4月5日(土) 2014 J2リーグ戦 第6節
横浜FC 0 - 1 熊本 (16:03/ニッパ球/3,719人)
得点者:35' 齊藤和樹(熊本)


土曜日夕方のゲームに勝つと、週末の夜、こんなにも安らかに眠ることができる。久々の感覚でした。

20140405横浜

前節・千葉戦を受けて、ファンのだれもが同じ気持ちだったと思いますが、今日の注目はただ一点、ゲームへの入り。最初の10分。突き詰めて言えば、各選手、ファーストコンタクトはどうか、ということでした。

プレスは“はまる”と強力な武器だけど、剥がされると、戦術の根っこが揺らいでしまう。チーム全員で、ピッチ全面で追っかけないと意味をなさないわけで。

「プレッシャーをかけ続けていって、プレッシャーを掛けていけば(横浜FCはそれを)外す能力は持っているので、一回外されて、二回外されて追うのをやめたらリズムは向こうに行ってしまう。それで、泥臭く何回もやっていく、それでミスを誘っていくようなプレーというのはジャブのようになっていったかなと思っています」。そう小野監督はこの試合を振り返りました。

序盤20分ほどの主導権の奪い合い。まさにジャブのようにじわじわと効き始め、徐々にゲームを支配し始めたのは熊本。

この試合の”変数”のひとつだったのは、Jリーグの審判員交換プログラムで来日したイングランドの主審。確かに確固として”フェア”ではあるが、微妙にリズムが違う。横浜35、熊本21。計56個のFK。笛で止まることの多いゲームだったことは間違いない。ちなみに昨日のJ2の試合、少ないほうで言えば長崎―北九州、山形―愛媛が両チーム合わせて20でした。

激しいプレーであると同時に執拗なプレーは、相手が嫌がるプレーでもあるわけで。横浜プレーヤーのゲームへの集中を削ぎ、それは方向を変えて審判へのストレスに向かい、熊本へのパワーを弱める結果となったように見えました。横浜はその点で弱みを見せてしまったということではないかと。

「なかなかうまくいかないところで、いらだちというか、メンタル面のコントロールが出来ていないというところが見られた」と、敵将・山口素弘監督も認めます。

この試合の貴重な決勝点となった1点は、前半35分。これは何度も練習されたプレーではなかったのでしょうか。中盤で組織的に奪ったボールを養父がロブでDFの裏に出す。走り込んだのは片山。ゴールラインぎりぎりまでえぐってマイナスパス。そこに齊藤が詰めて、DFよりもGK南よりも早く触って押し込みました。完璧で美しい、崩しからの得点でした。

90分間を通して、激しくボールにコンタクトしていった熊本。“ファウル覚悟”という微妙な表現もありますが、ファウル自体が目的ではないし、確信犯的にファウルを狙っているわけではない。しかしプレーはあくまでも激しく、そして執拗で、息を抜かず、ひとつの例外もなく追っかけ続けた。激しくいくのは勇気がいる。何より相手も、自分もケガのリスクは高いのですから。

ファウルを取られても、犯しても、ほとんど動じないか、まあ申し訳程度にアピールはするが、大半は次のプレーに気持ちもカラダも動いていくのが今季の熊本の良さ。だから56回もゲームが中断してもゲームに向かう集中が持続できる。そこのメンタルは明らかな変化、成長。相手との戦い、自分との戦い、それ以外のものと無駄な戦いをしないということ。

三ツ沢での横浜FC戦は、あまり悪い印象はないということもありますが、しかし、あの千葉戦からわずか一週間でこのプレーぶり。同じことは繰り返さないというのは確かにそうなんですが、逆に、ここまで“闘うチーム”に修正してくるというのは、どういったプロセスがあったのか。

確かに、報道でも小野監督はこの一週間、「原点に帰ろう」と呼びかけていたといいます。あの開幕・福岡戦で見せた、組織的なプレス、攻撃への反転、守備への素早い帰陣といったような「チームの原点」に。しかし、単に言うのは容易いこと。実際に、その”闘う”メンタルをもう一度持ち直させた方法は何だったんでしょうか。そこが興味深いところです。

69分の橋本、76分の中山。これを決めていれば、という決定機だったのですが、“決定力”などという得体のしれないスキルを云々するより、もっとチャンスを増やしていくというわかり易い戦術理解。決してフラストレーションは溜まらない。とは言っても、あれだけの決定機を外してしまうと、どんよりいやな空気が漂ってくるのですが、そこで退場者が出て、残り時間を守りきる、勝ちきる、ということではっきりしたことは、不幸中のさいわいでもあったかも知れません。

交代する岡本に対して「ファウルは多かったけれど闘ってましたねえ」。同じく、ピッチを去る仲間には「いや、よく走りますねえ。今の熊本では走らないとピッチには立てませんけどねえ」。さらに90+2分あたり。自陣ゴール前でセカンドを拾って単騎、左サイドを、相手を引きずるように、相手陣内深く攻め上がる齊藤にも、「闘いますねえ…」とは、スカパーの試合解説の渡辺一平さんのコメント。相手ホームの解説者からの言葉は掛け値なしと受け取りたい。ピッチを見渡して、事実として見えたものなのでしょう。

南、市村、渡辺匠・・・。懐かしい、っていう感じだったけど。今はそれどころじゃなくて・・・(笑)。

J's Goalの横浜側のライター松尾真一郎氏は、ゲームリポートのタイトルに「熊本が超ハードワークを武器に心技体の全てで試合を掌握」としました。

追加点こそ奪えなかったけれど、虎の子の1点を死守して、初の完封試合。試合運びにまだ難はあるとはいえ、新・守護神の畑も当たってきたし、全員で粘り強く守り切ったその結果を称えたい。もしかしたら、今日、目にしたのはオフからリーグ序盤戦へと積み上げ、目指してきたことの、ひとつの答えになる戦いだったのかもしれない。そんな気持ちにさえなってしまう内容を感じましたが、では、今日の戦いを、どんな相手に対しても臆することなく仕掛けられるのか。はたまた、これからどんな進化を見せてくれるのか。いずれにしても、今はちょっといい気になっているわれわれです。


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