【J2第17節】(水前寺)
熊本 1-0(前半0-0)長崎
<得点者>
[熊]齊藤和樹(60分)
<警告>
[熊]齊藤和樹(71分)
[長]李栄直(86分)
観衆:4,560人
主審:飯田淳平
副審:相樂亨、三原純


いやー。やっと…です。梅雨入りしてしまいましたが。ようやくホームで勝てました。待ちわびた生「カモンロッソ」。

勝因は色々あると思います。ボランチに入った藏川の攻守にわたる活躍。DFラインに安心感をもたらしたシュミット・ダニエル。最近切れっ切れの斎藤。なにより最後まで走り抜いた選手たち。等々・・・。ひとつひとつ触れていきましょう。

20150606長崎

前半は、正直ちょっと長崎のサッカーに見とれていました。水前寺競技場のピッチは、前回の岐阜戦のときより更に状態が悪く見える。それなら、いえ、それでなくても高木サッカーは中盤を省略して長いボールで押し込んでくるものと思っていました。難しい試合になるだろうと・・・。

しかし3-4-3に敷いた長崎の布陣は、中盤が厚く、縦にグラウンダーのパスを急ぎ、後ろから次々に追い越してくる。攻守の切り替えも早く、流動的に動き、なにより球際が強い。指揮官に随分鍛えられているという感じがして、現在4位というリーグ順位もうなずけました。

ただ、平繁、常盤もようやくフィットしてきた感のある熊本も、縦に入れようという意図は十分感じられ、カウンターから斎藤がエリアに入ってGKと1対1。これはキーパーにセーブされるも、直後スローインからのクロスにハンジンの絶好機のボレーは惜しくも枠外…など、30分以降は熊本にも幾度かチャンスがありました。

「裏を意識しよう!」「球際はもっといける!」。そういうハーフタイムの小野監督の指示があったように、熊本は後半開始から一段ギアをシフトチャンジしましたね。ちょうど、前節の京都がそうであったように・・・。

球際で優りはじめ、セカンドも奪い始めた。長崎のピッチを広く使った攻撃にもスライドできている。足が出る。詰め寄る。攻勢はやや熊本に傾いていきました。

それが実を結んだのは60分。右SB養父からのサイドチェンジのボールを、高柳がダイレクトにヘッドで入れる。エリア内ゴールニアサイドにいた齊藤。それを胸トラップで落とすと、付いて来た2人の長崎DFを振り払うかのように反転。右足を振り抜き、ゴールを押し込みます。

うーむ。このシュートはちょっと別次元のうまさ。岐阜戦のときの得点シーンが思い出される落ち着きでした。

先制した熊本。ただ、この先制点を生かせず、すぐに失点・同点にされてきた試合展開のもろさもこれまでの熊本。しかし今日は、その後の試合運びに関して、ピッチ上の選手たち自身も頑張りましたが、ベンチワークも的確で、納得できるものでした。

すぐに嶋田に代えて巻を投入。長崎のDFラインを牽制する。72分、一番足が止まるきつい時間帯に、平繁に代えて運動量のある黒木でかき回す。そして、そして…。追加点が難しくなった終盤残り10分を切ると、逃げ切りの守りのサインで、SBに鈴木を入れる。

養父が足を攣るが、立ち上がる。告げられたアディッショナルタイムは4分。巻が身体を張って前線でキープを図る。常盤も。長崎のクロスにダニエルが飛びついてキープ。長崎・梶川のアーリークロスにイ・ヨンジュがファーからシュートするも藏川がブロック。点差は1点。同点に追いつかれれば勝ち点は1になる。まだか、まだか、まだか!と待ちわびた終了のホイッスルを、そのときようやく主審が吹いてくれました。

以前も触れましたが、ウノゼロ(1-0)での勝利を理想とする高木・長崎に対し、まさにその展開での勝利は格別です。ただ、先制したあとに2列のブロックを敷いて守った高木体制のあの頃とは違い、今は前線から走りまわって組織的に守備をする熊本。どちらかがいいということではありませんが、ずいぶん違うサッカーです。

今日の殊勲は攻守に貢献した藏川。そのボランチ起用の理由を尋ねられた指揮官は、「実は自分の中ではぐっと伸びて来た選手の1人だ」としたうえで、こう答えました。「彼の持っているゲームを読む力、状況に応じたプレーの選択、チームの他の選手の良さを引き出す力を発揮してくれてるんじゃないか」と。

チーム最年長の彼が、「ぐっと伸びて来た」と評価される事実もある意味驚きなのですが、藏川の持ち味は、現場でのその適応力にあるのではないかと思っています。今日の試合も、序盤はフィットしていないように思えました。ミスも見受けられた。しかし、時間が経つにつれ徐々に修正し適応していく。犯したミスから、次にどうすればいいのかを考える判断力と対応力がある。年齢を感じさせない運動量もすごいのですが、実は経験からくるその適応力こそが、藏川の”本当の力”であり、常々「選手自身がピッチ上で状況を変化させられる」ことを望んでいる小野監督からすれば、信頼し、期待を込めて起用したい選手なのでしょう。

しばらく試合から遠ざかり不安を隠せなかったDF・園田も、今日の試合での最後は随分戻ってきたように思えました。それは相方のクォン・ハンジンの高さによる読みの”強さ”、押し込まれても奪ってからの反転の技術の安心感がもたらしたものではないかと思うのです。クォン・ハンジン。そのパフォーマンス。本当に良いDFを得たのは間違いない。

そしてそして、再び育英型期限付き移籍で仙台からやってきたGKシュミット・ダニエル。昨年は相次ぐGK陣の故障で1ヵ月間の超短期移籍。しかし、今回はだいぶ事情が違います。「チームに入りやすい環境を作ってくれた他の4人のGKに感謝したい」とのコメントはそのあたりの意味を十分に意識しています。

出場機会には恵まれていなかったものの、相変わらずの安定したプレーぶりやゴール前に立ちはだかるその存在感は、この一年間の成長を感じさせます。その高さを警戒する長崎は、CKもショートコーナーからの変化を狙うしかない。クロスの球筋も全く勝負してきません。短い振り足から繰り出すパントキックの距離は驚くほど遠く伸びて、その弾道は低くゴールに向かい、一瞬で好機を演出する。

久々の勝利でちょっと感情が高ぶっているわれわれですが、冷静に振り返れば、熊本の今日のプレーぶりがこれまでと大きく変わっているわけではなく。決して悪くないが結果がついてこない…。セットプレーでやられる…。そんな悪循環を断ち切った今日のGK起用だったと言ってもいいかもしれません。

今日はそれほどゴールを脅かされることもなかったのですが、一瞬ひやりとしたのは長崎・高杉の左から攻撃参加しての意表を突くシュート。ダニエルが完全に見切ったかに見えたボールはあわやでバーを叩く。しかし、「ちょっと低かったけど、外に出ると思っていた。狙いどおりのプレー」(熊日)と意に介さない。

熊本はこの試合に勝利して、ようやく4試合ぶりに降格圏内を脱して19位になりました。しかし、21位(水戸)とは勝ち点差2でしかない状況。安心とはほど遠い状況にあります。

まだまだ。ひとつひとつを勝っていかなければなりません。

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