【J2第19節】(駒沢)
東京V 0-2(前半0-2)熊本
<得点者>
[熊]黒木晃平(18分)、齊藤和樹(30分)
<警告>
[熊]黒木晃平(57分)、養父雄仁(74分)
観衆:2,691人
主審:今村義朗
副審:高橋佳久、村井良輔


前節は随分ネガティブなことを書き連ねましたが、今週は実に心弾むような週始めを迎えています。一喜一憂のファン心理。まったくですね。

スカウティング、選手起用、システム、ゲームプラン、試合中の交代カードと、これほどまでに小野監督の”思惑”がピッタリとはまった試合はなかったのではないでしょうか。

前線は常盤、齊藤の2トップ。2列目は嶋田と中山。ボランチは高柳の相方に、藏川ではなく上村を選びました。対するヴェルディも4-4-2。前節は7試合ぶりに敗戦を喫していましたが、ぴったりと9位に位置しています。

20150621東京戦

熊本は、前節の”残像”が強かったのか、とにかく自らのディフェンスラインの前のスペースを消して、くだらない失点をしないようにとても慎重な運び。終始一貫、守備的な意識、バランスを重視する姿勢が強かったゲームと見えました。それは、「今日負けたらまずい」という共通認識があったからに違いないでしょう。実際、今日負けていたら21位。いや順位云々ではなく、先週の敗戦以来チームを取り巻く雰囲気は微妙なものでしたね。

これに立ち向かう選手たち。その気合いがひしひしと感じられました。

開始早々、中山からの大きなクロスにファーサイドで常盤が飛び込む。スライディングしながら合わせ、逆サイドに流し込む。これはGKが好反応してクリア。常盤にとって前節に続く”古巣”との対戦。モチベーションは十分でした。

とにかく球際は非常に強かった。しかし無闇に追っ掛けてはいない。”取り際”を心得た対応というべきか。自陣に入ってきたパス。ここぞというところで確実に奪い切り、マイボールにできています。

先制は18分。ヴェルディのCK。熊本のクリアのボールに対して、ヴェルディDFがお見合いするような隙を中山が鋭い詰めで襲うと、瞬間の判断で左足アウトで前に出す。カウンターに駆け出していた黒木はまだハーフウェイラインを越えた位置でしたが、そのパスをダイレクトに蹴った。スライディングしながら。ループシュートで。ゴールを狙って。「ヴェルディのGK(佐藤)が味方のCKの際に、高めのポジションを取る」(熊日)という事前のスカウティングが頭にありました。「枠に入ってくれ」(黒木)という願いどおり、値千金の先制点となります。してやったり!

さらには30分、熊本の自陣からこれはカウンターというより齊藤が頭で競ってクリアしたボール。その処理をヴェルディDFがまごつくところを嶋田が奪ってカウンターに持ち込む。ドリブルで攻め込むと、Pエリア前で、追走してきた齊藤にパス。齊藤が寄せてきたDF、GKをあざ笑うかのような浮き球で、ゴールに流し込みます。

齊藤のうまさ。落ち着き。これで7得点目。得点ランキング10位に入る。そしてこれまでだったら自分で撃っていただろう嶋田が、瞬時の判断でよくぞラストパスを出した。この追加点でかなり楽になりました。

2点を取られたヴェルディは、前半のうちに3-4-3にシステムを変更します。さすがにヴェルディFW・平本に収まると、ズルズルと下がらざるを得ない。安西に代えて南を入れてくる。ヴェルディの攻勢。ただ、後半の45分間熊本も、しっかり引くところは引く、行くところは行くで対応しました。もはや黒木や養父の両SBは戦術的に上がらない。スペースを与えない。

ハーフタイムの指揮官の指示は、「立ち上がりから圧倒していこう」というものでしたが、これはヴェルディのシステム変更とその勢いに押し返されました。ただ、「アドバンテージを利用しよう」ということは遂行できたのではないでしょうか。球際の強さは上回りながら、中山に代えて巻を前線に投入して、DFラインにプレッシャーを掛ける。常盤に代えて藏川を入れ、ヴェルディの攻撃の芽をとにかく潰す。その集中力を萎えさせるように、とにかく攻撃の連動性を断つ。ヴェルディにとって”嫌なこと”をとにかくしつこくしつこく続ける…。

それがヴェルディを時間とともに焦れさせる。これぞ「アドバンテージを利用する」試合展開ではなかったでしょうか。

今日の勝因はいくつも挙げられます。なかでも黒木も言っていたとおり、事前の”スカウティング”が一番でしょう。 前半、嶋田が相手ボランチだけ潰しにかかったのもスカウティングだろうし、2失点した相手ディフェンスの連携の悪さも、もしかしたらスカウティングしてたのかも知れません。

そして、セットプレーの不安が格段に解消した。あれだけコーナーをとられても不安がない。やはりシュミット・ダニエルの安心感。同じクリアするのでも、クリアの”質”が違うというと言いすぎでしょうか。周りの選手があたふたしない。なんとなくこぼれ球も、味方にこぼれるから不思議…。

先にセットプレーから失点するのとしないのでは、こんなに違うものかと。後半の30分間は試合を運んで、時間を使っただけ…。見ている方からすれば、面白くない展開かも知れませんでしたが、”心理戦”としては手に汗を握るゲームでした。

また、ある意味、小野監督がこれだけ選手の役割を決めて、動きに制約を加えたのはあまり見たことがないなとも思いました。もちろん、それが機能したのは、最後まで足が止まらず、ゲームをコントロールしたピッチ上の選手たちのハードワークがあったからだろうけれど。そういう意味でも、指揮官の意図と選手たちのパフォーマンスが見事にかみ合った”ベストゲーム”だったと。

高柳は試合後、自身のtwitterでこうつぶやきました。「全員が仲間を信じてチームの勝利の為に走り切った結果だと思います。 試合を通じて個人としてもチームとしても修正点があるので、また明日から全力で取り組みたいと思います。 ホームで勝利を」。

そう。ホームで勝利を。色々な意味で次の讃岐戦が非常に重要なゲームになるなと思いました。

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