【J2第13節】(札幌ド)
札幌 2-3(前半0-2)熊本
<得点者>
[札]都倉賢2(75分、86分)
[熊]齊藤和樹2(2分、27分)、巻誠一郎(55分)
<退場>
[熊]園田拓也(79分)
<警告>
[札]内村圭宏(52分)
[熊]黒木晃平(83分)
観衆:10,405人
主審:東城穣
副審:手塚洋、宮部範久


勝ち点3を得るということが、こんなに大変なことなのかと思わせた試合でしたね。なんとか逃げ切って勝利。順位はひとつあげて20位。それにしても心臓に悪い試合でした。

20150509札幌

黄金週間を挟んだ過密日程5連戦の最後の試合は、アウェー札幌戦。札幌は7試合負けなしで7位につけていました。対する熊本は9試合勝ちなし。この前の4連戦を2敗2分という結果できていましたが、ここ2戦の引き分けは、内容に手ごたえを感じさせるゲームでした。その流れや勢いをそのまま持ち込もうというのか、なんと、前節痛んだ片山のあとに途中起用した右SB・養父をこの試合でも先発に。あとは中山と嶋田を入れ替えたくらい。3試合連続で巻を1トップに置いてきました。

そして、その勢いのとおり、熊本が3点を先取する。

1点目は開始早々。札幌の攻勢のなか跳ね返したボールを、まだ自陣にいた巻が大きく相手DF裏のスペースに蹴りだしてカウンター。齊藤が拾うと左からドリブルで持ち込む。エンドラインギリギリまで持ち込むと、そのまま撃つかと思わせて鋭く切り返し、追走してきたDFを交わし、素早く撃ったシュートは、構えたGKの股を抜いて、ゴールに流し込みました。うまい!

2点目も齊藤。27分、嶋田が右サイド、養父の前の大きなスペースにサイドチェンジのパス。養父は迷わずアーリークロスをゴール前に送る。そこに齊藤がダイビングヘッドで飛び込みゴールに突き刺しました。美しい!

3点目は後半10分の右CKから。中山のキックにニアで齊藤がそらすと、ボールはゴール前中央へ。キャッチしようとする相手GKもろとも、巻が身体ごと押し込んだ。実に泥臭い!ある意味巻らしいゴールでした。

後半開始早々、スカパー解説者の秋田豊氏に「2点では不安」と言われてしまった熊本。それはこれまでの試合結果からでもありましたが、いい時間帯で3点目を得ることができて、今日こそは間違いなく勝ち点3、そう思って観ていたのですが。やはり簡単に勝たせてはくれない。

札幌は後半開始から中原に代えて内村を投入していましたが、さらにナザリトを下げて古田を入れる。都倉をトップに置いて内村と古田をシャドーに。前3人の構えを変えてきました。これによって迫力を持って攻めてくる札幌。熊本はひたすら我慢するという構図に。

さらに巻の疲れを考慮してのことでしょうが、常盤と交代。4-4-2にシフトしますが、これによって栃木戦のときに感じたことと同じように、重要なポストプレーヤーを失い、前線での起点が作れなくなってしまいます。

75分。しかもボックスの外からでした。ペナルティアークを横切るようにドリブルした都倉が、DFを前にして倒れながらシュートを放つと、巻いたボールは、意表を突かれたGK原も触れず、ゴール左隅に吸い込まれる。敵ながらみごとなゴールでした。

この1点が、大きく試合の流れを変える。熊本選手のメンタルの乱れを指摘する解説の秋田氏。勢いづいた都倉が縦横無尽にゴールを脅かす。

78分には、ロングボールに裏を取られた園田が相手を倒して一発レッドカードで退場。熊本は10人に。ペナルティアーク右からのFKは枠をかすめる。GK原は一歩も動けない。バタバタの選手心理が伝わってくるようです。

MF嶋田を下げてDF大谷を入れるベンチワーク。残り10分を託します。しかし札幌、右サイドからのアーリークロスに、中央の都倉が大谷に競り勝つとヘッドでゴールネットを揺らす。とうとう1点差に詰め寄りました。

告げられたアディッショナルタイムはなんと6分。「どこから6分が生まれたんですかね」と秋田氏も訝る。熊本にはもう攻撃の形を作れる力は残されていない。クリアに次ぐクリア。前線サイドでキープしようにも奪われる。攻撃にさらされる・・・。右クロスから都倉のヘディングは原キャッチ。左から入れられたボールはファーのイルファン。これは合わず。古田から宮沢のヘッドは左に反れ。ようやくようやく、主審の笛が鳴った。その瞬間が、実に10試合ぶりに熊本が勝ち点3を手にした瞬間でした。

それにしても、3点先取しながら、なにが試合をこんなに難しいものしてしまったのか。やはり連戦のなか、熊本の足が止まる、プレスが甘くなるということなのでしょうか。

そして都倉の凄み。前半、ナザリト頼みの札幌の戦術で、枠を外す都倉は、”今日は入らない都倉”でしたが、ワントップを張った後半からは、”怖い”選手に変貌しました。そこには、さすがにスカパーJ2実況のタイトルバック映像に使われる数少ないこのカテゴリーでの代表的な選手のひとりであるという”存在感”を感じさせるに十分でした。

また、後半途中「自分の事だけ考えてプレーしていては、チームの力は出せない。そこを理解しなければならない選手がいる。」として、看板のナザリトを引っ込め、前線の組み立てをガラッと変えて攻めに出たバルバリッチの采配。今日も熊本のベンチワークは、受け身に徹した感がありました。勝ち越している状況もあり、もちろん、園田の退場というアクシデントの混乱もあったのでしょうが・・・。

ただ、ひとつ思い当たる節もあります。指揮官は、90分間のなかでは、いいときばかりでなく苦しい時間帯も必ずあると常々言っている。その苦しい時間帯を、監督からの指示や選手交代というベンチワークに頼るのではなく、ピッチ上にいる選手たち自身の力で変えることができないものか。もしかしたらそのあたりを求めているのではと…。ああ、それが最近、ベンチワークが遅いと感じる点なのかも知れないなと。実は監督も我慢に我慢を重ねているのではないかと。

「勝点3ということ以上に、選手達が苦しいところを乗り越えながら、まだ大きな波ではないが、ひとつ掴みきれたと自分自身思います」。試合後の小野監督のコメントに、実はこのあたりの心境が隠されているのではないかと思うのは、深読みに過ぎるでしょうか。

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