【J2第26節】(フクアリ)
千葉 2-3(前半0-1)熊本
<得点者>
[千]オナイウ阿道(62分)、金井貢史(90分)
[熊]齊藤和樹2(30分、58分)、嶋田慎太郎(73分)
<警告>
[熊]黒木晃平(90分+6)
観衆:8,499人
主審:松尾一
副審:塚越由貴、大友一平


千葉に勝ったことがあったっけ? 無意識にそう思ってしまうほどの苦手意識。特にアウェイ・フクアリでは、大敗のイメージしかなく…。記録をたどれば、対戦成績は1勝4分6敗。そのわずかな1勝は、2012年7月2日のホームゲーム。途中出場の高橋祐太郎が出した絶妙のスルーパスに、武富が決めた1点を守ってのもの。そのときのエントリーの題名は「勝ったぞー!千葉に」。当時の興奮が思い出されます(笑)。

そして、そして。実に3年ぶりの勝利に再び叫びたい。「打ち勝ったぞー!千葉に」。しかも今回は、8000の千葉サポーターが圧倒的な声量で支配するド・アウェイ、フクアリ。その余韻もまた格別です。

前節、ヴェルディの試合開始早々からの圧力に耐え切れなかった熊本。今節の千葉も、同じように開始早々から押し込んでくるタイプのチーム。特に前回対戦では無用なPKを早々に与え、それでずるずると加点を許したこともあり…。試合への入り方が最初の勝敗の分岐点。小野監督も「序盤が勝負」(スカパー)と捕らえます。

20150726千葉

先手を取ったのは熊本。1分、右からのアーリークロスを清武が落として、齊藤が強烈ボレー。しかしこれはGKがブロック。9分にはロングボールを巻が落として、齊藤がボックス内でGKと交錯するも潰される。惜しい。実はこれが、この試合で熊本が一貫して”狙っていた”プレーでした。

対する千葉の攻勢も鋭い。熊本のサイドチェンジのパスミスを高い位置で奪って攻め立てる。好手・左SB中村がアーリークロス。ニアで熊本DFが触るものの、そのままの勢いで抜けファーにいたペチュニク。これはペチュニクにも合わず事なきを得ました。

先制は、そんな互角の戦いのなかの前半30分でした。ペナルティアーク付近から黒木。クリアぎみのロングボールが千葉DFの裏に通ると、そこに齊藤。飛び出したGKを交わし、ボックス内に入った。追いすがるDFにも競り勝つと、捻り込むようにゴールに決めました。これも難易度の高い”齊藤の角度”でした。

しかし千葉も反撃。2列目の谷澤、町田、ペチュニクにアタッキングサードを脅かされますが、今日もダニエルが、最後の最後、壁のように熊本のゴールマウスを守ります。

1点先取で前半を終える。千葉相手にこれだけでも初めてのことではなかったでしょうか。先制点を取ったら負けない。そんな自信が、確信に変わったのは58分。ダニエルから前線へ狙いすましたロングボール。齊藤が自分のコントロール内に見事に収めると、相手DFの甘い詰めを見透かしたような股抜きシュート。前に出てきたGKの脇を抜けてゴールに転がり込む。1点目よりさらに難しい、これも齊藤の角度。これで齊藤は自身キャリアハイの11得点目。チーム得点王はもちろん、リーグ2位に躍り出ます。

ところがやはり2-0が一番危ないのがサッカー。後半途中から入った千葉・オナイウ阿道が右にはたくと、クロスにペチュニクがヘッド。そのクリアが小さくなったところをボックス内に入ったオナイウにボレーでぶち込まれます。1点差。

後半開始早々も、そんなに押し込んでくる感じがしなかった千葉でしたが、この日のスカパー解説の城福氏が監督業の”真髄”を説明する。「ハーフタイムでの指示で後半期待する結果に変わるかも知れない。しかし、変わらないとき、早めに選手交代する」。それがまさしく安に代わって入ったオナイウだったでしょう。PAのちょっと外からのオナイウの強烈シュートはダニエルがなんとかブロック。1点差にした千葉に勢いが出始めます。

ここで熊本は清武から藏川にスウィッチ。このベテランの投入はまさに、千葉の勢いを抑えるとともに、チームを落ち着かせる意図に違いありませんでした。

千葉の底力をジワリジワリと感じる時間帯。耐え続ける。そして体力的にも最もキツイ時間帯でした。中盤、ファウルギリギリで奪った黒木が前につける。巻に代わって入った嶋田が、それを受けるとすぐに反転。迷わず短い振り幅で左足を振り抜いた。瞬間、スカパーの実況アナウンサーも「ゴラッソ!」と叫んだ。嶋田のミドルで放ったシュートは、敵GKが横っ飛びするものの、ゴール右隅に突き刺さる。「前節は自分のミスで失点した」と悔やんでいた嶋田が、前節ヴェルディの高木にやられたような、しかし、較べるべくもない美しいゴールで取り返してみせました。

これでまた2点差とした熊本。しかし、それでもまだ楽にはしてくれないのが千葉の怖さでした。もう後半も90分、やがてアディッショナルタイムに入ろうかとする時間。左からの中村の大きなクロスをファーでオナイウが折り返すと、中央の金井が絵に描いたようにボレーでネットを揺らす。再び1点差。勢いは再び千葉へ。

アディッショナルタイム4分もあれば、千葉の勢い、底力からすれば、同点、果ては逆転する”瞬発力”もありました。千葉はDFのキムを前線に上げてパワープレー。スタジアム全体が揺れるように後押しする。しかし、熊本もまたゴール裏に結集した赤いサポーターたちの懸命の後押し。人数では劣っても、押し返す。負けない。今日は、絶対勝つ!必ず勝てる!そんな思いを結集させて…。

そして、何とか4分を凌ぎきった。追いすがる千葉を突き放し、逃げ切っての勝利。貴重な勝ち点3ポイントを手にしました。

「最後はみんなの気持ちが相手を上回った。きれいな勝ちではなかったが・・・」と言うのは園田。「熊本らしく泥くさく勝つことができた」と言うのは養父(27日付熊日)。ただ、やはりこの試合、忘れてはならないのは先発起用された巻の存在。得点こそなかったものの、攻守に体を張ったその存在感。千葉に先手を与えず、ゲームを作った。「『僕が先発に入ったというのは、試合の入り方を間違えないため』と起用の意図は感じとっていた」(同熊日)。

先発しても、後半から入っても、巻の存在が大きい。替えが効かない存在になってきています。そして斉藤。万能型のFWなどとベタ褒めの解説・城福氏。確かに嬉しいんですが…。あまり目立ってしまうのもどうかと…。微妙なファン心理ではあります。

順位はわずかひとつ上げて18位となりました。しかし、降格圏21位の京都からは4ポイント差をつけ、14位群馬まで3ポイント差に迫った。3年ぶりとはいえ、千葉への苦手意識を払拭した勝利劇。それだけでなく大きな”勝ち点”を得た嬉しいゲームでした。

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