7月20日(日) 2014 J2リーグ戦 第22節
湘南 2 - 1 熊本 (19:04/BMWス/7,519人)
得点者:48' ウェリントン(湘南)、65' 菊池大介(湘南)、78' 仲間隼斗(熊本)


まずもって、前回のエントリーに多大な(過大な)拍手をいただいて申しわけありません(汗)。いただいたコメントに感謝を申し上げるだけのつもりが、何やら拍手を要求するような内容になってしまって…。反省しております。皆さまからの激励の“お中元”ととらえて、今後も頑張って参ります。

さて、リーグ後半、最初の試合となった湘南戦。「前期、先制しながら負けて、そこからどうやってこの試合をモノにするか考えていました」というように、小野監督は多分、ずーっとそのことばかりを考えて、考えて、考え抜いての今日のゲームだったのでしょう。そして、それは選手のプレーぶりからも十分に伝わってきました。

この日、チーム唯一の得点者・仲間隼斗が、「前期も前半はうちのほうがよくて後半ピタッと足が止まってしまった印象があるが、今日は前後半とも戦えていたし、セットプレーでもったいない部分はあったが、下を向く内容ではないと思います」と言う。それは見ているわれわれにも共通したこのゲームの印象でした。

小野監督の考え抜いた戦術。陣形は岐阜戦から試している4-3-3。DFラインは前週の天皇杯・山形戦で試みた橋本、園田のセンターバックに、大迫、片山の4枚。養父、上村、黒木を中盤に。斉藤、中山、澤田のスリートップ。

基本の4-2-3-1をさらにコンパクトにし、勇気を持ってラインを高く保ち、果敢にプレッシャーをかけて奪いに行くという姿勢を鮮明にした布陣。それにスカパー解説が「前がかり」と表現するように、陣形うんぬんよりも、そもそも“攻める”(それは同時に守ることとも同義語なのですが)戦いをしようという意思と陣形を生かすために走りきるという前提が共有されていました。

20140720湘南

湘南のGK秋元が、「相手の前線の3枚がハイプレッシャーだったので前半ちょっとばたついた場面もあった」と認めるように、今日の前半は、アウェーにもかかわらず、前回対戦よりさらにアグレッシブ。熊本のシュート数6に対して、湘南のそれをわずか1に抑え込む。「湘南は、いつもより前に運べていない」と解説者が言う。

「球際のところとプレスではめるところは狙い通りできましたし、ウェリントンは多少強いなと思いましたが、ほかのところは僕らの狙いとするところはうまくできたかなと思います」と言うのは養父雄仁。湘南にサッカーをさせていませんでした。

それでも、ここ数試合に共通するように、相手を抑え込んでいて、しかし、自らのチャンスを決めきれない前半がスコアレスのまま終わります。

問題は、前回対戦時のように、後半ガクッと運動量が落ちてしまうのかどうか。小野監督はハーフタイムに、「気持ちの入ったいい試合、後半も続けよう!」「セカンドボールをしっかり拾おう!」「全体でプレスをもっと激しく行こう!」と、前半の戦いをそのままに、さらに激しくいこうと選手を送り出します。

ピンチのあとにチャンスありと言いますが、ここのところの熊本はそれとは逆。チャンスをものに出来ず、そのあと必ず失点している。

後半開始わずか3分。FKからウェリントンに頭で合わせられて失点。さらに後半20分にはCKからの“練習通り”のパスワークで菊池に決められ0-2。と、書いてみればここ数試合を思い起こさせるような失点経過。首位・湘南の底力を感じさせ、3点目、4点目…ということにもつながっていきそうにも思われたのですが…。

ただ、熊本の運動量が落ちて崩された失点ではなかったのが、この試合のポイントでしょう。(逆に言えば、流れが悪くてもセットプレーで加点できるところが湘南の強さでもありますが…)

熊本は、後半11分 、上村から仲間。25分には黒木に代えて巻。と交代カードを切る。ある程度バランスを欠いても、さらに闘うぞ、攻めるぞという意思表示。

それに対して、湘南・曹監督が 「…今日熊本さんのああいうかたちの戦い方は我々も予想したんですが、そこの1対1の競り合いや球際の戦いなどで勝てなかった場面がとくに2-0になったあとに多く、僕の交代のメッセージも悪かったかなと思っています」と振り返る。それはFW岡田を下げてDF島村を入れた交代カードを指していることは明白で、2-0とリードした後の消極的な戦い方を反省している。

熊本は、先制された後も、2点目を取られてからも、決して気落ちした様子が見られない。それどころか、そのプレーの激しさはさらに増していき、とても首位チームに0-2で“やられている”感じではなかった。

後半33分。中山のピンポイントのフィードをPエリア内で巻が絶妙に落とす。そこに飛び込んできたのは仲間でした。一矢報います。その後も何度も巻がターゲットとしての本領を発揮しました。ようやく巻の“使い方”がフィットしてきた。

スカパーの実況、解説が何度も「熊本は闘ってますねえ」と繰り返していたのは、そのファイティングスピリットを称賛しているからだけではなく、やっぱりこのボールを挟んだ激しい攻防ということがサッカーの本質のひとつであって、間違いなく見ていて面白い、引き込まれる、ということを言いたかったのでは、などと思いながら聞いていました。

もらったフリーキックの数は湘南28、熊本25。合計53は、この日のJ2のゲームのなかでは最も(断トツに)多い。熊本のファウルが多いのは意識していましたが、熊本に煽られたのか、湘南も同じくらいに多かった。しかし、見ていて、熊本のファウルは、明らかに相手との距離の問題。そこは解説者も正当に“評価”していましたね。

相手との距離を完全に詰めて、お互いにちょっと動けば足が、手が引っかかる間合い。いや、もっと言えば体で抑え込むくらいの。そこにはかわされるリスクもあるし、自分もケガをする怖さもあるだろう…。そこが球際。そこが勝負の瀬戸際。

4失点を喫した京都戦の後、FW斉藤和樹が「ボールに寄せきれなかった。あと50センチの勝負。」と表現していたその間合いが、実は自分たちのチーム戦術の根幹だった。そのことをチーム全体が体得したような。

「積極攻守 ロアッソ惜敗」「選手に自信 立て直し手応え」。試合後、明日の熊日はどんな感じの見出しなんだろうと想像していましたが、確かに言い得てはいるが、何とも長いものでした。5連敗は5連敗であり、まだ結果が出ているわけではない。しかし、リーグ後半の初戦、湘南とのこのゲーム、勝ち点を得ることはできなかったけれど、相手が湘南だったからこそ、多分、自信と同時に“確信”に近いものを得たような気がします。


TrackBackURL
→http://sckumamoto.blog79.fc2.com/tb.php/471-d4bccf9d