【J2第16節】(Cスタ)
岡山 2-1(前半1-0)熊本
<得点者>
[岡]田中奏一(24分)、矢島慎也(65分)
[熊]アンデルソン(51分)
<警告>
[岡]矢島慎也(59分)
観衆:7,308人
主審:清水修平
副審:伊東知哉、福岡靖人


なかなか勝てません。震災を挟んでついに6連敗。順位は暫定ながらも19位まで落ちてしまいました。

前節のエントリーで、わが熊本は「相手を圧倒する球際と、圧倒する切り替えと、圧倒する運動量があって初めて勝機が見いだせるんだ」と書きました。その点で言えば、今節のこの試合は、復帰直後の千葉戦は除くにしても、震災後一番の内容の悪さだったではなかったでしょうか。いやむしろ岡山が良すぎたのか。90分間ほぼ岡山に主導権を奪われた。そんななかでリーグ復帰後、ようやく初得点が生まれたことが、唯一の収穫と言えました。

ちょっと選手のメンタル面が気になっています。コンディションの面でいえば、ゲーム体力は戻ったように見える。しかし、メンタルのコンディションは、ちょっと戻っていないのかもと。いや、戻るというより、“調整”されていないかも知れないと。

清川監督は試合前、岡山のことを十分リスペクトしつつ、しかし「岡山のいいところをつぶしにかかるより、こちらが仕掛けることで先手を取りたい」(スカパー)と、ゲームプランを描いていましたが…。仕掛けて先手を取られたのは熊本の方でした。

20160604岡山

熊本の狙いは、岡山の3バックのサイドのスペースを使って揺さぶり、DFの間隔を空けることによって崩すということだったでしょう。岡山の特徴であり、弱点でもある部分。前監督の小野さんに言わせれば「砂をまぶして隠している」部分です。

そこをロングボールでアンデルソンや清武を走らせようともしましたし、黒木や片山の両SBが高い位置を取り、侵入することも狙っていました。しかしサイドは逆に岡山の両WBの速さに翻弄された。そのベースになっていたのは、岡山の組織的な守備、球際の強さ、攻守切り替えの早さ。それこそ本来熊本がやりたかったサッカーでした。

今季初先発となったアンデルソンには、3人掛かりで奪いに来る。奪ったらワンタッチパスで素早くバイタルを脅かす。ボランチの矢島が、前線の豊川目掛けて幾度もボールを出す。いずれもリオオリンピック代表を目指す選手同士のホットラインのように。

24分、またしても先制点を奪われてしまいます。熊本の右サイド。黒木が喰いついたところを交わされると、三村がそのスペースからゴール前を横切るようなグラウンダーのクロス。ファーには対角の田中が待ち構え、左足で巻くようにゴール左上隅に流し込む。前節町田戦の1点目のような崩され方でした。

「相手をこわがっている部分がある。負けてたら試合にならない」。ハーフタイム、指揮官はそう言って選手を鼓舞しました。

その言葉が効いたのか、雨の強まった後半、最終ラインからのロングフィードのこぼれたところを嶋田がPアーク前からシュート。これは岡山GK中林が横っ飛びでクリア。そのCKからの流れ。左サイドからの嶋田のクロスにアンデルソンのスライディングシュートは、惜しくも枠の上。

そんな熊本の勢いからの得点でした。51分、岡山の執拗な攻撃を守り切ると、自陣から縦に展開。アンデルソンが落として清武につなぐと、清武が猛スピードで持ち上がりクロスを入れる。ゴール前のDFが一度は触るものの、上がっていたアンデルソンがそれを奪って流し込んだ。同点!

復帰後初得点者はアンジー。FW2人で作った攻撃と得点と言ってもいい位のシーンでした。

しかし、喜びもつかの間でした。岡山の左右に振った波状攻撃。中盤も含めてボックス内で跳ね返していましたが、シュート体制に入った田中を、その殊勲のアンデルソンが後ろから倒してPKを与えてしまう。

キッカーは矢島。落ち着いて決めます。

熊本はこの失点の前から岡本を入れていましたが、失点後はテヨンを最終ラインに下げて3-4-3に。岡山の両WBに片山、黒木を対峙させます。そして前線には巻。最後は平繁も投入しますが、熊本の入れるクロス攻撃に岡山のゴール前は厚く、跳ね返され続けると、敗戦の笛を聞きました。

試合後、主審の横に整列した熊本の選手たちの誰もが、苦虫を噛み潰したような表情に見えたのは、“自分たちのサッカーが出来なかった”という悔しさではなかったでしょうか。「もっとやれるだろ!」というゴール裏の叱咤を、顔を上げて聞いている。選手たち自身が当然そう思っているのだろう…。

ただしかし、相手を上回れない。そういう“現実”と選手たちは立ち向かっているのだと思います。

ハーフタイムで清川監督が選手たちに指示したことで、あとの二つの言葉も気になります。「ボールを奪った後、あわてずにプレーしよう。反応は早く。」「1人で頑張るのはきついが、全体で頑張ればやれる」。いずれもメンタルに訴えている。

前節、自陣のゴール前の高いボール処理に躊躇してバウンドさせたように、水戸戦では消極的な横パスやバックパスに終始したように、あるいは今節全員が球際に強くいけなかったように。選手たちは「サッカーが出来る喜び」を感じつつも、「被災地に早く勝利を届けたい」という思いが強すぎて、しかし相手を上回るほどのコンディションや連携には届かないもどかしさのなかで、ボールを大事にしたいというネガティブさと、縦に急ぎたいというポジティブさに混乱してはいないだろうか。

冒頭書いた「メンタルコンディションが“調整”されていないのでは?」というのはそういう意味です。震災を挟んで、フィジカルコンディションの復活ばかりに目が行きがちでしたが、思えばこの震災で選手たちは得体のしれない重いものを抱え込んだわけで。この試合前に敵将・長澤監督が「熊本は、今一番、おそらくJ2だけでなくJ1のどのチームよりも戦う気持ちが強いはず」(スカパー)と言っていたように。

その震災後の難しいメンタルコンディションについて、ちょっとわれわれも含めて甘くみていたのではないかと。“調整”というより“整理”、場合によっては選手ひとり一人にカウンセリングやセラピーといった対処が必要なのかもという気さえします。

「これが今の現実だと思うので、受け入れてやっていかなければいけないと思う」。巻は試合後そうコメントしました。ただし「得点と勝点、勝利が欲しかったが、1ゴールを取れたことは前に進めたのかなと思う」とも。

そう、勝てはしなかったけれど、震災後初ゴールを決められたことは、半歩は前進できたということでないか。そう捉えて、一歩、二歩と前に進みたい。戦っていきたいと思います。

なんといっても次節は“隣町”鳥栖のベアスタを使用させていただいてホーム戦が開けます。この距離感は大きい。平日ではありますが、多くのファンがゴール裏から後押ししてくれることを期待したいと思います。

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