YKKAP戦の敗戦の傷も癒えぬ月曜日、ビッグニュースが舞い込んできました。JFLでともに富山を本拠地とするYKKAPとアローズ北陸の2つのチームが、「富山県にJリーグチームを」という県サッカー協会の呼びかけに応じて、来期からひとつのチームになり、Jリーグを目指すというのです。

 ご存じのように、いずれもJFLの上位に君臨する強豪チーム。われわれのなかには若干YKKのほうに分があるかなという印象ですが、先の天皇杯富山県予選ではアローズがYKKを下し県代表になるといったように、お互い一歩も譲らないダービーマッチを繰り広げてきました。JFLでも毎年上位に名を連ねる企業チーム。しかしどちらもJを目指すわけでなく、「なんだかもったいないな」というのが、「金はないけど夢はある」というわれわれを含めた他地域のサポーターの思いではなかったかと思います。

 それが、ここに来て一挙に合併しJを目指すという決断。

 05年に日本サッカー協会が実施した都道府県協会に対する「Jを目指すチーム」調査で、全国約30のクラブがJを目指していることがわかりました。その後、初の準加盟チームとして承認されたわが熊本が、今一番Jに近いチームであるでしょうし、栃木、岐阜、鳥取、最近では地域リーグ(中国)の岡山も承認され、追随してきています。おそらく05年時点の富山は、この30クラブのなかにも入ってはいなかった。しかし、この合併決定によって富山県勢のJ参入は一気に現実味をおびたのではないでしょうか。

 このニュースを聞いたとき真っ先に思い起こしたのは、ヴォルティス徳島として一時期はJを目指しつつも途中頓挫し、その後は企業チームとしてJFLの古豪として鳴らした大塚製薬が、県知事のリーダーシップによって県民支援のクラブチームに変容、遂にJ参入を果たした現J2の徳島ヴォルティスの事例でした。共通するのは、スポンサーとして立場が変わっても恐らく強力な資金的バックアップが望めるであろう巨大な親会社の存在。そして、JFLでもともに常に上位に君臨するチーム力ということです。

 ちなみにYKKは従業員数が国内18,000名、海外23,000名、富山県内の事業所だけでも7,000名を超え、連結売上高は6,500億円(熊本八代工場にも従業員850名)。北陸電力は従業員数4,600名、連結売上高4,850億円。二社合わせて一兆円を超える売上です。プロサッカーチームを持とうかという地域の企業体としてはとてつもない規模。立山連峰の雪解け水の恵みと売薬のネットワークによる莫大な金融資産、情報の蓄積という富山の地力を体現している両社です。

 また、これは昨年から今年の佐川東京と佐川大阪の合併劇とは状況からして全く異質のものです。なぜなら来期は、このチーム統合により現実的に上位チームがひとつ減りはするものの、ホンダ、佐川、そしてこの富山連合との4位内争い。4位以内という緩和されたJ2昇格条件も無意味に感じられるくらい厳しいリーグ戦になりそうです。とにかく来期のJFLでは戦いたくないですね。

 そしてもし、きわめて参入条件に近いであろうこの富山連合が準加盟承認を受け、ただちにJに昇格してしまうことがあれば、「J2を18チームに」という2010年構想の枠がまたひとつ埋まってしまうことにもなります。

 現在J2は13チーム。14番目のイスはわれわれ熊本がいただくとして、残された枠数もはっきりと見えてきます。全国の多くのチームが狙っている数少ない残り枠。神様がくれた“今”というタイミングは、しっかりつかまえなければいけません。

 と、まあ、全体の構造的にはこういった受けとめになるんでしょうが、同じカテゴリーを戦う者として、長年、心をひとつにチームを、選手を支えてきた両チームのファン、サポーターの心情はどんなものだろうかと…。以前から統合される噂はあったし、構想の大義もわかる、しかし、おそらくは良きライバルだっただけに、気持ちの持っていきどころがない状態なのではと。何とも言いようがないですね。

両チームのサポーターに激励の拍手を。

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