【J2第42節】(うまスタ)
熊本 1-1(前半0-0)岡山
<得点者>
[熊]齊藤和樹(72分)
[岡]岩政大樹(86分)
<警告>
[熊]黒木晃平(14分)、上村周平(50分)、清武功暉(88分)
[岡]渡邊一仁(90分+1)
観衆:8,193人
主審:荒木友輔
副審:藤井陽一、小曽根潮


試合が終わって、「なんだか今シーズンを象徴するような結果だったなぁ」という感想を持ったのですが、全く同じことを井芹さんが先に書いていました(笑)(九州J-PARK)。先制点を奪ったものの追加点が奪えないままで追いつかれる。1得点ではやはり勝ちきれない。ダニエルが移籍以降、1試合平均失点が1点以下になったとはいえ、勝ちきるためにはやはり1得点では辛いのです。

20151123岡山

ボランチに中山と上村というコンビも初なら、齊藤がスタメンにいないのも、累積警告での欠場以外、初めてのことではなかったでしょうか。
「齊藤が良くないということではなくて、90分の中での流れが必要になるかなと。あるいはそういうことを考えられるだけ、誰を先発で出しても全く遜色ない、そういうレベルにあったというのが1つです」。その意図を、小野監督はそう説明しました。そしてその点では策がうまくはまった。

序盤から攻勢があったのは岡山の方でした。熊本を上回る早い寄せ。セットプレーのチャンスを作る。しかし、熊本もセカンドボールを回収し、組織的なプレスでボールを奪い、少しずつ少しずつ挽回していく。

23分頃には岡山のFKをクリアしてカウンターに。黒木がキーパーの位置を見てロングシュートを放つも枠の左。31分頃には再び岡山のセットプレーからカウンターに転じ、清武が運んで最後は右から走ってきた嶋田に。しかしトラップが大きくてDFに入られる。

一番惜しかったのは38分、黒木からのパスに嶋田がダイレクトでシュートは相手GKが弾きますが、そこを拾った清武がシュート。これがポストに嫌われる。思わず腰を浮かせ、そしてガックリ座りなおしたシーンでした。

スコアレスで迎えた後半。知将同士のベンチワークの戦いにもなりました。「主導権を取るために」(長澤監督)、早めに岡本を入れてきた岡山。それに対して平繁を用意している熊本でしたが、岡山のCKのチャンスに交代をストップ。

それに対して72分、今度は自分たちのCKのチャンス。直前に中山に代えて齋藤を入れる。「熊本さんのセットプレーは十分に注意していたんですけど、交代選手のところのマーキングでズレがあった」と長澤監督が言うとおり、清武の蹴ったボールは、ポッカリとフリーになったど真ん中の齋藤が頭で捉えてゴールに突き刺しました。交代で入ったばかりの齋藤のファーストタッチでした。

残り10分。嶋田に代えて、それまではリスクを犯していたとも言えるボランチのところに藏川を入れた(中山が下がったあとは清武が務めていた)。この交代がイレブンに「1点を守りきるぞ」と伝わったに違いない。そうやって試合をクローズしようとした熊本。

それに対して岡山が黄と渡邊の2枚替えで、ゲームをオープンな展開に引きずり戻した。コンフュージョン(混乱)をもたらすかのように。

84分、FKからの流れでしたから、まだ岡山のDFが前線に残っていました。サイドスローから入れて竹田がドリブルでエリア内に侵入。このケアに遅れたのが痛かった。中央へのパス。ゴール前の岩政がヒールで流し込みます。

無情な同点弾。ため息のスタジアム。

さらにそのあとも岡山の強烈なミドルシュートをダニエルが弾いて止める。がら空きのゴールに、ボールを回されシュート。これはゴールマウスに立ちはだかった黒木が右足で間一髪クリアする。絶体絶命のピンチでした。

逆にアディショナルタイム。カウンターから左サイドの藏川が持ち込む。右から走って来ていたのは齋藤だったでしょうか、それともアンデルソンだったでしょうか。しかし、PAに入るか否か、藏川はシュートを選び、それはGK正面に収まり万事休す。終了のホイッスルが鳴りました。

「最後はお互いにカオスの状態になって」「見ていた人はすごくおもしろいゲームだったと思います」と言ったのは長澤監督でした。熊本としても「選手達は死力を尽くして出し切ってくれた」(小野監督)と言うとおりの熱戦でした。

ただ、しかし。冒頭の感想のとおり、それでも勝ちきれないその薄皮一枚のような部分、それがこのシーズン最後まで付きまとった課題ではなかったかと。順位も近かった岡山との戦いだったからこそ、そう思った最終節でした。

終わってみれば13勝15敗14引き分け。順位はひとつ上げて13位で終了。それは昨季と同じ順位でした。今シーズンの総括は、改めて別のエントリーでさせていただくとして。とりあえずは最終戦の感想でした。皆さん今シーズンもお疲れさまでした。




さあ、そろそろこのエントリーをアップしようかと思っていたちょうどそのときでした。小野監督退任のニュースが…。

「…クラブからは来シーズン続投のオファーをいただきましたが、自分の中では1年1年強い覚悟をもってやっているなかで、J1昇格・プレーオフ出場という目標を達成できなかったことに対して、けじめをつけることを決めました。…2年間、本当にありがとうございました」
監督らしい、はっきりとした、潔い退任の弁でした。

九州の二部リーグチーム。なかなか思うような戦力や環境が整わないなかでの戦いは苦しいことのほうが多かったのではないでしょうか。しかし、日本サッカー界きっての智将を迎えたこの二年、われわれにとって、現代サッカーの水準を示してくれるような基本戦術がひとつひとつ組み立てられ、完成度を増していくプロセスを目の当たりにして、サッカーの面白さ、奥の深さを改めて噛み締める至福の時間でもありました。

小野監督。こちらこそ、ありがとうございました。

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