7月5日(土) 2014 J2リーグ戦 第21節
熊本 0 - 3 岐阜 (19:03/うまスタ/5,550人)
得点者:34' 高地系治(岐阜)、84' 遠藤純輝(岐阜)、90'+2 益山司(岐阜)


試合終了のホイッスルが吹かれ、選手たちがうなだれ気味にゴール裏に向かうとき、どちらかというと選手たちに”優しい”ことで知られた熊本のゴール裏から、これまでにないようなブーイングの嵐が巻き起こりました。

零封3失点。まあ、われわれファンの心境としても、3連敗ということと、4点、4点、3点の合計11失点と。字面の結果だけ見れば同じように最悪の3試合がごっちゃになってしまって、言いようのない失望感に襲われ、頭を抱えてうずくまっている状態というところ。3失点目を喫した後には、席を立つ人も多かったのですが、それを止める気持ちにはなれませんでした。

しかし、待てよ、そんな感情的な対応だけに終わっていいのだろうか…。

20140705岐阜

試合後の小野監督の会見。「選手達は頑張っていると思いますが、大量失点での3連敗、何が一番の原因でしょうか?」という記者からの問いかけ。まあ、これだけの負け方が続けば、誰しも“大量失点での3連敗”、“何が一番の原因か”とひとくくりにしてしまって、同じような結果とそれに共通する原因探し、という単純な図式にしてしまいがちなのは致し方ないところでしょう。

しかし、この質問に対しての小野監督の答えをきちんと整理して理解したい。
「京都戦は、残念ながら大黒選手の動きに対応しきれず、ある程度いい戦いはできたんですけどかき回されたという感じがありました。それがちょっと尾を引いて、前節はボールに行くのができなくなってしまって…」「前節(筆者注:愛媛戦)はボールに対してプレッシャーがかけられなかった部分はあると思います。」

京都戦から愛媛戦への負の連鎖のような流れから、熊本のチーム戦術の土台に関わる部分が機能していなかったことを認めている。ある意味で愛媛戦は完敗だったということを。

今日はまさにその「アグレッシブに、勇敢にプレッシャーをかけて行けるか」というチームのベースを問うようなテーマを懸けたゲームだったこと。そしてそれが、今日のゲームでは、きちんと修正されて「選手はそれを100%やってくれた、そういう試合だったと思います」という総括をしている。

それに呼応するようなコメントが、敵将・ラモス監督からも。「3-0の結果じゃないと思いますけどね。1点差の勝負だったんじゃないかと思います」。

もちろん勝利した側の、敗者をおもんばかる余裕の部分はあるにしても、「相手のトップ3人のプレッシャーにけっこうやられてたから、なかなか後ろからつなぐことができなくて…」という部分は本当だろうし、「チーム全体で皆90分走れる」「なんでこのチームが勝てないかなと思ったくらいに、結構印象的」などなど、かなり饒舌に語ってくれているその熊本への印象は、正直な部分が多いと思う。

よくよくゲームを振り返ってみれば…。確かに先制点は滅多にみられないような(アクシデントとも言えるお粗末な)ミスでした。後半も遅い時間帯、84分の岐阜の追加点が決まるまでは、熊本が同点に追いつくのも“時間の問題”と思わせるように攻勢が続いていたわけで。同点にさえできれば、一気に逆転もあるとも思わせる時間帯が長く続きました。

ただ、惜しむらくはチーム自身が、“大量失点での連敗”の呪縛なのか、せっかく奪ったボールをうまく生かせない。スリートップと後ろの選手との距離が“遠い”。チャンスは数多いが、ゴール前に飛び込む選手の数が足りず、決定機とまでは至らない。

得点を奪えない間が長く長く続き、そしてサッカーでよくあるように、痺れを切らしたようなDFのミスによる2点目の失点。あの場面、前を向いている方が有利だとはいえ、1対1で振り切られた”個人”の部分はあまりにも歯がゆい。最後に股を抜かれたGKも…。

3失点目は、園田のチャレンジで人数が足りなかった分、スライドできなかった。右サイドから上がった益山が点を決めるという岐阜のひとつの得点パターンにやられました。

ミスを名指しするわけではないのですが、”育成”がコンセプトの今年の熊本。南がいなくなったGK陣もまさしく”育成”の最中なのかと思います。厳しい言い方かもしれませんが、相手GK・時久とのコントラストがチームの現実を浮かび上がらせてくれたような気がしました。あの川口の前で、なかなか出場機会に恵まれない時久が、巡ってきたチャンスに勇気をもってチャレンジしたことが想像できる。大津高校時代から鳴らしたPKストッパーを”当たらせて”しまったように、シュートを止められてしまいました。

GKもまた育成過程であれば、競争原理を働かせるべきだと思います。次は天皇杯というカップ戦でもあるし、いい機会かも知れません。

ただ、収穫もありました。大迫の右SBでの先発。そしてフル出場。奪ってもなかなか前に行く迫力が欠ける前線で、彼のクロスの精度とタイミング(これがいわゆるセンスということかも)は、必ずや生きる場面があると思う。小野監督が「大迫希は自分の武器というのをフルに発揮してくれたんじゃないかと思う」というように。

「何よりも大切なのは、決してネガティブにならず、今日やったパフォーマンスを続けていくべきだと思いますし、いろいろとそこをほじくる必要はないと、それぐらいの試合を今日はしてくれたと思ってます」。そこまで小野監督は選手たちを称え、そして同時に鼓舞しました。

それは、この試合の失点の理由がきれいに整理できているからであり、それよりなにより、愛媛戦で失われた”熊本の戦い方”のベースの部分が、この試合で持ち直されたことを評価しているからでしょう。逆に言えば、それを失うことを最も恐れているように思えます。それがないと小野・熊本は闘えないのだと。

この試合で今シーズンの前半戦を終えました。その折り返しの節目まで来たところで、これまで積み重ねてきた基礎、土台の部分を失ってしまっては、なにを修正しても、なにを加えても仕様がない。小野監督は、そう確信しているのではないでしょうか。

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