8月24日(日) 2014 J2リーグ戦 第28節
富山 0 - 2 熊本 (18:04/富山/3,371人)
得点者:52' 養父雄仁(熊本)、75' 巻誠一郎(熊本)


後半30分。熊本のFKの際の小競り合いで巻が倒され、相手DF秋本にはレッドカードが。与えられたPKの機会。真っ先にボールを持ったのは巻自身でした。「利き足は頭」と自らが認める男が、PKを蹴る姿はこれまで見たことがない。見ているこちらも動悸がするほど。画面の向こうのサポーターも手を合わせて祈っている。放たれたシュートがゴールネットを揺らした瞬間、本当にホッとため息がでました。想像していたようなシーンとはちょっと違うけれど、待ちに待った巻の移籍後初ゴールでした。

20140824富山

2-0での勝利。2試合連続の無失点。この字面だけなら、熊日が書くとおり「理想的な展開」と言うことですが…。実際のゲームは、主導権を取っているように見えて、なかなか攻めきれない時間帯が続く。逆に危ういシーンもあり、なんとか守り切ってくれと祈るような前半でした。

「パスをつなぎボールを動かせる時間は長かったが、前半はそれが相手のシナリオの上で進んでいて、危ないシーンがあることが気になっていた。」(小野監督)
「スピードを上げさせずに相手の特長を消し、ボールを持つ時間を長くしながら決定機を探る前半だった。」(富山・安間貴義監督)

両監督の見立ても符合する。熊本は、ブロックとは言わないまでも、自陣全体をゾーンディフェンスしているような富山の守備にスペースを消され、持ち味のタテの速さが封印され、サイドで行き詰まり、攻め手が見つからない格好。フラストレーションの溜まる展開。

これまでであれば、前半の終わりあたりに先制をくらって、一気にゲーム運びが厳しくなるような展開…などとテレビの前で不吉な想像をめぐらせていました。

それでも、富山にはそれ以上に攻勢に出るパワーは感じられず、熊本も焦れてバランスを崩すということもなく、何とか前半を終了。

そしてハーフタイム。「相手DFをいかにして後ろ向きにするか。前半はゴールを背にして守られていたので、なんとか裏返すことを考えようと話した。」という小野監督。
それに対して、「後半は熊本がまだ出してきていない養父君の飛び出しやミドルシュートがあるぞ、とハーフタイムに話していたが(養父選手に)先制点を決められた。その直前の斜めからの進入には対応したが、2次攻撃に反応できなかった。」という安間監督と、これもまた何となく同じようなイメージを描いているようで面白い。

「なんとか裏返すことを考えよう」という表現で選手にイメージを植えつけた指揮官。事実、後半は出だしからボール奪取のエネルギーがさらに高まり、高い位置の起点から攻勢を強めます。

このあたりのベンチワークの攻防。安間監督は、後半11分に井澤に代えて木本を投入した理由を問われて、「後半に入って中盤でパスがひっかかる場面があったので、もう1つ前に飛ばすことでゲーム(のテンポ)を速くしようとした。」「DFの背後にボールが行かなくなっていたので、ボールを隠すよりも、仕掛けるために早めの交代になった。」と答えます。

2-0ではあるが、印象としては“辛勝”。富山にはしっかり守られてしまいました。ただ、先制の場面、熊本の2次攻撃の揺さぶりに、一瞬、斎藤、養父への対応が遅れてしまった。熊本はこの一瞬を逃さず決めることができた。結果論ですが、いつものように勝敗を分けたのは後半の立ち上がり10分ということでした。

ある意味で、前半、受けて勝機を窺った富山に対して、あくまでも主導権を握ろうとした熊本は、後半への入り方、向かい方の部分で、具体的な攻撃面のバリエーションがイメージできていたのではないでしょうか。また、そのイメージの多彩さとそれを実際にプレーできたということ。そして、それを裏付けたのは誰の目にも明らかな、ボール奪取という基本戦術。プレスだけに終わらない、奪い切る連携。

久々の勝ち点3。ちょっと浮かれて、結果論というのもわかりきっているけれど、チームの成長というより、少しばかり強くなってきたな。そんなことを言ってみたくなる。

「シーズン立ち上げ当初は前線でアグレッシブにボールを奪いにいって素早くゴールを目指した。少しずつチームを成長させるために主導権を握るかたちを採り入れていった。夏場ということもある。かじを切り過ぎて、カウンターを食らったり、自分たちの良さが出なかったりした試合も何度かあり苦い経験はしてきた。つなぐところと脅威を与えるところのバランスが必要。」と、チームの現在を語る小野監督。

勝ちゲームだからこそ聞けるコメントでしょうが。引き分けの前節・千葉戦を今シーズン最高のゲームだったと振り返った指揮官。今日も、思うようにいかなかった前半から、より戦術的に、さらにアグレッシブに切り替えての後半。ラッキーもアンラッキーも含めてのこのゲーム。前節とは違った意味で、新たな到達点を示してくれるゲームではなかったかなと思います。

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