8月31日(日) 2014 J2リーグ戦 第29節
熊本 0 - 2 札幌 (19:03/うまスタ/5,625人)
得点者:29' 都倉賢(札幌)、51' 上原慎也(札幌)


シーズン途中で監督が交代するという事態がどういうものか。われわれも昨シーズン、それを初めて体験したわけで。そのときのチームの状況、ファンの心境などがまだくっきりと思い起こされます。

後がない。瀬戸際。それはそうなんですが、とにかく、1ゲーム1ゲームがトーナメントの戦いのように、異様に集中力が高まっていったのを覚えています。

「監督が代わった時というのは、より前に、よりアグレッシブに、より球際も激しくなる。そういうことは選手も十分、わかった上で臨んでいます」。小野監督もそのあたりのことは想定しながらゲームに臨んだようでしたが。これまで比較的相性のいい、悪い記憶のないホームでの対札幌戦。何もよりによってこんなときに交代しなくても。

“やりにくい…”。われわれのゲーム前の胸騒ぎはこの一点でした。

もちろん札幌のチーム状態が決していいはずもなく、いかに監督交代という荒療治でチームを方向転換できるか、ひとつ歯車が狂えばさらに悪循環にも陥りかねないわけで。先週、財前監督が退任し、バルバリッチ後任監督が着任するまで名塚コーチが代行する体制。短い時間でどうチームをまとめてきたのか…。

「いちばんはメンタルの部分ですけど、サッカーを変えるつもりはなかったし、今まで財さん(財前前監督)が1年半やってきたサッカー、プラスやっぱり前、ゴールへの意識をもう1つ出すためにトレーニングしたつもりです。」(名塚コーチ)

両チームの様々な意図が交錯しながらはじまったゲーム。熊本は、そんな札幌のメンタリティーに負けるものかと、序盤から激しくプレッシャーをかけていきます。

20140831札幌

「熊本の圧力に対して後手後手になり、特に前半は泡を食った面があった。内容的には完敗。」(名塚コーチ)

まあ、そこまで熊本が圧倒していたようには見えませんでしたが、確かに試合序盤は熊本がポゼッションを握り、札幌がカウンターを狙う展開に。これは多分、名塚コーチの想定にはなかった事態だったのでしょう。このチーム状況で的確なスカウティングができていなかったのかも知れません。そしてこれもどうしようもない結果論ですが、勝機はこの時間帯にあった、ということでしょう。

しかし…。前半29分、札幌は高い位置でボールを奪うと、ぽっかりと空いた左サイドに上原を走らせる。ファーに上げたクロスを折り返されると、最も警戒すべきだった都倉にあっさりと決められます。

それでも、まだまだ浅い時間帯。グッと我慢して前半を凌げばチャンスは十分にある。そう誰もが思っていたはずです。

「1点取られて、そこからいくつかのところを修正して、後半必ず取り戻せる、逆転できると思って入りました。決して悪い試合じゃなかったと思いますし…。」(小野監督)

そして、やはり今日も勝敗を分けたのは後半開始からの10分間でした。

CKから折り返されての失点。同じパターンで2点。苦境にある札幌を大いに勇気づける追加点。熊本にとっては非常に難しいゲームになってしまいました。

悔しいのは、混戦であれだけ相手の足が高く上がっているのに…。もし頭で競っていればファウルの判定もあったかもしれない。多分、ここが負けたところなのかも。

「相手に気持ちで上回られないようにということはミーティングで監督も話していたけど、そこで上回られたと思う。」(高柳一誠)

結果としては0-2。しかし、シュート数は熊本8。札幌も9。いかにも少ない。「攻撃はいい部分もあったけど、シュートまで行けてない、シュートで終われていないというので流れを持って行かれた。」(高柳一誠)

得たフリーキックは熊本13、札幌15。合計28。このゲームの背景を示すひとつのデータ。いつもの熊本のゲームと比較すれば、これまた少ない。ファウルを奨励するわけではありませんが、これはいかにも少なすぎる。

翌日の熊日紙面。「ロアッソ決め手欠く。激しさ不発。球際で完敗。」と嘆いています。まさにその通りの数字ですね。

小野監督も「ゲーム全体として、こちらが下回っていたとは思わないんですが…」としながらも、「球際で数段上回りたかった」と、チームの根幹がこの点にあることを、相手を圧倒するような激しさがチーム戦術の原点であることを強調しています。

試合終了の笛が鳴って、札幌の選手たちの多くが倒れこむようにピッチに大の字になった。これが監督交代という劇薬の“効果”だろうと。相手チームながらその姿には感じるところがありました。

もうひとつ、今日のゲーム、印象に残ったのは、橋本拳人。見ての通り、都倉とのマッチアップでことごとく“やられて”しまった。「力のなさを痛感して、センターバックとして必要な強さなどの能力をもっと上げていかないといけないと感じた。都倉選手が身体の入れ方や競り方がすごくうまくて、ほとんど勝てなかった」と自らの完敗を認め、「今日は自分のプレーを見つめ直すきっかけになった試合だと思う」とまで突き詰めた。ここまでのコメントは珍しい。それほどにショックだったのでしょう。

それは多分、自分が勝てなかったことだけでなく、結果として空中戦からの2失点がゲームの勝敗を決めてしまったこと。制空権を渡してしまったことへの自責の念も大きいのかもしれない。だけど…。

闘っているからこそ負けることもあるわけで。結果を受け入れ、他の何かのせいにせず、弱い自分を認め、強くなろうと努力する者だけが階段を一つのぼることができる。頑張れ拳人。

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