2014.11.17 五分。岡山戦
1月15日(土) 2014 J2リーグ戦 第41節
岡山 1 - 1 熊本 (14:04/カンスタ/8,290人)
得点者:68' 押谷祐樹(岡山)、89' 澤田崇(熊本)


モチベーション…。ということを考えていました。

今節開始前の、あくまで計算上ではありますが、プレーオフ圏6位以内の可能性を残していた岡山。それに対して前節、ホーム最終戦を勝利で終え、次節のシーズン最終戦を控えたこの岡山とのアウェイゲームの熊本。われわれファンの側も何とも気持ちの持っていきどころが頼りないシーズン最終盤。選手たちを突き動かすのはいったい何なんだろうと。

試合前日14日の熊日朝刊のプレビューにはこうありました。
「小野監督は『選手たちはトレーニングからフルパワーでやってくれている。今週の紅白戦も気持ちの入った、ものすごい内容だった』と充実ぶりにうなずく。」
「FW斉藤和樹は『岡山はすごい気迫で臨むだろう。だが、自分たちが上回らなければいけない。攻守でハードワークに徹し、ペースを握りたい』と気持ちを高める。」

20141115岡山

ひとたびピッチに出れば、これが闘う本能というのか…。序盤の岡山ペースから主導権を取り戻すと、次々にサイドを破り、ゴールに迫る。

しかし、流れは熊本にある、と思って見ていた前半37分。早々と仲間隼斗→澤田崇の交代カードを切る小野監督。われわれの目には、仲間のプレーも悪くないし、ゲーム自体もコントロールしているように“見えた”んですが。何故?

その答えは試合後に明かされました。「彼(仲間)のプレースタイルと、ファジアーノのやろうとしているサッカーがマッチしてしまったので、それは仲間君に申し訳なかったんですけど、あれは私のミスです。そこから少し動きを作りくて、裏を取るところ、プレッシャーをかけるところを指示して、澤田選手を投入しました」(小野監督)。

代わって入った澤田への指揮官の指示は、「相手の右SBが起点となるので、そこをやらせないように、という感じでした…」(澤田)。監督が自らの選手起用を“ミス”ということばで表現するのは異例でしょう。それも前半37分。ハーフタイムを待つという“緩い”選択肢もあっただろうに。しかし小野監督にとっては、もっとやれる、あるいはこのままではやられる。そんなギリギリの判断を巡らしていたということ。

結果、さらに熊本の勢いは増し、岡山を圧倒。解説者も訝ったこのカード。その意図を大盤解説して欲しいような戦術的交代だったと思うと同時に、その打たれた一手には自らの采配に一点の妥協も許さない小野監督の気迫すら感じられて。モチベーションなどと結び付けて考えていたこと自体、申し訳ない気がしてきました。

しかし、先制したのは岡山。後半26分。ロングスローのどさくさに紛れた、いかにもありがちな失点でした。主導権を握っていてもえてしてやられてしまうのはこんなパターン。エリア内のあんなところでボールが止まってしまうなんて、危険きわまりないもの。逆に言えば、このロングスローというものがそういう性質をもっているということ。スピードがない分、ああいう状況が生まれやすい。攻めるも守るもさらに研究、強化が必要だなと痛感しました。

さあ、相手ホームの最終戦。岡山にとっては“懸ったゲーム”。真紅に染まったスタジアムが沸き返る。失点をきっかけに一気に流れがいってしまうのはこれまたありがち。

しかし、今の熊本。あの時間帯で先制されても落ち着いている。落ち着く術を知っているというべきか。前節、同点に追いつかれた直後、リセットするべくピッチ上で選手たちが円陣に集まった光景が浮かんできます。

「残り20分あったので、まだ全然いける…」(澤田)
「うまく切り替えてやれた…」(篠原)

残り20分。攻め急ぎたい気持ちを抑え、バランスを崩さないように、しっかりと相手の勢いを切りながら、徐々にペースを上げていく熊本。後半33分には養父雄仁→巻誠一郎。そして後半40分あたりから、一気に…。そのスイッチの入り方はまるでひとつの生き物のように感じるほど。

熊本はアンデルソン、巻のツートップへのパワープレーを軸に。岡山は交代カードで3ボランチ、5バックで守りきろうと必死に跳ね返す。しかしこの終盤に至っても、熊本の鋭い出足は全く衰えず、フィフティフィフティか相手有利のボールも、体を当てながらことごとく拾う。置かれた状況や、時間帯も含めて、今シーズンのなかでも出色のプレーが繋がっていった5分間。(何度も何度もビデオを見返すほど。)

後半44分。そんな球際のせめぎあいから一瞬先に触った園田が得たFK。岡山・景山監督が「あの時間帯にあのボールを蹴って来るんだなあという思いがあります」とコメントした中山のキックは低く美しい軌道を描いてDFラインとGKの間へ。この日何度も外した澤田が、相手DFを置き去りにして頭で決める。

アディショナルタイムも4分。引き分けでいいとは誰も思っていない。勝ちに行くことだけしか見えていないような集中。

試合後「両チームプレーオフに進出できなかったが、それを表すようなゲームだった。」とまとめる解説者。勝ちきれない岡山、決めきれない熊本。ということなんでしょうが…。

まあ岡山のことはよくわかりません。ただ、熊本が主導権をとりながら決めきれないのは事実ですが、恐らくはその部分に目が行きがちだということでしょう。しかし、シーズン終盤時点での印象は、やられても押し返す。流れを変える、主導権を取り戻すことのできるチームになってきたということ。

終盤の同点弾、引き分けの結果にがっくりと膝をつく岡山の選手たち。そして岡山サポーター…。(結果的には、この試合での勝敗は関係なく他会場の結果で、その可能性はなくなってしまったのですが)。しかし、ホーム最終戦まで目標を持ち続けられたことは羨ましいし、岡山にとってはまた輝かしい、記憶に残るシーズンだったことでしょう。

シーズン前半戦はスコアレスドロー。そしてこの試合の結果からも言えるように、岡山とは五分(ごぶ)。かつてはミラーゲームとも称された相手。その昇格PO参戦の可能性を、われわれが自力で阻止したわけではありませんが、少しばかりは“壁”として立ちはだかったのかもしれません。あとから来て一気にJ1に駆け上がった松本への嫉妬に似た気持ち。この岡山にも「先を越されてなるものか」、そういう思いが沸々と湧いて。それは、あの地獄のような地域リーグ決勝を戦ったカンスタの地が、今はホームチーム・ファジアーノのために真っ赤に染まっている様を見たせいかも知れませんが。

負けられない…。ちょっと考えてみれば当然のことですが、選手や監督はプロとして最後まで闘うこと、いい仕事をすることがその存在意義なんでしょう。しかしわれわれ一ファンは、こんな実に器の小さい、狭量な対抗心や、勝手なライバル意識。そんなところにモチベーションを見出しているんだなと、改めて気づかされました。でも、まあ、それもまたいいじゃないですか。

いよいよ来週は福岡との最終戦アウェイ。昨シーズンは降格圏に沈み、そこからの脱出にもがき、それがシーズンの焦点になった(なってしまった)。去年のこの時点では、まだやっと終わった安堵感がすべてだったように記憶しています。しかし今は、最終戦へと同時に、われわれでさえすでに来シーズンに気持ちが向いているんじゃないかと。この時期にいささか不謹慎ではありますが、「来シーズンもぜひこの体制での積み上げを見てみたいなあ…」。今日の結果はドローでしたが、その戦いぶりに興奮させられ、ちょっと独り言を呟きたくなりました。


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