9月29日(日) 2013 J2リーグ戦 第35節
熊本 2 - 1 札幌 (15:03/うまスタ/6,051人)
得点者:17' 齊藤和樹(熊本)、24' 上原慎也(札幌)、79' 片山奨典(熊本)


これはもう、「相性がいい」などという訳の分らないことを言ってもみたくなります。それほどに札幌とは「相性がいい感」が強い、強くなってきたと言っていいのでしょうか。今日の勝利も入れて、J2通算で5勝2敗2分。その戦績以上に、まだホームで負けていないということもあるのかもしれません。

指揮官がそれを言っちゃあいけないよとも思うのですが、「サッカーって面白いもので、ああいう内容で勝点3が拾える」とは池谷監督代行の弁。詳細に今日のゲームを振り返ったJ’s Goalのコメント。そのサッカーは「面白い」という部分をかなり深く、多面的に語っていて、これもなかなか「面白い」読み物になっていますね。

例えば「押し込まれるのが前提でゾーンを敷いたので、だけどどこで引っ掛けてどこで取るのかっていう意味では、押し込まれたことが2-1という結果につながったと思う」など。監督の頭の中では、一筋縄ではいかないゲームの全体像や色んな作用・反作用が絡み合っている様子を語ってくれている。それでも「粘り強くやるべきだし、やっぱり失点しないっていうところ」というのが結論のようなのですが。

20130929札幌

プレーオフ圏内まで勝ち点差4に迫っていた7位札幌の、この試合にかける気迫は相当のものでした。開始早々から、厳しく、執拗に前からチェックしてくる。内村だけでなく、前田、三上、荒野、はてはボランチまでからんで攻撃の圧を増す札幌に対して、熊本は押し込まれ続ける。ひとり少ないんじゃないかと思うくらいに完全に引いてブロックする熊本。相手をレスペクトし過ぎでは?と思ってしまうほど。

ただ、これは「ゲームプランとしては、しっかり5-4-1で守備のベースを作ってから奪って出よう」(池谷代行)というように、事前のプランとして守備的に進めるということがあったようですが。

降格圏にあって、残り8試合。先制されると非常に苦しくなるというのがわかっているなかでは、ある意味でトーナメントを戦うような極端な戦術も求められるということかと。

しかし、これだけ前から行かないと(行けないと)、常に最終ライン近い、低い位置からの攻め上がりになり、ウーゴが孤立してしまう形は前節と同じような。そして、前から来る札幌に対して、見え方としては徐々に「引っ掛けられて逆襲される」場面が続きます。

ところが、そういった攻勢の在りかとは別に先制したのは熊本でした。左サイド奥からのFK。大迫の得意な角度から入れたボールに、ニアで合わせた齊藤のバックヘッドが、GKも届かないゴール右隅に転がり込む。「非公開で行った27日の練習では、セットプレーを入念に確認」(熊日)したという。その成果を示しました。

ただ、すぐに同点に追いつかれると、後半の終盤まで、とにかく耐える時間が続きます。延々と同じパターンで熊本サイドを、まるで「包囲」するような札幌。

そんななかで、見ている側としてずっと気になっていたのは、選手交代、ベンチワーク。スピードや判断、明らかにコンディションが良くないと見えた吉井。マッチアップがうまくいかず、押し込まれ続ける右サイドの大迫。それにしても行かなさ過ぎるために、エリア内で高まるリスク。ここはどうにかしないと…。なぜ代えないのか。いつ代えるのか。などと考えながら。

「いくつか悩んだ部分はありました。(大迫)希のイエローもあったんで、早めに(黒木)晃平をというプランもあったんですけど、(吉井)孝輔の状態がかなりキツそうだったので先にそっちを代えて、あとはやっぱり1点欲しかったので、最後の所の希のクロスとか、攻撃の1発を捨てきれなかったというところで、少し躊躇しました」と言う池谷代行。攻撃か守備か。ギリギリの判断だったことがわかります。結果(まさに結果論ですが)、片山の決勝ゴール。直前のプレーで養父のヘッドにクロスを合わせたのは、まさにその大迫でした。

養父のヘディングシュートは敵GKがみごとに弾いた。しかし、こぼれ球に詰めたのは、逆サイドから駆け上がった片山。ウーゴも詰めていましたが片山の「OK」という声に反応して、自身はDFの引きつけ役にまわった。「前半も同じような形でウーゴがトラップしてしまった場面があって。2回目だったので気付いてくれたのかなと思います」という片山。利き足の左で、ファーサイドのネットに突き刺しました。

「あくまでうちは5-4-1ではなくて3トップ。守る時が5-4-1で攻撃のときはFW3枚なので、そこをやっぱり3枚になる状況をいかに作れるか」「ウイングバックまで入れれば4枚、5枚になっていく、そういう状況を作れるようなゲーム展開が欲しい」という池谷代行。その状況、時間帯は、お互いにスペースができ始める最終盤。その一瞬、その状況を作り出すための、そこまでの我慢、粘りが実を結んだということでしょう。

札幌の交代カードは、三上に代えてフェホ。そして前田に代えて岡本。それに対して「逆に向こうの交代で高さが出てきて、ある意味ラッキーだったかな」と言うのも池谷代行。「内村とか前田がいる方が、バイタルでのワンツーやフリックがあってちょっと気になっていたので、そこは代わってくれてラッキーだったなと」。

結果論ではあるにせよ、ここが勝敗を分ける心理戦だったのかなということ。

熊本のブロックを崩すという点では、札幌の攻撃陣はかなりの部分で成功していたわけで、得点にこそならなかったが、われわれも思わず目をつぶった決定機は、少なくとも3~4回はあったような。池谷代行自身が求める「ゴール前にごちゃごちゃ感を生み出すような…」。そんな見事な札幌の攻撃だったと思います。

しかし、それでも熊本は凌いだ。南のファインセーブはもちろんですが、エリア内の“ごちゃごちゃ感”のなかでも、最後に身体を張った。足を出した。クリアした。そうやって最後の最後に勝利を手繰り寄せました。

それは、内容で圧倒されながら、もう不器用で、不細工で、不恰好以外のなにものでもない勝利だったけれど。勝敗を分けたわずかな差は、冒頭書いた「相性」とかでは決してなく。たったひとつ。スタジアムの大声援の力としか言いようがない。

つるべ落としのような秋空に響く「カモン!ロッソ」の声。気のせいかも知れませんが、その声のまとまりが増してきて、ひとつの厚い束になってきているような。その壮観をわれわれも片隅から眺めていました。情けないことに、他会場の経過、結果を横目でうかがいながら(笑)。

残り試合について聞かれた片山は、「負けてないということを自信に、練習から意識を高くできるんじゃないかなと思います」と言う。

また、次につながる戦いができた。南は「前節の引き分けも大きかった」と。ホーム連勝。気がつけば公式戦4試合負けなし。あと7試合。こうやってひとつひとつ、気持をつないで最後まで戦えれば、結果はついてくる。そう確信しています。

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