Jリーグはこの週末全てのカテゴリーの日程を終えました。J1はガンバが優勝。J2への降格は徳島、セレッソ、そして大宮。J1昇格プレーオフはリーグ6位の山形が天皇杯の勢いそのままに、4位磐田と5位千葉を破って昇格3枠目を手にしました。そしてJ3との入れ替え戦は、讃岐があの木島の虎の子の1点を守りきり長野を退け、残留を果たしました。

J2最終戦後の2週間、周囲で繰り広げられた戦いは、われわれにとっては蚊帳の外の他人事だったとはいえ、いや他人事だったからこそ楽しめたのかも知れない。しかし、6位の山形がプレーオフで昇格する姿を見るにつけ…。可能性という意味では、願わくばいつかあの(身の毛もよだつような)緊張感を体験してみたい。いや来季こそ、あの中にいたい。そういう思いが募ります。

さて、われわれのシーズンが終わって2週間のお休みをいただいて、遅ればせながら、例年のように今シーズンを総括してみようかと。とりあえず開幕戦のエントリーから読み返してみて、ちょっと驚きました。長いシーズンとは言っても、たかだか10か月ほど前のこと。しかし、改めてその3月の戦評を読んでみると、そこに書いていたのは、全くもってシーズンの予告編のような…。あるいはこの終了後の総括に関する”伏線”だったんじゃないかと。それほどブレることのない、スジの通った小野監督の2014年シーズンだったというのが、われわれの偽らざる感想です。

例えば、そのエントリーではこんなことを書いています…。

「日本サッカー界きっての“知将”。しかし、まずわれわれに見せてくれたのは、背筋の伸びるようなシンプルなサッカーの原点でした。闘うこと。そして走ること。」
「90分間ノンストップと言っていいくらいのゲームのテンポ。」
「目が離せないようなリスタートの早さ。」
「奪った瞬間に、可能性があれば前線のターゲットを1本でシンプルに狙っていく。」

まさに、今シーズン、繰り返し書いてきたことであり、今季の熊本のプレースタイルそのもの。

「小野・新生熊本。これから徐々にその姿が明らかになっていくと思いますが、まず開幕戦で感じたのは、チームとしてのその”一体感”に違いありませんでした。」

これはもう、最終戦後の会見で小野監督が強調していた「結束力」と同義語。また、開幕戦と最終戦が奇しくも同じ対戦相手・福岡という偶然もあって、その同じ”方向性”のなかでの確かな成長がより鮮やかに感じられました。

そして、開幕時のスタメンと最終戦のスタメンを見ていただきたい。

開幕戦:巻 斉藤 仲間 中山、養父 橋本 片山 矢野 篠原 園田、畑。
最終戦:アンデルソン 斉藤 澤田 嶋田、養父 高柳 蔵川 野田 橋本 園田 金井。

同じポジションで同じ名前は、なんと斉藤、養父と園田の三人だけ。変化でもあり、成長でもあり。そして激しい競争の結果。最終節にはルーキーの嶋田、強化指定でまだ大津高校生の野田、アンデルソン、高柳の途中移籍組が先発。ベンチには上村がいて、不動のスタメンだった片山も外れています。

メンバーを固定せず、練習でのパフォーマンスで常にチャンスを与え続ける。ものにするかどうかは選手次第。理屈はわかるけれど、このスタメンの”変化”はいかにも激しい。しかも、開幕スタメンで最終戦に外れた選手が脱落したのかと言うと、そんなことは全くない。これは非常に重要なことだと思います。巻、中山は途中出場。片山もベンチにいたし。完全に出場機会を失った選手はいない。それほど選手間の競争が激しかったということ。

チーム内での激しい競争が層を厚くする。われわれもそれをずっと願っていました。しかし、なかなか実現しなかった。何年か前ですが、湘南の監督時代に反町さんが、「熊本の先発は今朝の新聞に載ってました」とうそぶいた熊日の予想フォーメーション。これが今シーズンはことごとく外れていたような。正確に記録はしていないのですが、完璧に“当たった”ゲームがどれだけあったか。熊日の番記者もなかなか読み切れなかった。紅白戦のメンバーを書き起こすだけではわからない小野采配。

小野監督の練習方針と起用法が、”競争”を重視し、そして誰が出てもチームの総合力を損なわない”層の厚さ”を求めた。

そんななかで、ルーキーの澤田がチーム内得点王になり、同じく中山がアシスト王になったこともエポックです。さらには下部組織出身の上村や嶋田を早速スタメンで起用し、しっかり”通用”することを証明した。広島時代の高柳のように…。積極的に、迷いなく若い力を起用しました。

今シーズンの印象として、もうひとつ。結果が敗戦でも、残りあと10分あれば…と思わせる試合が多かった気がします。ハーフタイムでの修正力の高さは目を見張るものがありました。それはシーズン全体についても言えるのかなと。あと10試合あれば…。

どんな敗戦でも下を向いた負けはなかった。それは、小野さんの”言葉の力”の大きさもあったでしょう。誰のせいにもしない。しかし、敗因は明確に分析している。次への課題にしている。

そういう意味では、シーズン中盤の6月から7月の大量失点での3連敗も、今思えばそれほど絶望的な気分にはなってなかったなと。敗因も整理されていたし、チームの方向性がまったくぶれる気配がなかったし、何より、選手、チームが闘っていることだけは伝わってきていました。なんでしょう?それが今季この成績でも、観客動員数が増えていったことともシンクロするのかと。

もちろん、実際には書きようがないなあ…と途方に暮れた試合もあったのは事実です。終盤の山形戦。確かに山形に勢いがあったにしても、終盤戦の勢いからするとらしくない戦い。ハーフタイムの”修正”で一矢報いたものの、スタメンのDF布陣には首を傾げざるを得ないものがありました。一説には、その週に小野監督がFIFAの仕事のための海外出張でチームを見ていなかったから、などというまことしやかな分析も流れてきましたが、それはそれで軍師”小野”を担ぐ熊本の課題のようにも思われます。

また、10月のアウェー東京V戦。0-1の敗戦のエントリーに関しては、読者の方から「今日は文章に迫力が無いように感じました…」と、早速のお叱りのコメントがあり、身を引き締めることとなりました(汗)。

さて。

小野監督に謝らなければいけません。シーズンが始まる前、正直なところ弱気なわれわれは、この戦力では再び降格圏をさまようのではないか、とさえ思っていました。しかし、「シーズンははじまったばかりなのだから。これから、どうなっていくんだろう。どう成長していくんだろう。そう思わせます。照準は開幕ではないということがよく伝わってくる」と、すでに開幕戦でその弱気を修正させられました。

そして、この1年、最初のシーズンを終えた今、さて小野監督の視線はどこに向いているんだろうか。どのあたりを見ているんだろうか。などと思ったりします。

そうは言っても、まだ小野監督の続投がクラブから発表されたわけではありません。過去、監督の契約更新情報が公式発表されていたかも定かではない。(だから発表されないのかも知れないし、もともと複数年契約かも知れません)。

そんな12月の現時点では勝手に、そして当然の続投を信じてということで、シーズンの総括を記録しておきます。(明日何が発表されるかはわからないという気持ちを持ちながら…)

それと、今年、クラブのもうひとつの重要な出来事だったクラブライセンス問題に関してのことはエントリーを改めて書きたいと思っています。

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