10月19日(日) 2014 J2リーグ戦 第37節
熊本 0 - 0 磐田 (16:03/うまスタ/12,661人)


二週続いた週末の台風接近。しかしホームゲームの今週末は抜けるような快晴の青空。秋の風物になったくまもとサッカーフェスタも第8回。試合前のスタジアムはまさに“フェスタ”。会場のどこかしこでミニイベントが開かれ賑やかな雰囲気。訪れたみんながそれぞれ思い思いに楽しんでいる。サッカーはピッチ上だけではないんだなと。今季最高の1万2千人を超える観客が集まりました。

さて、そんな雰囲気とは別に、磐田のゴール裏には先週17日に自動車事故で亡くなった、元日本代表にして磐田の名MF奥大介の死を悼むメッセージが掲げられていました。チーム・ベンチには背番号8のユニフォームが。

かつて共にピッチに立った名波監督はもちろん、チーム、サポーターの悲しみが伝わってきます。それだけではなく「…かつて日本代表として共に戦った奥大介君の悲報が入ってきました。」「少なくとも両チームがしっかりと力を出し合い、出し切る試合にもっていかなければいけない。」試合後、熊本の小野剛監督も、今日のこのゲームに込めた思いがあったことを語ってくれました。

しかし、そんな経緯がなくても、われわれにとっては藤田俊哉の磐田であり、名波浩の磐田であって。チームそのものが仰ぎ見るレジェンドです。そんな磐田を初めてホームに迎える。1-3で敗れた今季の前半戦の残像も鮮明で、無意識のうちに居住まいを正してキックオフの笛を待ちました。正直なところ、これだけの大観衆の前で、どんなゲームになるんだろう…。期待と心配と…。

そんなゲームの前に、早くもスタメンのアナウンスで場内がどよめきます。今日の小野監督の仕掛けは18歳、嶋田慎太郎のJ2デビュー、初先発でした。このゲームにこの選手起用。どんなプレーを見せてくれるのか。さらにワクワク感も盛り上がってきます。

20141019磐田

「あの相手に全く臆することなく勇敢にラインを上げて最後までプレッシャーをかけて、裏を取りに行って、つなぐところはつないで、最後の最後まで勇敢に戦ってくれたと思っています。選手達は力を出し切ってくれて、今季の試合の中でも最高の試合の1つじゃないかと思います。」(小野監督)

その試合自体は、一言でまとめてしまえば、この監督コメントで終わってしまうくらいシンプルで、本質的な内容に満ちていて、われわれファンとしてはちょっと心を揺さぶられるようなスコアレスドローだったと感じています。

「立ち上がり、だいぶ我々の背後を突いてくるロングボールが多くて、そのラフなボールに対応しきれなかったのと、熊本のアタッカー陣の動き出しが非常に早かったので、ちょっと重心が後ろになってしまって…」(名波監督)

もうすっかり見慣れたような熊本序盤の攻勢。しかし、今日のその厳しさは磐田のリズムを混乱させるに十分な迫力、激しさがありました。

前回対戦では、あれほど剥がされ、いなされた熊本のプレス。今日はがっちりと磐田を捕まえて離さない。前田にボールを出させない。

そしてハーフタイム。
小野剛監督「全員で強気の戦いができている。」
名波浩監督「怖がらずに縦へのパスを出していこう。」
両監督のコメントにこのゲームの底にあるキーワードが、対照的に出てきていて実に興味深い。

ほかにも「強気」「勇敢」という言葉が試合後の監督コメントに何度も出てきます。前半戦の敗戦後、小野監督はこう言いました。
「できることなら、我々の経験の浅い選手たちにどれだけ恐怖心を払拭させ、自信を持ってピッチに送り出せるかというところが一つ勝負でした。相手の日本代表選手が並ぶ中、ちょっと最初バタバタした時間帯があり、そこでミスが出てしまったと」。
3月のその悔しい敗戦から半年あまり。チームが成長し、それぞれの指揮官がまったく逆のコメントを発している。

後半、磐田もロングボールを使い始め、押し上げてオープンな展開を狙いますが、熊本も落ち着いた十分な対応を見せます。後半12分、嶋田慎太郎→岡本賢明の交代以降は、どこと言ってカードを切る必要がないくらいのバランス、運動量。しかしこのタフなゲーム、さすがに次第に守ってカウンターという形に押し込まれる熊本。そのなかで再三、澤田が高く上げた磐田のDFラインをひとり切り裂き場内を沸かせる。

後半31分、その澤田が足を攣って×が出ると、間髪を入れず巻を投入。片山もまた足を痙攣させ、引きずりながらのプレーが続く。

終了の笛と同時に、倒れ込み膝を折る熊本の選手たち。

相手の強みを消したというより、真っ向から勝負を挑んで、相手のサッカー自体を圧倒した。磐田にサッカーをさせなかった。90分間。最初から最後まで。決定機すら与えなかった。

4試合無得点。ではあるが、京都、磐田と2試合無失点。勝利という結果にはつながっていないが、「こういう試合を続けていけば後ろは無失点でいけると思うので、そこから攻撃につなげていかなきゃいけない」と、以前より前への勇敢な飛び出しが目立ったGK畑が言う。この2試合のスコアレスドローには、ずっしりとした重みを感じる。もう名前負けなどしない。する必要もない。顔を上げて、胸を張っていい試合ぶりではなかったでしょうか。

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