【J2第5節】(長崎県立)
長崎 0-2(前半0-2)熊本
<得点者>
[熊]清武功暉(9分)、平繁龍一(41分)
<警告>
[長]小野寺達也(40分)
[熊]上原拓郎(85分)
観衆:5,029人
主審:小屋幸栄
副審:亀川哲弘、藤沢達也


「首位奪還」「単独首位」。なんとも聞き慣れない。ちょっとこそばゆい。そんな時期じゃないだろうが、と一応は無関心を装うものの、しかし思わず口元がほころんでしまう。ネット上の順位表を画像保存する人多数(笑)。まだ5節目とはいえ、まさか(というと怒られますが)こんな位置に座る日が来ようとは。単独だけに、眺めの良さは格別です。

まだまだ課題はあるものの、結果は完勝と言っていいでしょう。スカパーのアナウンサーは、過去の対戦成績を取り上げて熊本との相性の悪さを心配していましたが、われわれにとっては、その能力をよく知る高木監督が率いる長崎は、不気味なことこのうえない。そしてわれわれ以上にそれを知っているのは清川監督。「(高木監督は)勝負に熱い人。しっかり分析して綿密に練習して試合に臨むところを見てきた。だからこそ、監督として初めて対戦する試合でなんとか勝てれば、逆に恩返しになるのかなと思います」(熊本蹴球通信)。そう戦前言っていました。

熊本は、「相手の高さもあり」(公式サイト・清川監督)2トップの一角に今季初めて巻を入れてきた。そしてボランチには逆に高さはないものの、「相手の切り替えの早い攻撃に対して、彼の運動量がすごく求めた部分」(同)という理由で、上村が復活。

20160326長崎

18時キックオフの初のナイトゲームは、気温12.8度とやや寒かったでしょう。「全体的に圧をかけてくるだろうと。それを恐がってしまうと思うつぼで相手のペースになるので、それを脅かすような入りができれば」(熊本蹴球通信)と言っていた清川監督の期待に応えて、熊本の入りは悪くない。先制機は早い時間に訪れました。

9分、黒木が左サイドでボールを落とすと、拾った岡本がうまく長崎のディフェンスを交わしながら中にドリブルで絞ってきた。右の上村に預けると長崎のスライドも追いつかない。さらに右サイドを猛ダッシュしてきた藏川へ。藏川にはDFのスライディングが入りますが、それを飛び越えてゴールラインぎりぎりのところで低いクロスを上げた。スペースをうかがっていた清武が、ニアでそれに合わせてゴールにねじ込みます。

この場面、岡本の粘り強いドリブルも良かったし、藏川の頑張りも、合わせた清武もうまかったのですが、スカパーのマッチデーハイライトで下村東美氏が指摘していたように、ゴール前でクリアしてそして左サイドまでダッシュしている黒木のモビリティが凄いと言わざるを得ない。攻撃に転じるときの、全員のイメージの共有とカウンターへの意識が生んだ、チーム全員の得点。何度繰り返して見ても見どころ満載の美しいゴールでした。

先制してからも熊本の攻勢が続く。長崎は浮き足立ったのかパスミスを連発。熊本が高い位置でインターセプトして速攻に持ち込む。長崎のFW永井に時折エリア内に侵入されますが、GK佐藤の飛び出しで難を逃れる。危なかったのは29分、一旦園田がプレスからチェックしたものの、相手に拾われ、空いたスペースを永井に使われ折り返されると小野寺の強烈ミドルシュート。ここはGK佐藤が間一髪、クリアします。

追加点は前半終了間際でした。長崎の安易な横パスを清武がカットすると、巻、再び清武、最後は左の平繁に預けた。対峙したDFに、エリア内縦に勝負を賭けた平繁。思わず平繁を倒してしまう長崎DF。主審は迷わずPマークを指差します。

もちろん蹴るのは平繁。GKにも反応されましたが、それより速く、ボールはゴールネットを揺らします。平繁の今季初ゴールで前半のうちに2点差としました。

「あせらず落ち着いて戦おう」(公式サイト)と、後半選手たちを送り出した敵将・高木監督は、得意の2枚替え。FWロドリゴとDF村上を入れて来ます。1点でも入ると形勢逆転。”2-0は危ないスコア”というのはサッカーファンなら誰でも知るところ。

猛攻を仕掛ける長崎。熊本の選手間のスペースを使い、球際も激しく、ボールを運び、バイタルを襲う。更にMF中村を入れると、中盤もシステムを変えた。早めの3枚目のカードを切って、点を取りにきた。

それに対応して中山を入れる熊本。そして、ピッチサイドの清川監督は、DFラインを下げさせまいと必死に叫ぶ。

74分には齋藤を入れる。この展開で齋藤のスピードは面白い。83分、齋藤が裏に飛び出すがGKがセーブ。続く84分にも齋藤のカウンターからシュートはGKがクリア。惜しい。しかし速い!前がかりにいきたい長崎の重心をジリジリと下げさせます。

長崎はゴールが遠い。時間だけが過ぎていく。もう切るべきカードは残されていない。終了間際、熊本は先日加入が発表されたばかりのキム・テヨンを投入。バイタルを締めると同時に、その高さで高木監督お得意のパワープレーに備える策か。

しかし長崎は攻め疲れたか、その後、アディッショナルタイム3分も危ないシーンはほとんどなく、主審の笛が、熊本の勝利を告げました。

セレッソが金沢に引き分けたため、そして熊本が2点差で勝ったため、得失点差で熊本が単独首位。

しかし、「首位とはいえ、本当に1戦1戦戦っていかなければいけないチームだと思っている」と言うのは清川監督(公式サイト)。清武も「単独首位ということは聞きましたけれども、僕たちは挑戦し続けるだけなので、おごらずに頑張りたい」(同)と言う。

それは決して謙虚なコメントというだけではなく、結果オーライで良しとはできないような”課題”を、この試合でも実感しているからなのでしょう。実際、2点差としたあと、攻撃が淡白になったことは否めない。常にあるのは、相手の時間帯になったときの圧力の返し方。後半も陣形をコンパクトに保てるか、プレスを維持できるかという、ずっと抱えている課題。今日のこのゲームも完封ではありましたが、それはGK佐藤のかなり神がかりな活躍によるところが大きかったのは認めざるを得ません。

だからこそ次の試合までに、練習のなかで修正していく。それは小野監督に学んだこと。そして、相手をしっかり分析して、そのための対策を練習に盛り込んでいくことは高木監督に学んだ。

次節はホームで降格組の清水との対戦。どんな内容になるのか。ドキドキするような、それでいてこっそり期待もしたりする。序盤戦の大きな楽しみになりそうなゲームです。

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