相手も嫌がっていたから、風が助けてくれた部分もあったと思います」と言うのは藤本。台風の余波ではないでしょうが、試合前半、うまスタには熊本にとって強い追い風が吹いていました。試合序盤で東京に主導権が渡ることを妨げるためのような追い風。この風、なぜか後半はスーッとその勢いを弱め、いつの間にか消えていきました。

試合後、東京Vのゴール裏からは選手たちに相当な檄が飛んでいたようでした。ヴェルディとしては、押されていた流れの中で、ワンチャンスを活かして先制に成功。ところが、降格圏に喘ぐ熊本相手にまさかこんな結末になろうとは。そんな思いがそうさせたのでしょうか。

しかし、ゲームを見守るわれわれとしては、先制された時間帯が早かったこともありますが、不思議なほど焦りもなく。選手も下を向いていないのが確信できた。なにより、前半のうちに同点に追いついたのが大きかった。それも流れのなかで。

左サイドを何度も崩していた片山が、中に切れ込んで、利き足でない右足で送るように出したバイタルを横切るようなパス。藤本がDFを引きつけてスルーすると、逆サイドから上がってきていた大迫が狙いすましたようにゴール左隅に突き刺しました。

前半終了間際に痛んだ筑城に代えて、後半から復帰したばかりの藏川を投入。そして藤本に代えて、これまた帰国したばかりのウーゴと、カードを切った熊本。対するヴェルディも、高原、森を入れて、なんとしても勝ち越し点が欲しい。

後半20分あたりから、誰もが熊本の足が止まり始めたような、集中力が薄れてきたような印象を感じました。しかし、ヴェルディも奪ってから持ち上がる段階でのミスが目立つ。重苦しい展開が長く続いた後半も37分、歓喜は熊本に訪れます。

黒木が前線まで持ち上がって敵DFラインを下げると、追ってきた養父に下げた。養父は右から走り込んできた齊藤にすかさずスルーパス。これを齊藤が詰め寄るDFをワントラップでかわすと右足を一閃。狭い狭いニアサイド、ゴール右隅に撃ちこみました。

「チャンスも多かったので決めないといけないですけど、最低限の仕事はできたかなと思います」と言う齊藤。最低限どころか値千金の仕事をしました。「一本決めればいいだろうと、開き直って打った」というメンタリティもエースらしくなった。

今日は、いや前週に続いて今日も、養父のゲームだったと感じました。追撃の同点弾の起点となる片山へのロングフィード、勝ち越し弾をアシストする齊藤へのラストパス。しかし、そういった結果より、随所で見せた必死のプレー、スライディング、ブロック…。初めてとも言えるトップ下、シャドーのポジションにも、実際にはやや低めの位置から、縦の動きで攪乱する。

「出られないときは悔しい気持ちが強かったし、勝つために熊本に来たと思っていたし、自分が持っているものを表現できないのはつらかった」と前週と同じようなコメントをしている。

最終戦まで毎試合このコメントを繰り返すのではないかとさえ思える。残り全試合で、これまで鬱積したものを吹き飛ばすような活躍を狙っているような。そんな腹の底から絞り出すようなコメント。チームは勝てない苦しさ、選手は出られないつらさがあった。選手とチーム。一体ではあるけれど、違う思いもある。

先週、行きつけの整体院の院長に、「天皇杯に限って勝ってしまって。大事なリーグ戦を戦うフィジカル面に影響が出ないといいんですが…」と言われてしまいました。ですが、その意見に同意することはできませんでした。

「今日はたくさんミスもあったけど、それをプラスに変えるようなモチベーションというか、雰囲気が皆にあったから、そんなにサッカーをした感じではないんだけど、気持ちとかがいい感じでボールに伝わったかなと」と藤本が言います。
ミスに近い形で先制を許しながら、それを跳ね返せたのは、ミスから萎縮していく悪循環が断ち切られて、選手の、チームのリズムが好転していくような、そんな兆しが感じられるから。

池谷監督代行も、天皇杯で勝ったということで「勝利のメンタリティというか、そういう部分は確実についてきてるんではないかと。不安よりも勝ちたいという気持ちが強くなったし、皆が勝てるという自信を持ってプレーしている、それがあの勝利によって以前より増してきていると思います」と言う。

90分だったら引き分け勝ち点1だった徳島戦。しかし勝敗の決着をつける天皇杯のレギュレーションは、チームを一体にさせ、PK戦で“勝利”という結果を引き寄せた。それは同時に、失いかけていた“自信”を取り戻すという大きな効果がありました。

それだけでなく「今日出た選手も十分遜色無く、誰が出ても変わらないという仕事をしてくれたので、そういう意味で全体のレベルが上がってきているし、気持ちも同じレベルにあるのかなと改めて思いました」と指揮官に言わせたのも、あの試合の成果ではなかったでしょうか。

勝ち点3の重み、大きさ。この位置で1つ勝てば、スッと順位が上がる。何かこう、フワッとした感じで「上がる」。そして、この位置のチームはなかなか連勝ができない。2つ3つ勝てば、アッと言う間に浮上できる。

戦いは水戸、札幌、富山と続きます。この苦しい戦いは残り9試合の最後まで続くのでしょう。目の前の試合に集中して、最終的にはそれが結果に結び付く、という正論ももちろんですが、ここにくると、ゲームごとの順位とか勝ち点とかがモチベーションになるのも確かです。(逆に作用することもありますが…)

ただ、そこに向けて、まだ「兆し」ではあるものの、いい予感を持って臨むことができる。まだまだケガ人は多いけれど、養父と大迫と、そしてウーゴと。それぞれがなんとか間に合ったのかもしれない。まさしく総力戦。決戦は今。

ファンもサポーターも、ともに戦う準備はできています。

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