4月20日(日) 2014 J2リーグ戦 第8節
山形 1 - 2 熊本 (17:04/NDスタ/5,766人)
得点者:43' 園田拓也(熊本)、64' 齊藤和樹(熊本)、83' 川西翔太(山形)


この日、仙台からの育成型期限付移籍のGK獲得が発表されたものの、この試合での控えのGKは、選手登録されたばかりの加藤GKコーチ。44歳の新加入選手はしかし、ベンチの裏でアップに励むわけでなく、いつもと変わらず監督の横でボードを使いながらスカウティングしている。この一試合だけの、万が一の措置だったことが理解できます。

今日の相手は山形。現状、下位に甘んじてはいるが、感覚的には、ひとつ上の力を持つチーム。いまひとつの状態の時期に当たるのは、かなりラッキーというのが実感でした。

20140420山形

いつも通りの激しいプレス。当然のことながら、山形からも厳しいプレスがかかってくる。一歩も引かずこれに応じる熊本。しかし、特に気張っているということでもなく、試合の入り方としては非常にスムーズ。剥がされないようなクレバーなチーム戦術。サイドでは人数をかけてさらに厳しく奪いに行く。これも板についてきたような感じがします。

プレスは、それだけをうまくやろうとしても成り立つものではなく、攻守両面でのテーマ。お互いにこれを剥がし、剥がされる攻防。

しかし、「前半はワンタッチパスで相手のプレスを結構外せた。プレッシャーはあまり感じなかった」と言うのは藏川。スカパーの解説者いわく“スピーディ”にワンタッチでいなし、剥がす熊本に対して、見た目、一瞬の判断の遅れで熊本の網に引っ掛かる山形。リズムが作れない。そして、高いラインを敷いた山形DFを何度も裏返して走らせる、スペースを狙った長めのパスも相手のリズムを微妙に狂わせていました。

状況的には互角とも言えましたが、うまくいってない感じは山形側のほうが強かったのではないでしょうか。まあ、今の熊本にとって、”うまくいってない感”などという感覚表現はあまり適切ではなくて、うまくいかなくて当たり前、うまくいくまで続ける、という”信念”のようなものがある。失敗してアタマを抱え、いつまでも“うまくいってない感”をアピールする選手もいなくなった。

なかなかに戦術的な攻防が激しく、見応えがあったこの前半。そして、いい時間帯での先制点。左コーナーキック。仲間から岡本とパス交換。岡本がクロスを上げたファーサイドに構えていたのは園田。頭でズドンと突き刺す。

「たとえば、ショートコーナーを仕掛けて、相手が出てきたらここが空く、逆にそこを塞いできたらどこかが空く、咄嗟の判断を楽しめという感じで、この前も遊びながらやってたんですが、相手を見ながらのセットプレーということで言えば狙いどおりだったかもしれません」(J's Goal小野監督コメント)

”とっさの判断を楽しめ”とは、また小野監督らしい、新鮮な表現でした。練習通り、方針通りに繰り返してきたCKが(またもや)実を結んだ。もうひとつ言えば、その前のセットプレーから続いて得たCK。その仲間のドリブル突破から得たファウルが起点。仲間は現在、J2で被ファウル数がトップとのこと(スカパー解説)。ボール奪取から強引に前を向くあのプレーは、ファウルで止めるしかありません。

2点目も同じ。確かにこのカテゴリーではあってはならない相手のミスではありますが、齊藤にとっては、(われわれが何度も見てきた)何度も何度も繰り返してきた状況下のプレー。前線からのプレスの一言では片づけたくない”宝石”のような一瞬。うまくフェイクを入れながら、硬軟取り混ぜたプレッシャーを掛けて追いつめた。心理戦も垣間見えたこのプレー、おそらくは繰り返し繰り返しシミュレーションしてきたのではないでしょうか。この一瞬のために…。

今日のこの2得点。結構なインパクトを感じます。

なかなか思うようにはいかないのがサッカー、特に攻撃面では。たまにしかうまくいかないこと、本当に数十回に一回あるかどうかのプレー。しかし、それならそれを数十回繰り返して結果を取っていこうということ。しつこく。諦めず。

こうして少しずつ結果に結び付いてくると、さらにチーム戦術に対する信頼感、求心力が高まってくるのではないでしょうか。自分たちがやっている(やってきた)ことは間違っていない。感情的な盛り上げでもなく、心理面のマネジメントでもない、本当の意味でのチームの一体感が固まってくるような。

後半途中からの巻、ファビオの投入は、前線からのアグレッシブな守備と、相手のセットプレーにも高さで対応するためでしょう。篠原を入れて完封して、彼のモチベーションを保ちたかったのが監督の意図ではなかったのでしょうか。

残念ながら終盤の失点が続きますが、ここで「ゲームの終わらせ方がまずい」などと綺麗ごとのような批評を言うつもりはあまりありません。

あの状況下で、ホームゲームで0-2のビハインド。これはもう山形としてはありえない展開だったはず。山形のチーム力からすれば当然の反撃力だったと思いました。それより、これまでの熊本だったら、同点に屈していただろうと。そういう意味では、クリア一辺倒だったとはいえ、不恰好だったとはいえ、逃げ切れる力がついたのだと。こうやって、勝ち点がもぎ取れていければ、結果はついてくる。これで山形との対戦成績も3勝2分3敗の五分になって、苦手意識も払拭されました。

3連勝。一気に勝ち点9が積みあがりました。今週もまた“いい気に”なって一週間が過ごせる幸せ。新緑の季節とも重なって、束の間の我が世の春。

さて、次はホームに現在、堂々2位の長崎を迎えます。42試合のなかの1試合などという素っ気ない話ではない。これはもうリーグ前半戦の最大のイベント。勝ちたい。絶対勝ちたい。小心者のわれわれらしく、ドキドキしながら週末を待つことにします。集結しましょう。

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