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【J2第8節】(Cスタ)
岡山 3-0(前半1-0)熊本
<得点者>
[岡]伊藤大介(30分)、矢島慎也(67分)、押谷祐樹(70分)
<警告>
[熊]クォン・ハンジン(67分)、上村周平(90分+1)
観衆:7,060人
主審:上村篤史
副審:村田裕介、勝又弘樹


前線からのハイプレスで知られるチームとなったわが熊本。それを研究した対戦相手はこれまで、早めにロングボールを前線に放り込むという戦法で熊本に対してきました。今季初めて黒星を喫した相手、福岡などは特に、それまでの戦術を完全に捨ててまでそれを徹底してきた。

しかし、今日の岡山は、そもそも自分たちこそがハイプレスのチーム。それが熊本相手にどう戦うのか。「前節、横浜さんが少し、しっかりとスペースを閉めて戦うやり方をした」(そして勝利した)。新任監督・長澤氏は、しかし自分たちは「やりあう」(九州J-PARK)。そう決意しました。

20150419岡山

試合前、スカパー放送から、「ボール支配率が50%以上で高く、しかしシュート数はリーグ20位」という熊本のデータが示される。それはまさしく、最終ラインでのパス回しに終始し、なかなか攻撃のスウィッチが入れられなかった前節の展開を裏付けるデータでした。ボール支配率が相手より高いのは自分たちのゲームではない。ハイプレス、カウンタープレスを掲げるチーム特有の数字です。

「ギアを上げたときに、攻撃をやり切る」。この一週間それをテーマに練習をしてきたという小野監督のコメントが紹介される。確かに試合序盤、前線から激しく行く熊本が、前節とは比べようがないほど、積極的に攻勢を得て押し込みます。21分には、左からのショートコーナーからパス交換し、嶋田がゴールを横切るグラウンダーのパス。ファーの平繁が反転して切り返してシュート。これは枠の左。実に惜しい!

しかし、岡山の好調さにも理由がありました。今季補強に成功した元日本代表のCB岩政が中央で大きな壁になる。同じく加地がサイドを崩す。そのほかにも前線にはテクニックも併せ持つ押谷、スピードの染谷など、経験豊かで個性のある選手が揃っています。

「熊本がプレスを掛ける。ここが岡山の分かれ道。これをかいくぐることができるかというところ」。スカパー実況の解説者がそう言う。実によく分かっている。

熊本が岡山陣内に4、5人入って組織的にプレスを掛ける。「すごいな」と感心していたときでした、大きくサイドチェンジを繰り返されると、戻れない、スライドできない。左サイドを上がってきた加地が全くのフリーで柔らかくクロスを上げると、これまた居場所を見つけるように入り直した伊藤が全くのフリーでヘッドで叩き込みます。

攻勢のなかでの失点。これが選手たちに、前節を思い起こさせ、”硬く”させてしまいました。

「ミスが怖くなって消極的になる部分があって。気持ちではそういうのはなくても、ちょっとそういうところが出ていたのかなと感じます。安全な方を選んで、逆にそれがカウンターの起点になったり、細かいミスも多かった」。途中出場になった巻は、ベンチでそう見ていました。

先制した岡山のカウンター攻撃はますます鋭くなり、熊本の攻撃への切り替えはそれに比べて明らかに遅い。

後半67分。岡山のFKをクリア。混戦から染谷ががむしゃらに撃つ。DFに当たったこぼれ球に、途中交代で入った矢島が飛び出し追加点。
続く70分には、ハーフウェイライン右から矢島が入れたロングボール。GK金井が出るが触れず、交わした押谷がワントラップして確実にゴールに押し込む。3点目。

このあと。熊本イレブンが円陣を組むように集まって、何かを話し合ったのは、素晴らしかったと思います。昨年を思い出す。もう一度ひとつになる。

しかし、その後平繁→中山、片山→上原の2枚替えや、嶋田に代えて巻を投入するも反撃はままならず。アディッショナルタイム、高柳のロングシュートは枠内を捉えていましたがGKにクリアされ、上村がスルーパスに裏を取ってPA内で撃ったシュートもポストに嫌われて万事休す。敗戦のホイッスルを聞きました。

岩政や加地を加えた岡山は、想像以上に強かった。これが対戦時リーグ順位6位(対戦後5位)の実力なのでしょう。熊本のハイプレスに、「やりあう」とした岡山の決意の裏には、これまでのJ1経験チームとの6連戦を、2勝3分1敗で勝ち越したという結果の自信、そしてさらにチームの力を積み重ねようという意思がありました。

熊本には辛い敗戦となりました。これで3連敗という現実。テレビ画面には、タオルマフラーで涙を拭う、何人もの女性サポーターの姿が映し出されました。

前節の反省・課題から攻撃のスウィッチの入れどころ、小気味よくワンタッチで繋いで崩していくところには成長が見られました。しかし、小野監督が言うように「ボックス近辺になったところでの精度」に課題を残す。そして「相手の出足の方がラストパスの精度より上回った」。そう言うとおりです。

サッカーコラムJ3Plusさんは、日ごろから熊本の試合もよく観てくれている人ですが、最近の熊本の状況、なかなか勝てない理由をこう書いています。「ボールを大事にする意識が高まってポゼッション率などは上がってきているが、その分、相手チームから見ると『戦いやすい相手』になってしまっている」。「やろうとしているサッカーの質がもう1ランクか2ランク上がって洗練されたサッカーになった場合か、もしくは1ランクか2ランク下の慌ただしいサッカーになった方が勝ち点にはつながりやすいように思う。今の成長段階がちょうど『もっとも勝ち点を得にくい。』と言えると思う」と。

ここが分かれ目。

「熊本はまだ”発展途上”というしかない。」前節のエントリーでわれわれはそう書きました。今節の試合後、「今後何か変えて行くところというのがあるのか、それとも今の形で進めていくのか」と記者に問われた指揮官は、「変えてくところというのは、絶えずどんな試合でも高めていく。今日の試合と次の試合とで同じというのはあり得ないと思うので、さらに高めなければいけないところ、それを続けるのは勝ったとしても負けたとしても同じことだ」。そう応えました。

指揮官にブレはありませんでした。ランク(程度)を下げて勝ち点を取りにいくよりも、目指すところにランクを上げることを迷いはない。われわれファンにも、しばらく辛抱の時期が続く。そう覚悟しました。

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