【J2第1節】(うまスタ)
熊本 1-0(前半1-0)松本
<得点者>
[熊]清武功暉(16分)
<警告>
[熊]植田龍仁朗(49分)、清武功暉(90分+2)
[松]オビナ(24分)、當間建文(76分)
観衆:8,253人
主審:佐藤隆治
副審:八木あかね、平間亮


勝ちました!ホーム開幕戦。開幕戦勝利は2年ぶり。それにしてもホッとしたというかなんと言うか…。

待ち焦がれたリーグ開幕。三寒四温の季節のこの日は、思いがけず春の陽気を思わせる気候になりました。ピッチ上は21度。湿度は35%。風もほとんどありませんから、選手たちにとっては暑いくらいだったかも知れません。

熊本の先発は「うん。なるほど」といった布陣。新加入ではGK佐藤、CB植田が入った。前線は、ニューイヤーカップでも好調に調整できているなと感じさせた平繁と清武が組みます。

20160228松本

対する松本はいわずもがなJ1を経験してきた難敵。これまでの対戦成績も分が悪い。分が悪いというより、苦手を通り越して、勝てそうにないような気分まで漂う感じ。しかも、どのメディアもその点にフォーカスしたように、昨季の熊本を救ったともいえる救世主・GKシュミット・ダニエルが、今度は初戦から敵となってゴールマウスを守るという因縁。

ダニエルからどうやってゴールを奪うか。戦前のイメージは全く思い浮かばない。せいぜい考えられるのは、澤村公康GKコーチがシュミットのウィークポイントだと言う、速いクロスからのニアワンタッチゴールからの得点か。(熊本蹴球通信

しかしこの”因縁”のゲーム、一番の見せ場は、意外に早く訪れます。いつものとおり、いや昨年以上に序盤からチームプレスで厳しくいく熊本は、ボランチの上村がDFの頭越しにパスを送る。それをPA左できっちり収めた清武が、「ハンドを狙っていたわけではないんですけど、きわどいところにボールを入れようと思って」(九州J-PARK)上げようとしたクロスを、松本のCB飯田が腕で止める。すかさず主審がペナルティマークを指差します。PK!

守備範囲の広さ、”流れ”のなかの反応はピカイチのダニエル。しかし熊本にいたときもPKストップの実績はない。キッカーはもちろん清武。大きく深呼吸すると、「ダンは去年、僕のPKも見ていますし、僕もギリギリまで判断して」、ダニエルが山を張って横っ飛びした逆をしっかり突いて、ゴール左に流し込みました。先制!飛び上がるスタジアム。

清武は真っ先にベンチの清川監督のもとに駆け寄り抱擁します。ダニエルの守るゴールマウスを破って得点を挙げたのは、同じく昨季の立役者、今季も助っ人としてやってきてくれた清武その人。背中には(レンタル選手にはあまり与えられることのない)10番が。

その後も中盤でのボール奪取からの反転、パスを受けてすかさず前を向く清武や平繁。松本の攻撃は単調で、熊本は危なげない試合運び。ただ20分過ぎ、相手に与えたFK。初めてのセットプレー。今年もゾーンで守る熊本にとっての”課題”であるだけに、不安がよぎります。山形から移籍した名手・宮阪から放たれたボールは、FWオビナが中央からフリーで叩き付けた。しかし運よくゴール左に反れてくれます。助かった。

1点のアドバンテージで後半を迎える。敵将・反町監督がどう修正してくるのか。講じた策は「パスのアップテンポ」「長い距離を走って裏を取る動き」、そして工藤をシャドーに持ってくる。

後半は完全に松本に支配されましたね。最初の15分を凌げば押し返せるとも思っていたのですが、それもなかなか叶わない。度重なる松本のCKに、集中を切らすなと祈るばかり。逆にカウンターから追加点を狙えるかとも思ったのですが、なかなか持ち上がることすら難しい。70分には熊本陣内で奪われバイタルを脅かされシュート。ブロックするも再びシュート。藏川や植田が身体を投げ出してブロック。最後の松本のシュートは枠の上。危ない。

熊本は嶋田に代えて巻を投入。前線で弱くなった”守備”をテコ入れ。しかしなかなか松本の圧力を押し返すまでにはいかない。追加点が望めないまま時間は過ぎていく。試合後、清川監督が吐露するように、「どのタイミングかというのは自分も悩んでいて、もっと早ければ、跳ね返してこっちに流れを持ってこれるのかという、本当にギリギリのところでした」という時間帯、84分にFW平繁を下げると、DF鈴木をDFラインとボランチの間を埋める、松本に脅かされていたバイタルエリアの真ん中に、丁度アンカーのように投入した。まさしく「逃げ切り」のサインでした。

アディショナルタイムは5分。松本は更に攻勢を強める。前線を薄くした熊本は、もはやクリア一辺倒。身体を張ってゴールマウスを死守する。味方はいなくてもとにかく前へ蹴り返す。とにかくゴールより遠いところへ。時間を消費させるためだけに蹴り返す。ただそれだけを繰り返す。

それはまさしく勝利への執念に違いありませんでした。なりふり構わないプレー。実に泥臭い。勝ちたい!清川新監督とともに勝利を。

終了間際のラストプレー。松本のCKにGKダニエルも上がってきた。松本も最後まで食い下がる。J1経験組として、このまま負けるわけにいかない。しかし、このセットプレーもクリア!そして終了の笛が鳴る。

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「開幕戦は内容より結果が大事だと思うので、勝ちきる事を意識していました」。今季キャプテンマークを巻く岡本は、試合後そうコメントしました。「苦しい時間もありましたけど、皆しっかり我慢できた」と。確かにこれまでの熊本だったら、あの相手の圧力に必ず屈していた。同点、あるいはその先に逆転という展開もありえた。戦前、われわれもなんとか引き分けられれば、上々の開幕と思っていたくらいです。その松本に結果を出して見せた。

しかしそれを撥ね返した、凌ぎきった。この”粘り”は、「勝ちたい」という思いと同時に、新監督・清川監督に「勝たせたい」という思いが優った結果ではないのかと。

試合後、「非常に疲れています(笑)。選手以上に疲れているんじゃないかなと」とコメントした清川監督。こんなに正直に心情を吐露した監督は今までいない。試合開始前のスカパーの映像でも、監督の表情は緊張そのもの。

チーム戦術の継続を最重点に、監督経験のない清川氏を選んだ。そしてそれを支える集団指導体制もあまり例がない。そんな新任監督に、早くも勝利という結果をもたらしたイレブン。「キヨさんに、早く勝利をプレゼントしたい」という選手の気持ちが表れての今日の泥臭いまでの勝利。選手と監督のその”近さ”に、今季の熊本の新しい”可能性”を感じざるを得ない勝利劇。

決して快心とはいえませんが、長かったオフシーズンからのいろんなモヤモヤを晴らしてくれるたような。チームが一丸となってひとつの答を出して、さあ新しいシーズンが始まる。実に清々しい、開幕戦らしいゲームになったなと思います。

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