【J2第21節】(ヤマハ)
磐田 1-1(前半1-0)熊本
<得点者>
[磐]松浦拓弥(33分)
[熊]齊藤和樹(83分)
<警告>
[熊]高柳一誠(45分)
観衆:8,114人
主審:榎本一慶
副審:竹田和雄、木川田博信


「前半と後半に二つの顔を出してしまう二面性が出てしまった」と言ったのは、磐田の名波監督でした(5日付・熊日)。確かに前半と後半では、攻勢が完全に入れ替わってしまった。それはまるで野球の表と裏のように…と言うのも言い過ぎではないようなコントラストでした。

”自分たちの悪癖”と言いたげな敵将ですが、果たしてそればかりでしょうか。明らかに後半、熊本は巻を入れて流れを変えた。巻を後半から入れてひっくり返す、こんな展開をいつか見たという既視感(デジャヴ)のような思いがあって、過去のエントリーを遡ってみたんですが、今季ではないようで。(昨季だったのでしょうか、記憶力に優れた人、拍手コメントででも教えてください)

リーグ2位、昇格圏内を確保する磐田とのアウェー戦。小野監督は、またもやスタメンを変更し、CBの一角に鈴木を起用。ボランチは園田をそのまま、相方には上村。高柳を一列上げてトップ下に持ってきました。

20150704磐田

ところが前半は防戦一方。元イングランド代表の長身FWジェイが前線で納め、モビリティのあるアダイウトンにサイドを破られることを恐れて、DFラインが徐々に押し下げられる。自陣に押し込まれる熊本。両ボランチも含めて、今日トップ下の高柳までもが守備に奔走させられ、クリア一辺倒の展開の先には、ワントップの齊藤しかいない。収まらない。攻撃の形すら作れない。

「強気に攻めに出てというところにメンタル面を持ってくるというところに45分費やしてしまった」と言うように、とにかく、DFラインを押し上げろ!コンパクトにしろ!とピッチサイドから指示を出す小野監督。けれども33分、熊本DFラインでかけ引きしていた松浦に、上田からのパスが渡るとすかさずシュート。前に出たダニエルが一旦はブロックしますが、こぼれたところを拾い、すばやく押し込んで先制点とします。

先制点を許すと、一気に敗戦の色が濃くなるのが熊本。たとえば昨季のヤマハスタジアムでの初めての磐田戦では、開始7分に先制されると、ずるずると前半だけで3失点。当時指揮官は「「ミスは誰にでもある。ただ、できることを1つのミスで捨ててはいけない」と、ハーフタイムで鼓舞しましたが。

しかし、今日はここで辛抱できた。相手に追加点を与えなかった。このことは非常に大きい。そして、後半の反撃が始まります。

ハーフタイム。小野監督は「厳しい言葉で」士気を高めたのだと言います。それは「強気で押し上げて、強気でプレッシャーをかけて、強気に攻めに出」ろ、というところなのでしょう。「強気で」。その言葉は、昨シーズンでの戦いで、アウェー1戦目は全くメンタル面で負けてしまい、しかしホーム2戦目では、「臆することなく勇敢にラインを上げて戦ってくれた」(小野監督)結果、スコアレスながらも引き分けた。そんな強豪・磐田に対する、小野監督の”チーム戦術”に、通じるものがあると思いました。

そんな指揮官自身、「言葉だけでは不足だと思って」、「そういう攻撃的な姿勢」のシンボルとして後半から投入したのが巻でした。

「僕が入った時には、皆ある程度、セカンドボールに対する反応が早くなる」(ロアッソ公式サイト)と巻自身が言うとおり、熊本は見違えるように攻撃に上がって行けるようになる。敵陣に侵入する人数、アタッキングサードを脅かす人数も増えてきます。

58分には、左サイドの巻からグラウンダーのクロスに、中央で中山が惜しくも合わず。71分にも、黒木からのアーリークロスに、巻が惜しくも届かず。ファーには常盤も飛び込んでいました。攻撃に掛ける人数が増えている。

残り時間は10分を切る。しかし依然、攻勢は熊本にありました。左CKを得た熊本。黒木はショートコーナーを選択。低い弾道でニアに送ると、齊藤がDFと競りながら頭を振った。ボールはゴールの左ポストをかすめると、それまで完璧な守備を披露していた磐田GK・カミンスキーの手をかいくぐりゴールマウスを割りました。同点。

磐田は俄然、反撃に転じる。粘り強さを持った磐田。しかし、それ以上に粘る熊本の守備。そして熊本には逆転、追加点のチャンスが訪れる。巻が繋いで黒木の左からのクロス。抑えのきいた園田のダイレクトボレーはカミンスキーに収まる。フ~っ。

あの流れであれば、逆転弾を決めて、磐田を仕留めるべき展開でした。同点引き分けではもったいないような。名波監督が「拾った引き分け」だと言うように…。

これぞという存在感を示した巻は、「前半戦を象徴するようなゲームだったのかな」と、今日の試合を振り返りました。「自分たちの良いところを出すのに時間がかかったのかな」と。

しかし、巻自身の活躍だけでなく、90分のゲームのなかで、あれほどの劣勢を戦術的に挽回できることを証明したのは大きな自信につながる成果と言っていいでしょう。

さて、この試合でシーズンの前半戦が終了。熊本は勝ち点1を得て20位。降格圏順位からひとつは上というものの、しかし、19位の徳島も21位の岐阜とも、同勝ち点19で並んでいるという、なんとも不安な状況は続きます。

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