11月1日(土) 2014 J2リーグ戦 第39節
熊本 1 - 3 山形 (19:03/うまスタ/7,751人)
得点者:10' 宮阪政樹(山形)、30' 山崎雅人(山形)、44' 山崎雅人(山形)、68' 園田拓也(熊本)


高校駅伝開催のため、この季節には珍しくナイトゲーム。昼間の試合では、昇格プレーオフ圏の6位大分が勝利を収める。それは熊本のプレーオフ進出の可能性が消えたということでもありました。
そのあたりのメンタリティーについては「…目の前に試合があればそれに対して全力で勝点3を取りに行く、最高の試合をする、それだけです。ネガティブな要素を試合前に言う必要は全く感じておりません」(小野監督)という、ごく自然な受け答え。

しかし、追う7位山形に”火がついた”のは間違いなかったのでしょう。勝ち点3以外は頭になかった。今日の山形からはそういった熊本のモチベーションをさらに上回るアドレナリンが感じられました。

20141101山形

熊本のゲームへの入りも決して悪くなかったと思います。序盤は熊本がいつものようにアグレッシブに行く。しかし、山形はそれを真正面から受けて押し返す力がありました。

「相手はファウル覚悟で厳しくきていたけど、自分たちは前半それが出せていなかったのでああいうゲームになったのかなと思います。」(仲間隼斗)

このあたりの感覚は見ているわれわれも微妙にシンクロしていたところ。“もっと行かなきゃ。もっと潰さなきゃ。”と呟いているうちに、あっと言う間に拮抗状態が崩れ、山形がダイレクトで繋ぎ、ぐんぐんと前への推進力を強めていきます。

失点は前半10分。右からの相手FK。好手・宮阪の右足から放たれたブレ球は、クロスを予想していた畑の伸ばした手をあざ笑うかのように、ゴールネットに突き刺さりました。
「経験のあるゴールキーパーだったら防がなければいけないところだと思うんですけども…」「彼が成長する過程、チャレンジしていくなかのミスは仕方ないと思っています」と指揮官は言う。
われわれも、前に出る動きが格段に良くなった、とその成長ぶりを認めていた畑。厳しいコメントかもしれませんが、この経験をまた糧にして欲しいものです。

しかし、その畑が「気持ちの切り替えができず、ずるずると失点しまった」と振り返るように、前半10分でのこの1失点、本来慌てることも、バタつく必要もないはずなのに、スタジアムにもイレブンの心境がここでもシンクロするようでした。

「残念なのは、1点取られてから相手の勢いが増して、それに対してちょっと受けに入ってしまって、リズムを自分たちで取り戻すことが前半の間にできなかった」(小野監督)。もしかして、1点目の“ミス”ということが、選手の動きに微妙な影響を及ぼしたのか。あの京都や磐田、長崎をゼロに封じてきた守備。しかし、今日の山形の勢いには押されるばかり。抑えられない。2点目、3点目と崩されるように加点されます。

この「自分たちで…」という部分がこのゲームの、この結果を集約しているように思えてなりません。

前半を終え、ロッカールームに向かう選手たちに向けて、久しぶりに送られるゴール裏からの激しいブーイング。「どうしたんだ!いつものお前たちじゃないじゃないか?」とでも言うように。前半の3失点はあまりに重いものでした。

後半、嶋田・中山から、巻・仲間の二枚替え。「裏とかスペースにシンプルにプレーしてもいいんじゃないかなと感じていて」と巻が言えば、「球際だったりセカンドボールだったりっていうのは、うちが負けてはいけないところ」と言う仲間が入って、山形を掻き回す。やっと、”熊本の試合”が始まったという感じに。

後半22分。齊藤がボックス右そばで倒されると、そのFKを高柳が蹴る。園田がそれを頭で叩きつけると1点を返します。湧き上がるスタンド。

われわれは今シーズンの、このチームの成長ぶりを一番に感じるのはその修正力、あるいは復元力ではないかと思っています。ある意味、今日のゲームもその典型的なものということも言えるでしょう。

「後半は選手達は本当に勇敢に戦ってくれたと思ってます。球際のところ、ゴールに向かう意識。で、後半だけでもかなりチャンスを作ったんで、そういうところをしっかり決めていれば、ひっくり返せない試合ではなかったという風に思ってます」(小野監督)

実際に、前半のシュート数は山形9に対して熊本はわずかに1。それが後半は熊本12、山形5。チャンス、決定機も数多く、園田の追撃弾以降は、おそらく追いつけるだろうと、われわれを本気にさせるような展開に持ち込みました。

それでも、繰り返しになりますが、3点は重すぎた。「前半にみっともない試合をしてしまったというのもあるし、後半は気持ちを入れ替えて、しっかりと相手ディフェンスラインにボールを送ることだったり、相手のボール保持者にしっかりプレッシャーをかけるということだったりというのが、前半よりはできたので、ああいう展開にできたと思います」と園田は振り返る。

マスコミの多くの論調は、プレーオフに賭けるチームのモチベーションの差という感じでした。確かにそれもあるかも知れない。上位チームを零封してきた自信からすれば、今日の山形の球際の強さには少なからず驚かされた。

しかし、今日のDFの布陣、片山が負傷のためとはいえ、長崎対策のままの並びで良かったのかという点も気になります。試合途中で篠原と園田の位置を入れ替えたように、そこにまた山形を勢いづかせた要因(ミスマッチ)がありはしなかったかと。齊藤を孤立させた遠因ではなかったかと。記者会見の席上にいるなら、そこを聞いてみたかった。

小野監督は、「私が修正するまでに時間がかかりすぎてしまったこともあると思います。そういう意味では選手は頑張ってくれたんですけれども、もっと早く修正ができればと思っています」と、責任は自分にあることを強調します。が同時に、「前半のなかで選手達が自分たちで対応していくことを期待していた部分もあります」と言う。それが、前半の3失点のなかでも、ベンチに座り微動だにしなかった姿の訳なのでしょう。修正はハーフタイムを待たなければなりませんでした。

小野監督の戦術眼、戦局分析はこのチームの大きな武器のひとつであり、それがゲームのなかでの対応力を生んでいることは言うまでもないでしょう。しかし、実際にプレーするのは選手。

「ゲームはこれからだ、顔をあげよう」と、ハーフタイムで監督が言葉で言わなくても。多分行われたであろうプレーに関する細かい指示がなくても。試合途中で自ら押し返していけるようなチームに。極端に言えば、篠原と園田も自らポジション変更を監督に直訴してもいいわけで・・・。

なかなか大きな課題ですが、逆にまだまだ大きな伸びしろがあると理解したい。

しかし、次節はホーム最終戦。そんなことを言っている時期ではないと揶揄されるむきもあるかも知れません。ただ、PO進出の可能性もなくなったと同時に、降格の可能性もない今の立場。小野監督の目線は、多分もっと遠くにあるのだと思うと、われわれもそれに合わせて、目線を高くしていく必要があるのだと思うのです。

残り3試合で積み上げられることは、順位だけでなく、まだまだあります。

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