6月7日(土) 2014 J2リーグ戦 第17節
北九州 1 - 1 熊本 (17:03/本城/3,702人)
得点者:24' 小手川宏基(北九州)、43' 齊藤和樹(熊本)


「…何とか勝ち越し点を取りたかった。勝たないとここのスタジアムではいい記憶にならない。」(片山奨典)
「やはりチームとしてあの悔しさがあったので、絶対勝ってやろうという気持ちはあった。」(齊藤和樹)

ちょうど一年前の6月15日、その場所も同じ市立本城陸上競技場。0-7という歴史的な惨敗を喫した北九州との対戦。その後、チームは降格線上を彷徨い、監督交代という非常事態に…。雨で再試合となったホームでの後半戦でもリベンジは果たせず。だからこそ、この一戦にかける思いは格別のものがありました。

監督も、そして多くの選手が入れ替わってはいるものの、実際にピッチで戦った選手たちにとっては、一年たった今でもあのゲームが残した傷は深く、きちんと“始末”をつけないことには悪夢にうなされるような感じなのかもしれない。

いやむしろ、それはファンにとっては、なお一層のものだったのかもしれません。本城のアウェイゴール裏をきれいに赤く埋め尽くし、明らかに(スカパーの画面を通してみた限りでは)その応援のリズム、声量、迫力で完全に上回っていたのですから。

前節、富山を相手に久々の勝利を手に入れた熊本。勝利の結果論としては、先制し追加点をとれたこと、でしたが…。

20140607北九州

ゲームへの入りは、小野監督が「途中までは相手が引いてきたので、ボールを動かしながら引き出して裏を取る動きだったが、崩せていてビッグチャンスは数多く作れていた」と言うように、先制は時間の問題かなと思うくらいに、次々と決定機をつくりだす熊本。

が、しかし、これまた、あのシュートが入るのか…、というような北九州・小手川のゴールで先制を許してしまいます。小手川の持ち上がりに対して、ズルズルと下がり、まさか打ってはこないだろうという一瞬の気の緩み。

「崩して打ったわけではない。あの位置まで行けていたので、思い切って打ってみた」と本人も言う。前半24分。

ここ最近のゲームのように中盤での激しいせめぎあい、主導権を巡っての攻防…というような厳しい入り方ではなかったのが、逆に災いしたのか。

「…前半はボールホルダーへのアプローチが遅かったり、十分に寄せきれていない場面もあった」(畑実)
「今日は守備がちょっと不安定だったかなと思う。人に対して強く行けなかったり、1対1で後手を踏んだり、そういうことが少し多かったかなと思う。」(片山奨典)

確かに、ゲーム序盤、攻勢に出てはいたが、本来の熊本のスタイル、サッカーだったのかどうか。選手たちは、そんな微妙なリズムの違和感を感じながらプレーしていたのかもしれません。

さて、先制され、しかもああいうゴール…。いやな記憶は押さえつけようとしても、ムクムクと頭をもたげてくる。

しかし、まだまだゲームは序盤。この時間帯で先制された以上、まず二点目をとられないようしっかり落ち着きたいところ。しかし、なんだろう、今日の北九州、“ここが勝負”というような追加点に向けての圧力が感じられない。序盤の攻勢でやや息が切れかけていた熊本に落ち着く時間を与えてくれたように感じました。

時間の問題と思っていた熊本の得点は、前半43分。スローインの流れから、中山のクロスに齊藤がゴール前で競って首を振った。ボールは左ポストぎりぎりのところでゴールに吸い込まれました。

「…チャンスを作ったのでそれを得点に持って行かないといけない」と言う小野監督に対して、「精度を上げることと、それで入らないならもっとチャンスを作らないといけない」とコメントした齊藤和樹のゴール。練習していた形だという。

前半のうちに追いついた熊本。ハーフタイムでの小野監督は「ここからとどめを刺すところ。必ず勝利を持って帰ろう」と、選手を鼓舞しました。しかし、北九州は“熊本の課題”をスカウティングしていたのでしょうか。それはまさに後半勝負をうかがわせるような試合運びに転じます。

意表を突くようなダイレクトプレーを織り交ぜ、次々にペナルティエリアに侵入し決定機をつくり出すのは北九州。これを何とか持ちこたえ、押し返す熊本。攻守が目まぐるしく入れ替わり、中盤でのセカンドボールのせめぎあいは激しさを増す。

後半27分、 岡本→巻の交代に対して、後半30分、原→大島で応じる柱谷監督。さらにこの北九州のベンチワークに対し、後半37分には、なんと藏川→矢野、中山→キム・ジョンソクの二枚替え。

「相手がロングボールでヘディングを起点にしての攻撃をしていたのでシャットアウトしないといけない。それで矢野選手を入れたがどうしてもDFを入れると引き分け狙いのメッセージを与えてしまう危険性があるので、一番前の推進力、前へ前へゴールに向かう選手が必要という意味でも…」と小野監督。確かに、ヘディングで勝ててないなあ、とは思いながらみていましたが。うーん。深い…。こんな手もあったか…。

後半40分にはさらに長身の山之内を投入してきた柱谷監督でしたが、明らかに制空権は矢野にありましたね。高さに備える。高さを加える。両監督の選手交代の思惑が、とたんにゲームをオープンで、パワープレーの応酬のような様相に変えていきました。

結果は互角。

前節に続いて、後半勝負の相手を押し返して、ギリギリの勝負ができたことは、熊本の課題に対して、またひとつ確かな成長をみせてくれたと思います。先週の練習で、かなり調子を上げていたといわれるキム・ジョンソクのデビューも観られた。残り10分というわずかな時間でしたが、巻とのコンビネーションにはワクワクさせられました。またひとり、確かな戦力を得ました。

因縁の本城、北九州戦ですが、リベンジ論議はもう十分でしょう。大差のゲームも、勝ち負けは一時のもの。昨年の惨敗のときにも、むしろああいうゲームの後の振る舞い、言動こそ、チーム、サポーターがどれほどのものか、その正体が透けて見えるような気がしたのを覚えています。負けた側も、勝った側も。

今日のゲームは、勝ち点3をとれなかったけど、完璧ではなかったけど、ゲームに向かったチーム、サポーターの意気と成長を感じさせてくれた。北九州は昨年以上にレベルアップしている。しかし、われわれもさらに成長している。それが感じられた素晴らしい九州ダービーでした。

試合後のゴール裏で、選手たちにねぎらいの拍手を送る満員の赤いサポーターたちを観ながら、「次こそ勝とう」ただそれだけ思いました。

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