【J2第35節】(長崎県立)
長崎 1-2(前半1-0)熊本
<得点者>
[長]イ・ヨンジェ(23分)
[熊]養父雄仁(65分)、清武功暉(83分)
<警告>
[熊]鈴木翔登(42分)、齊藤和樹(90分)
観衆:5,554人
主審:塚田健太
副審:竹田明弘、佐藤貴之


「いろんな選手が復調してきたが、ピッチに出せるのは11人。うれしい悩みが出てきた」。試合前日3日付の熊日による小野監督の言葉どおり、前線には平繁、ボランチの一角には上原。そしてベンチには巻、清武、岡本と頼もしいメンバーが控える。終わってみればその厚くなった選手層を活かした熊本が、今季初の逆転劇を演じてみせました。

スタートの布陣は3-4-3。長崎の3バックに前線の3人をマッチアップするシステムを選んだ指揮官。しかし結果的にはこれはあまり機能しなかった。何となく借り物のようなぎこちなさ。長崎の強い球際に押されるように、バイタルを脅かされます。

20151004長崎

開始早々、上村がPA前で拾って嶋田にパス。嶋田がエリア内に侵入するもDFに対応されてチャンスなく下げる。それを養父が遠目から打つが枠を越える。一方の長崎はスローインからPA内で落としたところをイ・ヨンジェがトラップ一発、反転からのシュートはDFがブロック。この互いのファーストシュートを放ったプレーヤーが、この後の得点者になる。その予兆でした。

「どちらにしろ1点差のゲームになる」(スカパー)。敵将・高木監督は戦前そう予想していたそうです。ここのところの対戦結果も相変わらず1-0の勝利が多い長崎(笑)。一方、養父は最近の試合を「先制点が取れていない。流れの中で取れていない」と振り返る。過去の戦績からも一点差と読むゲーム。なおのこと先制点が欲しい。

帰陣の早い長崎のブロックに手を焼く熊本。なかなか縦に入れられず、なんとなく後ろで回させられている感。徐々に焦りも感じられる。左の鈴木が前に預けて攻め上がろうとした時、そのパスが奪われる。長崎は右サイド奥からそれを前線にロングフィード。ハンジンがそれをヘッドでダニエルにバックパスするのではなく、足元に置こうとした。ちょっと欲が出ましたね。

そこにヨンジェが猛然とアタック。後ろから押したようにも見えたのですが、主審は笛を吹かない。倒れたハンジンからボールを奪うと、前に出てきたダニエルより一瞬早くゴールに流し込みました。

熊本が今季「先制点を奪われた試合に勝利したことがない」ということを、データを使ってしつこくあげつらうスカパーのアナウンサー。もちろんホーム側の解説者も熊本の悪いところばかりを指摘します。まあ、そんなものかもしれませんが…。

なんとか前半のうちに同点にできないものかと思っていましたが、多分、長崎はこのまま前半を終わらせればいい。あわよくば90分間そのままでも。ただ、その前半の終わり頃、「長崎は複数得点が課題」。そう言ったアナウンサーのコメントどおりになったのも皮肉でしたね。

後半、長崎が先に動きます。前線の木村に代えて佐藤。「1点のリードで勝てるとは思っていなかったので、2点目を狙いました」(九州J-PARK)と高木監督は言うものの、しかし選手は「でも正直チーム全体で点を取りに行けてはなかった」(梶川)と言う。

後半も10分が過ぎると、ここでも時間帯別の得点失点データを持ち出して、ここからの熊本の失点数の多さを指摘するアナウンサーがなんともしつこい。

しかし逆に今日の熊本はここからでした。鈴木を下げていつもの4バックに戻すと前線には巻。これで雰囲気がガラリと変わりましたね。選手が生き生きと躍動し始めます。同じ前線のターゲットでも、佐藤より何枚も上手。張っているだけで存在感が違う。

その巻が倒されて得た65分のPA左からのFKのチャンス。養父と目が合ったという上原が素早くリスタート。キーパーが出そうで出れない絶妙のクロス。中央で巻が潰れてくれて、ファーサイドから入った養父が落ち着いて合わせた。同点弾とします。

さすがに目が覚めた長崎と、その後は緊迫した攻防戦。熊本は岡本、清武と攻撃的カードをテンポよく投入し、残り時間も10分を切ったところ。いい時間帯でもありました。右サイドからのスローイン。園田から縦に齋藤、そして岡本、巻、再び岡本と全てワンタッチで繋ぐ。岡本が侵入すると見せかけてDFを引きつけると、左から上がった黒木へ出す。黒木がダイレクトで打つかと思いましたが、DFの股を抜いてグラウンダーでクロスを入れると、中には清武が背後からドンピシャで入り押し込みます。全編、岡本がデザインした攻撃だったとも言えるでしょう。流れの中どころか、完璧なまでに崩し切っての得点でした。

長崎は最後、DF高橋を上げて“大砲”得意のパワープレー。それを凌いで熊本が記念すべきアウエー50勝目を挙げました。

試合後、「ゲームのプランとしては、長崎のゲームを見ていたなかで、どういう立ち上がりをして、最後はパワープレーも含めてどう変化を加えてくるのか、それに対してある程度こちらも耐えうる、ゲームの流れに応じて、攻撃に出るにしてもしっかりと守りきるにしても、いくつかの変化を持つカードはありました」と言う小野監督。

「巻を途中からというのも1つですし、そういう意味ではスタートからやってもらう選手、それから途中で流れを変えてもらう、あるいはゲームを閉めてもらう、そういったところは考えて、清武もそのうちの1人です」と言う。

戦前の“うれしい悩み”を、対長崎のゲームプランに落とし込んだ指揮官。そしてそれに応えるように、キッチリとそれぞれの役割をこなした選手たち。それと「最後の最後までサポーターがゴールの後ろから応援してくれて」(小野監督)と言うように、敵地に駆けつけた450人の赤いサポーターたち。九州ダービー、アウェーの地で一体となった熊本が“逆転する力”を発揮しました。

われわれはスカパーの実況内容にちょっと辟易、イライラしていただけに、画面に映る「カモン!ロッソ」が、いつにも増して嬉しかったことを付け加えておきます(笑)。

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