4月26日(土) 2014 J2リーグ戦 第9節
熊本 1 - 1 長崎 (17:04/うまスタ/7,355人)
得点者:35' 澤田崇(熊本)、90'+1 古部健太(長崎)


多分、あと2分も凌げば…というアディショナルタイムでの失点。スタジアム全体に悲鳴のような、ため息のような、何とも言えないガックリ感が。“この一戦”とかなり気を張っていたわれわれは、もうヒザが折れ、腰が立たないような状態。

それでも、試合後のインタビューで小野監督のコメントはポジティブでした。「勝点3は取れなかったんですが、シーズンの中では大きな財産になったんじゃないかなと思います」と。

われわれもなんとか気を取り直し、そして思いました。確かに、実に凄いゲームだったなと。当たり前のように走り続ける両チーム。見た目の運動量もスピードも、そして精度も落ちていない。ベストゲーム候補に挙げるべきものかもしれない。

20140426長崎

勝った試合の後は、メンバーをいじらない。それがこの世界のセオリーのように言われていますが。長崎とのこの試合、小野監督は、GKにわずか一か月の期限付きで熊本にきたばかりのシュミット・ダニエルをいきなり起用。そして篠原、原田、ファビオと、前節からスタメン4人を入れ替えてきた。高木監督が「…驚きは全くないんですが、僕の中では『なぜ?』というクエスチョンがあって…」と語った、このゲームのひとつのポイントでした。

これについて小野監督は、「ここから2週間で5試合、そこをチーム全体で戦わなければならないということ」を理由のひとつに挙げます。しかし、GWの連戦に対するターンオーバーというのはわかるにしても、それは、連戦を戦いながら、選手のコンディションを見極めていってからでもいいんじゃないか? めったにお目にかかれない4連勝を狙う試合、長崎とのこの一戦でなくても? と、戦前われわれに思わせました。

しかし、これもまたスカウティングを得意とする高木監督を意識した部分が少なからずあったのではないかと。「今は誰が出ても、変わらずにロアッソのサッカーを貫いてやってくれる」「メンバーを変えてやっていっても行けるかなという手応えを私が感じた」ということは確かに結果としてもあるのですが、それ以前に、高木監督の裏を、裏の裏を狙ったのではないかと邪推してしまいます。

ただ、われわれはかなり強く意識していた“長崎とのこの一戦”という特別な心理。そして、もしチーム、選手たちにもこの特別な意識があるとすれば、それは試合の変数として意外に大きな要素になってしまう。しかし、少なくとも我が小野監督には、微塵もそんな意識はないということだけはわかる。

肝心のゲームはといえば、前節・山形戦でも感じたように、試合開始から序盤、時に応じて、明らかに意識的に“多めに”相手DF裏に打ち込んでいきます。長崎の術中にはまるリスクを減らすために、また、長崎にリズムを作らせないように。敢えて、空中戦を大目に演出していく。

そんな戦術的な要請からのファビオの起用だった、みたいなことも理由としてはあるのでしょう。けれど、どうもそんなことより、何かもっと違う思考が働いているのではないか。そんな気がしてなりません。時間軸の取り方が違うような。

とにかくこのゲームで4連勝を狙っていく。GWを見通して選手起用を考える。当然、それもないはずではなかったでしょう。しかし、これらが一手先、二手先とすれば、「メンバーを変えてやっていっても行けるかなという手応えを私が感じた」というコメントには、さらに十手先、二十手先を見据えるために必要なことだと言っているように思われるのです。それが、アディッショナルタイムで同点に追いつかれて、悔しくはないはずなのに、冒頭のコメントになったのかと。

長崎というチーム。中盤で引っかけられて奪われると、2枚、3枚とダイレクトで連動して、あっという間にゴールまで運ばれてしまう。縦にも横にも素晴らしく速い。しかも目の前で見たように、その2枚、3枚の連動の精度が非常に高い。2試合続けて、終了間際に追いつく持久力。走力。こんなサッカーがやりたかったんだろう高木監督の理想のもとに、メンタル面も含めてかなり完成度の高い印象がします。

ただ、対照的だと思ったのはハーフタイムでのコメント。「同じミスを繰り返さないこと」というのを見ると、いかにも高木氏らしい気がしてなりません。叱咤激励という言葉からすると、高木監督が使う手法は「叱咤」。

一方同じ“ミス”という件に関しても、千葉戦で、「できることを1つのミスで捨ててはいけない 」と言った小野監督は、常に「激励」。選手のプレーを否定することなく、よりよい方向にアドバイスするというのが信条。この日発した言葉も、「全員でハードワークのたすきをつなげよう。」「魂でプレーするぞ!」などという、気持ちが溢れ出るようなものでした。


さて、先週来、アスリートクラブの株主総会後のリリースで、チームの財政状況と7000万円の増資、およびロアッソ熊本存続支援募金の実施が伝えられています。この件に関するサポーターミーティングも行われたようです

まさに“チーム存続の危機”にほかなりません。こうやって普通にリーグ戦を戦って、いいゲームができて、勝ち点も積みあがって…。ついつい忘れてしまいがちでしたが、債務超過という現実から遠ざかっているわけはなく。

先週の熊日によれば、株主総会後の記者会見で、池谷社長は債務超過の原因を問われ「組織として体をなしていない時期があった」「運営体制にも問題があった」と述べ、過去の経営陣の責任を明確に指摘しました。もちろんいまさらそれを言っても仕方ない(リンクは貼りませんが、就任当時のわれわれのエントリーを探してください)し、その経営者ひとりの責任ということでもなく。その経営者を起用したことや、その問題のある運営体制を許していたことにも責任はあるわけで。まあ、これからの活動を考えれば、一度は公式に説明しておく必要があると判断されたのだと思います。

しかしながら、リーグから示されたタイムリミットは8月。増資の引受先のメドを問われて、「まだない」ということは、株主、スポンサー企業にもまだ説明されている様子ではない。われわれには見えないいろんな事情があるのだとは思いますが、クラブライセンス制度が導入され、財政状況のこの課題を期限までに解決するには増資以外の選択肢はなかった。時間がありません。これまでの経緯から、増資の方針を打ち出すには慎重にならざるを得なかっただろうし、相当の企業努力をしてからでなければ言い出せない、ということも想像できるのですが。

出来うれば、この先、まさに十手先、二十手先を見据えた財政基盤の立て直しを構想して欲しいと思います。チームも運営会社も、誰のものでもない、われわれ熊本県民の“宝もの”。くまなく情報公開し、深々と頭を下げ、中途半端ではなく、堂々と支援を要請するべきであると思います。

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