【J2第28節】(長良川)
岐阜 0-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[熊]清武功暉(58分)
<警告>
[岐]岡根直哉(57分)
[熊]清武功暉(25分)
観衆:7,272人
主審:飯田淳平
副審:宮島一代、堀越雅弘


暫定ながら最下位に沈む岐阜は、夏のウィンドーである意味なりふり構わぬ選手補強を敢行。この試合でも、CBに渡邉、2列目に風間と砂川を先発させてきました。難波に高地の名前を聞いただけでもかなり嫌な印象なのに、さらに砂川まで。どうしてもあの札幌ドームでの直接FKが思い出されて…。ちょっと身震いしてしまいそうな試合前でした。

前回対戦時は互いが20位、21位の降格圏内で、「勝ち点6を賭けた」ゲームに、逆転負けを喫し、二度目の最下位に打ちひしがれた相手。「どんな相手でもチャンスを作ってくる危険なチーム」(7日付・熊日)と、小野監督も警戒心100%。特に前回の3連勝のチャンス、ヴェルディ戦では、「少し緩みが出たのか、落として」しまった。「かなり今週のトレーニングというのはピリピリとした状態のなかで、敢えてやるように」したのだという(ロアッソ熊本公式サイト)。

20150808岐阜

岐阜は開始早々、右サイドのスローインをゴールラインぎりぎりにいた砂川がダイレクトではたくと、中央に難波が入ってきてスライディングシュート。これはDFが体を寄せてゴールの枠外。しかしヒヤリとさせられます。

対する熊本は、岐阜の攻撃をインターセプトした嶋田が左サイド(岐阜の右サイド)のスペースに齊藤を走らせるパス。齊藤がCBに競り勝ちクロスを入れますが、これはGK。岐阜のSBが上がって、「空け渡してくれる」スペースを使うという指揮官の意図が見えます。

11分には、相変わらずの素早いリスタートからダイレクトパスで繋いでPA内まで侵入すると、左の齊藤が収めてシュート。これは惜しくもGK正面。

CKこそ、砂川や高地といったキッカーから繰りだされるボールに、嫌な感じがしましたが、流れの中で難波が裏をとるようなシーンはなく。今日も早めに嶋田と清武がポジションをスィッチし、組織的に守る熊本が、”勝ちたい”気持ち一心の岐阜の圧力を凌ぎながら、チャンスもきちんと作ったといった印象で前半を折り返しました。

前回対戦のときも、試合が動いたのは後半でしたが、同じように開始早々から岐阜は猛攻を仕掛けます。風間がスピードに乗ったドリブルでアタッキングサードを脅かす。スローインからボックス内で振り向きざまシュートはダニエルがキープ。益山に渡してミドルは枠の上。ハンジンの股を抜いたパンチのあるシュートはダニエルがクリアします。

それを凌いだ熊本。反撃のなかでロングフィードにDF・岡根と競った清武が倒されてFKを得ると、Pアークちょっと左からのそのFKを清武が自分で蹴る。「毎日練習している」(スカパー)というFK。前半にも同じような角度を練習していた清武。ボールは、岐阜が作った壁を綺麗に越えて、GKの伸ばした手に触れるものの、ゴールネットに突き刺さりました。移籍後はもちろん、意外なことに鳥栖時代も含めてJリーグ公式戦初ゴール。熊本が値千金の先制。

その後も熊本は惜しい場面が続く。直後にはダニエルからのキックを齊藤が落とし、高柳が拾ってシュート。そのクリアを嶋田が再び拾ってのシュートが、ゴールネットを揺らしますが、惜しくもその前にファールの判定。

69分には高い位置で奪って、齊藤がドリブルで突っかける。ボックス内で3人に囲まれますが、こぼれ球を強引に打つ。しかしボールはゴール左外。すぐ後も、途中交代で入った巻が、右からのクロスにGKがかぶったところをファーから頭で打ち抜きますがこれも枠の左。74分には、右サイド奥に送られたボールに齊藤が追いついてグラウンダーのクロス。そのクリアを養父が拾ってのシュートはGKがキープ。しかし、なかなか追加点を奪えない。

逆にアタッキングサードまで侵入させても、最後のところの執拗な守備で、岐阜に苦し紛れのミドルシュートしか打たせていなかった熊本の堅い守備でしたが、試合も残り10分になってくると、足が重くなってきます。ただ、ここでもダニエルが「ラインを上げたいところで上げれなくて、押し込まれている状況になっていたので、そこを無理やり押し上げるよりは、下げた中で何ができるかというのを真っ先に発信してあげるということが一番良い仕事」(公式)という判断で、「弾くところはしっかり弾く、キャッチして、すこしでも時間を使えるように頭を使ってやれるようにというのは意識して」守り切る。

高地が、途中交代で入ってまだスタミナのある清本を斜めに走らせたところに絶妙のスルーパスを通すが、シュートは左に反れて事なきを得る。今度は左サイドから3人を抜いてPAに侵入した高地がシュート。これはダニエルの正面。

PA左の角あたりで得たFKが、この試合岐阜にとって一番の見せ場だったでしょう。キッカーはもちろん高地。ふわりと上げたクロスはしかし、密集するエリア内でいち早くダニエルの片手がパンチング。ファーにこぼれたボールを岐阜の選手が拾ってシュートはミートせず反対側にこぼれる。

告げられたアディッショナルタイムは4分。岐阜のCKが続く。渡邉も上げたパワープレイ。熊本のクリアに次ぐクリアを再三岐阜が拾って入れ直す。巻がゴール前で手を叩いて鼓舞する。クリアして、田中が走って、黒木が走って。岐阜が自陣から送ったロングボールをダニエルががっちりキープした瞬間、終了のホイッスルが吹かれました。

「幾つかのチャンスをしっかり決めるところを決めないと、勝とうとする思いの強い相手、しかも強力な攻撃をもった相手には、あのような反撃を許してしまうという、そこは次に向けた反省だ」。試合後、指揮官はそう口にしました。確かに前回対戦を思い返せば、先制に成功したのも束の間、2点返されての逆転負け。

しかし、あの頃と違い、今日の1点は返される気が不思議としなかった。解説の森山氏も再三言っていたように、熊本は実にうまく守っていた。もちろんその中心には、前述したようなダニエルの存在があるものの、あの対戦時点からコツコツ”積み上げて”きた細かなルールや約束事。それを手を抜かず90分間忠実にやり通すというベースのようなもの。多分そこの違いがはっきりと勝敗を分けた試合だったように思えるのです。対する岐阜はいわば”新チーム“。互いの連携すらまだまだうまく行っていないように感じたのとは対照的でした。

熊本は初の3連勝。この勝利で勝ち点を35まで積み上げ、順位も12位まで上がりました。暫定最下位岐阜との差を12まで広げたと同時に、プレーオフ圏内6位の金沢までの差が7に縮まりました。なんとか中位グループに入れた、そしてようやく6位の背中が見えてきたといったところでしょうか。

そしてこの勝利は、熊本にとってJリーグ参入以来100勝目という節目になりました。J入りして8年目の100勝。これが早いのか遅いのか。もちろんわれわれ熊本にとっては通過点でしかありませんが。

しかし振り返れば2008年のホーム開幕戦。高橋泰の逆転2ゴールで群馬に初勝利を飾ったあの日からひとつづつ積み重ねたもの。歓喜と絶望。泣き笑い。ときには怒り、連敗のスタンドで情けなさに呆然と立ち尽くした日も。今期にしても叱咤激励の一曲のチャントをゴール裏が延々と歌い続けたゲームもありました。昨日のことのようです。昨年はチーム存続の危機に立たされたことも。

そんな現在進行形の8年の歴史。積み上げてきた勝利が、ようやく100という数字になった。色々なドラマがあったし、これからもずっとそれを見届けていきたい。かけがえのないわれわれのホームチーム。

遠い岐阜の夜空に響く、カモンロッソ!を画面越しに眺めながら、少しだけそんな感傷に浸ってしまいました。

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