5月31日(土) 2014 J2リーグ戦 第16節
熊本 2 - 0 富山 (14:03/水前寺/3,580人)
得点者:34' 岡本賢明(熊本)、39' 養父雄仁(熊本)


前節、讃岐に敗れて5連敗中の富山。開幕前、七城での練習試合で見た富山からしたら、こんなに不調なのが不思議で仕方がない。養父も戦前「いまの順位を見て試合をやると痛い目にあう」(ERGOLAZOweb版)と警戒を怠りませんでした。

もちろんこちら熊本も7試合未勝利。引き分けてはいるが、勝てていないことは同じ。お互いに多くの課題を抱え、何より、どうしても勝ちたいという気持ちが溢れ出るようなチーム状態なのに違いはありませんでした。

しかしながら…。確かに、勝った。勝ち切った。押し切った。とは思ったけれど、それはそこまでで。突き上げるような喜びではなく、なんかホッとしたというような。

熊本もこの間、決して下を向いていたわけでなく、ひとつの答えを求める生みの苦しみのような状態だったわけで。まさに今日の勝利という結果に対しては「勝点3というものでチームの成長とやっているサッカーに対する自信、それからさらに1歩前に出て行く力というものが絶対に必要」と小野監督が言うように、さらに先を見据えた受け止めというのが正直なところでしょう。

「今日は、前半はいつも通りに入れて、後半から自分たちの時間をどれだけ長くするかが課題だった…」と園田が振り返るように、熊本の課題は明確でした。この点は、監督も選手も、そしてわれわれファンも共通していました。

そしてこの課題は、戦術、メンタル、フィジカル…様々な要素が複雑に絡み合ってはいますが、少なくとも、リーグ戦の今のこの時点で“決定力不足”とか“守備に不安”などという掴みづらいものではなく、チーム全体がかなり先に進んだ結果としてこの課題を共有できている。“成長したなあ”と実感させられます。

20140531富山

試合への入り具合はいつも通りアグレッシブ。はっきりと主導権を握りましたが、その後は「局面局面では非常に技術があり」「どんな試合でも必ず決定機を作っている」(小野監督)と警戒していた富山のシンプルなサイドへの展開に後手を踏む場面もあり、防戦にまわる時間帯もありました。

しかし、「リードして後半に追いつかれるという展開が何回かあったんですけど、今週はそれに関して、特に紅白マッチで激しくやって、しっかりと課題を克服してくれて、この試合に臨んでくれたんじゃないかと」と言う小野監督。練習の意識もそこに集中していたことが分かります。

さらに「勝利に貢献できてよかったなという気持ちと、これで油断して次から勝てなくなるのも怖いので、しっかり危機感を持ってやりたい。」とは、この日先制点をあげた岡本。ベテランのこの言葉、すでに次へ向けてのメンタルを具体的に方向づけています。

そして、この試合のもうひとつのエポックは、上村周平。チーム創設10年目、ユース出身選手が、初めてトップチームの公式戦に出場機会を得たこと。われわれは、決して大げさではなく、チームの歴史に新たな、大きな一章が書き加えられたと感じました。全くゼロの何もないところからスタートした下部育成組織。選手本人の努力はもとより、関係の方々のご苦労に心からの敬意を申し上げます。

それに何の何の、顔見せ程度の出場などではなく、まだまだ時間はたっぷりあるという場面。戦術的にも、“今日の課題”をクリアできるかどうかの胸突き八丁の時間帯での投入。いやむしろ、どっちに転ぶかわからない“今日の課題”を熊本に引き寄せるための切り札として起用されたようにも見えました。

激しいボディコンタクトから何度もボールを奪取。プレー選択の判断は的確で、チームのリズムを加速させる。視野の広さとセンスを見せつけるような正確なサイドチェンジ。ゴール前の巻へのピンポイントのクロスはあわや初アシストか…と。待てよ…。上村が送ったクロスに巻が飛び込む…。熊本のサッカー今昔物語がギッシリと凝縮されたような瞬間。思いもかけずこんな凄いシーンが目の当たりに…。一瞬、思考が止まってしまいました(笑)。
ああ…。なんて幸せなんだろう…。

1995年、益城町の生まれ。18歳。これはもう、この年寄りの胸が久しぶりに高鳴ります。ワクワクです。

そして今日の小野語録は、なんといってもハーフタイムのコメント。「誰もいない芝生を味方に」は、かなり深い。

「もらいたいスペースにあまり早く入りすぎるな。相手を引き連れてそこに入ってきちゃいけないと、できる限り空けて、最後の瞬間まで空けてからそのスペースを使えと。」
試合後、丁寧に解説してくれましたが、なかなか想像力を駆り立ててくれる言葉です。われわれは、試合の終盤近く、“この誰もいない芝生”に大きく展開することで、相手の最後のスタミナと戦意を挫くような、そんな意図さえ感じてしまいました。

高校総体の余波での水前寺開催。30度以上の酷暑のなかでの14時キックオフのゲーム。しかし、澤田のスピードは終盤になっても全く衰えず、巻は「このくらいの暑さが心地よい」(スカパー)と言ってのけました。そうか、彼らはそれこそ高校時代、この暑さのなかの熊本で総体を戦ってきたのでした。(その当時から準決勝、決勝は、この水前寺競技場でしたね)。地元出身選手が多いという特徴は、意外にこんなところでチームの強みになってくるのかも知れません。

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