【J2第31節】(大銀ド)
大分 0-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[熊]田中達也(90分+1)
<警告>
[大]伊佐耕平(56分)
[熊]園田拓也(22分)、クォン・ハンジン(59分)、齊藤和樹(72分)
観衆:6,890人
主審:荒木友輔
副審:中井恒、勝又弘樹


20150913大分

ヤバイ試合でしたね。

終わってみればシュート数は大分の14に対して熊本はわずかに3。90分間を通して一方的に攻められたようにも感じた。ヤバイ!と感じた大分の決定機が少なくとも3、4度ありました。それをスーパーセーブで防ぎ続けたのがGKのダニエル。シュートに対する反応は半端なくヤバイ。そして後半アディショナルタイムで田中の劇的な決勝点。このアシストの嶋田のパスもヤバイほど凄かった。

現在リーグ最下位に甘んじる大分との九州ダービー。天皇杯の中断を明けてリーグ再開戦。この試合に賭けるホーム大分の意気込みは相当のものがあるはず。そんな予感そのままの序盤でした。

スカウティングどおりにロングボールで押し込んでくる大分。分かってはいたものの、熊本はなかなかDFラインを高く保てない。押し上げようと試みるロングフィードは、大分のCBダニエルにことごとく跳ね返され、セカンドボールもうまく収められない。

拮抗した展開も、前半30分過ぎからは完全に大分のペースに。左サイドから為田。養父をドリブルで抜き去って放った強烈なシュートは、間一髪GKダニエルが片手ではじいて外に出す。その為田、さらに続けて左から突破。伊坂のヒールパスを貰いなおして三平に送る。しかし三平のシュートはアウトに掛かって枠の右に反れてくれる。すぐそのあとも左サイドで為田が溜めたあとのクロス。ファーサイドに走り込んだのはSBの西。至近距離からのダイレクトシュートは、GKダニエルが、大きな体躯で立ちはだかってブロック。神がかっている。まさに守護神。

前半、熊本のシュートは巻が放ったミドル1本のみ。そして後半もこの一方的な流れは続きます。

伊佐のスパイクが額に入って、園田が止血のためにピッチの外にいる間、大分の波状攻撃にさらされた熊本はクリアにつぐクリアで精一杯。大分の右からのクロスをエリア内でバウンドさせてしまい、マイナスに折り返されたところに走り込んだのは兵働。しかし、このグランダーの決定的なシュートもスーパーセーブで防いだGKダニエルでした。

いっこうに熊本にペースが来る気配がない。大分のDFダニエルに自由を奪われている斎藤が珍しくイラついているように見える。熊本は巻に代えて清武、中山に代えて田中を投入。ただし田中をトップに、清武をサイドに。

「田中達也はサイドで使うことが多いんですけれど、トップで使ってサイドに流れるような形、相手がラインを上げてくるタイミングでその裏を衝くということを徹底しようと」(九州J-PARK)とそのポジショニングの意図を語る小野監督。この指揮官のちょっとした閃きが、今日の勝機を呼び込んだ伏線だったと言えるかも知れません。

この二人の投入もあり、終了間際になって少し熊本のペースかなと思われ始めましたが、時間も時間。拮抗状態のまま、今日は引き分けが御の字かとも思ったアディショナルタイムでした。右CKの流れから作りなおして嶋田が右サイドから入れる。左足のアウトに掛けた低いボールに大分のDFもGKも一瞬躊躇したところに飛び出したのは田中。左足で押し込み、土壇場で熊本が得点します。

まさかのような失点に、天を仰ぎ、うなだれる大分の選手たち。残ったわずかな時間、高松のシュートも枠を外れると、大分にとっては勝ち点1さえも奪えない、痛恨の、そして残酷な敗戦となりました。ホームでは決して目にしたくない結末。

「相手は細かくラインを上げ下げすると言われていたので、絶対オフサイドにならないようにと思っていました」と言う殊勲の田中。天皇杯に続き、リーグ戦初ゴールを飾りました。

それにしてもです。圧巻だったのはそれをアシストした嶋田のクロス。いやこれはラストパスとも言うべきか。何と言えばいいのか。通常あの右サイドから入れる左足のクロスならインフロントでゴールマウスに向かって弧を描くボールを送るはず。しかしそれならばDFもGKも対処はし易い。けれど、嶋田が選んだカットを掛けるようにアウトサイドで蹴った低いストレート系の軌道は、前述したように意外性がありすぎて、瞬間、DFもGKもその意図が量りかねたのか、反応できず触れなかった。

「あのパスは自分の得意なキックで、少しアウト気味に入れました。中に3枚くらいいたので、誰か触るだろうというイメージで」(井芹記者@takash_i のtwitterから)という嶋田のコメント。あの瞬間、瞬時にそれを判断した嶋田。そしてそのイメージ通りのボールを出した。今週のベストゴールならぬベストアシストに選ばれそうな。ちょっと”変態”的な雰囲気さえ漂います。そしてそれに呼応したのはFWに入った田中。「ボールが来ると信じてゴール前に飛び込んだ」(熊日)、「慎太郎がいいボールをくれた」(九州J-PARK)と言う。若きホットラインの完成でした。

劇的な決勝弾を目の前で目撃したゴール裏の赤いサポーターたちも嬉しかったでしょうね。羨ましい。あの苦しい90分間の劣勢に、叫び飛び跳ね続け後押ししたご褒美が、この歓喜の瞬間だったのではないでしょうか。

劣勢のアウェー戦。最後は「引き分けでも良し」としようとしていたわれわれですが、この試合を勝ち試合にした意味は相当大きい。なんとかして勝つ。”勝ち切る”という強さが備わった。そういった”経験値”が増えてくれば、何よりチームの実力に”加算”されることは間違いありませんから。

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