10月6日(日) 2013 J2リーグ戦 第36節
富山 1 - 2 熊本 (13:04/富山/4,942人)
得点者:18' 高橋祐太郎(熊本)、27' 大迫希(熊本)、75' キムヨングン(富山)


リーグ戦連勝です。徳島、東京V、水戸、札幌、富山。これで天皇杯以来、5試合負けなし。何と4勝1分け。勝ち点1差の富山との戦い。勝っても順位こそ変わりませんが、われわれの精神衛生面は申し分ないといった感じです(笑)。

今節、熊本は3トップの一角に仲間を入れてきました。前節、札幌相手に勝利したものの、ウーゴ、養父、齊藤のトライアングルには正直不満が残りました。それは足元へのパスを欲しがるタイプばかりだったからかも知れない。今日は、仲間の裏への飛び出しに大いに期待が持てました。

対する富山は、池谷監督代行の言葉を借りれば、「前からプレッシャーをかけ、縦に速く攻める。うちが一番苦手にしているタイプ」。前節、ハットトリックで福岡を沈めた苔口には、うちも過去に煮え湯を飲まされたこともある。要注意人物でした。

20131006富山

しかし。「かなり厳しくプレッシャーにくると想定していたが、始まってみると前を向けたし、パスコースも見つけることができた」と吉井が言うように、試合開始から序盤、寄せも緩く、きちんとボールを持てる。いつぞやのエントリーで「まるで蛇腹のようだ」と表現した、変則的で流動的に数的優位を作るシステムではなく、4-2-3-1というある意味現在ではオーソドックスな布陣が、相対する熊本にマッチしたせいもあるのでしょうか。相手ペースにはまることなく、うまく、無難にゲームに入ることができました。

「富山は普通ならボランチにパスするケースでも苔口に出してきた」(熊日)と言う青木。苔口への飛び出しへのケアを第一に。要所のタテを入れさせない。「一度振り切られた」ところでは高橋がカバー。「祐太郎が頼もしく見えた」と青木も言う。だって、巻、高原、鈴木という元日本代表FWを連戦のなかで相手にしてきた。そして彼らと厳しいせめぎあいを重ねてきたのですから。

前節、札幌戦の試合後、「あくまでうちは5-4-1ではなくて3トップ。守る時が5-4-1で攻撃のときはFW3枚なので、そこをやっぱり3枚になる状況をいかに作れるか」「ウイングバックまで入れれば4枚、5枚になっていく、そういう状況を作れるようなゲーム展開が欲しい」と戦術を解説してくれた池谷代行。

今日も5-4-1の守備ベースではあるが、やや緩い相手の寄せに乗じて、3トップ、ウイングバック、ボランチまで連動して3枚、4枚、5枚で攻め込む場面が。

前半18分、右からのCK。大迫が蹴ったボールは、ゾーンで守る富山の守備から遠ざかるように弧を描く。それは、相手の頭ふたつ上、高橋の高い打点にまさにピンポイント。鋭いヘディングシュートは、GKが弾くもゴール内に転がり込みました。

前節に続いてセットプレーからの先制点。これは大きい。

10分後には追加点。富山・苔口がエリアに侵入。それを高橋がカットしてからの反転。吉井が、右サイドを駆け上がる大迫に出すと、ひとりDFを抜いた大迫が、角度のないところからニアに打ち抜く。素晴らしいシュート精度でゴールに突き刺しました。

さて、この試合もお互いの交代、ベンチワークが戦術に直結して、戦況を微妙に、また、大きく変えていった試合でした。

まずは、開始早々の原田の怪我というアクシデント退場に対する高橋の投入。吉井を1枚上げ、高橋を投入という立体的なシフト変更。養父を1枚下げる、もあり得たのでしょうが、守備ベースの基本線に則った交代と思えました。その吉井、高橋が攻守に絡み、単なる交代以上の効果を生み出していく。

そして、ハーフタイム、富山のDFヤン・ヘジュンからMFソ・ヨンドクの交代。これによって富山は、4バックで熊本の前線、中盤とのミスマッチが生じていたシステムを修正。後半、富山の攻勢のきっかけを作った戦術変更でした。

さらに、後半14分、熊本は仲間から筑城への交代。縦横に動きまわり、球際の強さも際立ち、間違いなく”躍動”していた仲間を、残り時間30分の段階で交代。5-4-1でブロックしていた熊本が、今度は4バックに変更します。ちょっと受けに回るのは早過ぎないか、とわれわれは思いました。しかし、より重心を後ろに、サイドのケアもしながら、“確信犯”で守りきる決断をしたような。そんなメッセージの交代だったのかもしれません。

後半22分に、富山は「最終ラインに圧力をかけられる、走れる選手」として村松をチョイスします。「熊本は札幌と対戦した前節、相手が長身のフェホ選手を入れたことで逆に楽になっていた。それもあって動きのある選手を中心にチャレンジすることにした」という敵将・安間監督のスカウティングによる判断でした。

さらに「5バックの両サイドを引き出し、中央のDFと勝負する状態もつくれたと思う。それによって村松のプレーも生きた」「相手の動きが止まってきた時に三根を入れ、押し込んだ状態からのクロスで得点を狙わせた」と言う安間監督。まさに、熊本が4バックにしてサイドを閉めようとした意図とその焦点が符合します。

熊本は後半29分に疲れの見える大迫に代えて齊藤。押し込まれる状況のなか、残り15分を前線からのプレッシャーや”溜め”で押し戻せればという意図でした。

しかし、直後の後半30分にキム・ヨングンの豪快なミドルで1点を返される。ボランチまで最終ライン際に押し込まれた状況のなか、あの距離を入れられた仕方ないとも言えるような、南も届くべくもない見事なシュートでした。

押されっぱなしの熊本。最後の最後まで危ない場面が続く。今日もおもわず目を覆うようなシーンが何度あったでしょう。しかし、アディッショナルタイムも3分、右からのクロスに中央で合わせた三根のヘディングが枠を外れたところで、ようやく笛が鳴ってくれました。

結局、後半45分を守り切ったようなゲーム。「ここ何試合かは押される中で球を足に当てたり、(体を)寄せたり、耐えることができている」と言う指揮官。最終的に、熊本は自ら重心を下げて、リスクはあるが、中途半端なスペースを消して、身体を張って守る戦術を選択している。それができると。今は、その集中力があると指揮官は言うのでしょう。

何より降格圏内から脱するためには、この窮地から這い上がるためには、キレイ事は言っていられない。取れる勝ち点は必ず取るという強い意思。苔口に絶対裏は取らせない。枠内のシュートは絶対ブロックする。「試合内容はともかく、勝点3を持って帰ろう」と、結果に徹した熊本。一丸となった執念が勝利をもぎ取り、自力で富山との差を4に広げさせました。

ほっと一息ついていいでしょうか?

次週は天皇杯・広島戦。得失点差ではありますが、前節J1の首位に再浮上した広島。これから当たるリーグ上位陣との戦いの前に、その広島の圧倒的なスピード感を受け止めるのも、次につながる。いい意味での切り替えになる。

そんなゲームになれば…。なんかまた、天皇杯がいい流れを作る契機になるような気がします。


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