ストーブリーグの人事情報に一喜一憂し、思いは来季に飛んでしまって…、それは辛かった2013年シーズンのことから目を背けたいからに他ならず。しかし、辛くてもやはりこのブログの恒例として、今シーズンのことを記録として振り返っておかなければいけませんね。

毎年キーワードとして使ってきたのは、「今季積み上げたものは何か」ということだったのですが、今シーズンあえて言うなら「降格の危機を経験したこと」になるのでしょうか。これが、来季からの熊本にとって前向きの経験値になれば、決してこの1年も無駄ではなかったといえるのですが。いや、無理やり言っているのではありません。ポジティブにそう思いたいということです。

思えば、3年間の高木体制を終え、全く新しい監督を迎えた今シーズンの開幕前。その期待は高かった。チームの雰囲気がいい。戦術が継承されている。テストマッチの内容もいい。例年よりケガ人がいない…。今思えば、あまりにも根拠が薄いものだったにもかかわらず、「去年の同じ時期に比べて、今のチーム状態はかなり良い」という藤本主税のブログの言葉を頼りに、勝手に妄想だけを膨らませていたのかもしれません。

開幕ホームで鳥取に逆転負けを喫すると、続く千葉には力負けで連敗。松本戦で強風を味方につけてようやく初白星を飾ったものの、その後は引き分けが続き、どうも強さに確信が持てない日々が続きました。

長崎に無様な負けを喫するとその後は敗戦続き。ようやく、相性のいい札幌戦から続くゴールデンウィークの連戦で気を吐いた。5月6日、0-3で圧倒したアウェイ徳島戦は、今シーズンのベストゲームと呼べるかもしれません。

しかし、その後も不安定な戦いが続く。徐々に、徐々に増えていった故障者の数が、それに拍車を掛けました。

リーグ戦を戦うクラブを初めて指揮する吉田監督としては、ここが正念場でした。自分の戦術に当てはまる選手を、いわば無尽蔵に選んでこられる年代別代表の指導者と違って、限られた選手層のなかで必要になる現実的な戦い方。敗戦のあとも1週間後にはまた試合がやってくる課題修正の切迫感。

あの北九州での大敗。止まらない失点と、迫り来る降格圏。そして遂に、大雨のコンディションのなかでの愛媛の引き分け劇(引き分けを良しとせず、攻撃的に向かったこと)が決定打となって、クラブは吉田監督に退任を促しました。

監督交代という大きな勝負に出たこと。熊本にとっては初めての経験、そして賭けでした。その大役を任せられるのは、このクラブの立ち上げから関わる池谷社長の他にはありませんでした。

その賭けに勝った。

このクラブを九州リーグからJFL、そしてJ2へと導いた池谷監督代行は、とにかくまず引き分け勝ち点1をベースに、そのうえで勝ち点3を目指すという現実的な目標を立て、降格圏からの脱出、順位浮上を目指しました。

就任後の第2戦の栃木戦で勝ち点3を奪ったものの、8月18日に群馬に敗れるまで、実に4試合が引き分け。勝ち点1を粘り強く積み重ねていきます。

ただ、それでもまったく気を緩められない戦いが続く。下位チームの試合結果が気になる。なんとか降格圏を逃れられそうだと思えるようになったのは、10月、札幌、富山に連勝したあたりだったでしょうか。いや極度の心配性のわれわれですから、もっとそのあとだったかもしれません。

その間、吉田前監督がそのキャリアを活かして新制度で呼んできた堀米、橋本が重要な駒となり、またしかし二人とも故障を経験した。池谷監督代行就任後の第1戦となった岐阜戦で得点できなかったことが、北嶋に引退を決意させることになった。

最後の最後まで、先制されると下を向いてしまったり、プレスが強いと恐れてしまうメンタルの弱さは克服できず、歯止めのきかない大量失点の癖も直りませんでした。

武富、廣井が去り、その穴を埋めることができなかったこと。期限付き移籍選手に依存するチーム構成。それは、クラブの財政の問題もあるし、さらに言えば、前回のエントリーでも触れたように、ファン獲得のために有名選手の獲得にこだわりすぎた。長期的なチーム作りにつながらなかった、つながっていない現状を示された年でした。

ただ、クラブの歴史でワースト記録となるリーグ19位という、今季これほどの結果であっても(またさしたる無料動員試合があったわけでもないのに)、観客動員数は昨年を上回り、確実にファンが拡大していることも明らかになりました。勝っても負けてもホームチームの試合を観にいく文化が定着してきた。

齊藤や、仲間といったチーム生え抜きの若手たちが活躍を見せたのも明るい兆しといえます。

そしてこのオフシーズンでは、J2の他のチームから完全移籍で即戦力と思える的確な補強が行われているように見える。新たな方向に舵を切ったように思えます。

経験値は決して無駄になっていない。その差は目に見えるほど大きくはないのかも知れませんが、やはりクラブとして積みあがっているんだと思える。今後もそれを見ていきたいと思います。

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