【J2第18節】(正田スタ)
群馬 1-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[群]小林竜樹(90分+2)
[熊]黒木晃平(52分)
<警告>
[熊]園田拓也(61分)、キム・テヨン(74分)、アンデルソン(84分)
観衆:4,710人


サッカー、というか勝負事っていうのは、本当に難しいものですねぇ。あの時間帯、あのシーンで、いくら名手の松下といえども、162センチの小林の頭をピンポイントで狙ったとは思えないのですが…。ニアでつぶれた“長身”の永井の頭を越えたクロスボールは、その小林がうまくとらえて、ゴール左隅に流し込むと、熊本の手から勝ち点2がするりとこぼれ落ちました。

「攻撃陣のコンディションは上がってきた」(スカパー)と清川監督が戦前言うように、前節の勝利で暫定17位に浮上した熊本は、その勢いで20位に沈む群馬を相手に連勝をもくろむ試合でした。群馬もまた3連敗のあと、前節北九州を3-0で下し、連勝を目指す。警戒すべきはその試合でハットトリックを達成した大卒ルーキーのFW瀬川。

中3日の連戦ながら、熊本は先発メンバーをいじらない。試合開始早々からボールポゼッションは熊本。対する群馬は、「相手に持たれる時間があってもいい」(松下)というように、奪ってからのショートカウンターが狙いのようでした。

20160612群馬

23分には清武がドリブルで持ち上がってのミドルシュート。GK横っ飛びも触れませんが、これはポストに跳ね返される。続く24分にも、高柳、平繁のバイタルでの短いパス交換から嶋田が左足一閃。しかし今度はクロスバーに嫌われる。実に惜しい。

片山と黒木の両SBを高い位置取りにさせた熊本は、小気味のいいパス回しで群馬の厳しいプレスをはいでいく。しかし、得点には至らぬまま前半を終えます。

群馬もこのまま手をこまねいているわけにはいきませんでした。ハーフタイムで「怖がってはいけない」「勇気を出して狙っていこう!点をとるぞ!」と服部監督が鼓舞すると、球際が激しくなり、熊本のパス回しから徐々にボールを奪うようになります。そして前線の瀬川に集める。

しかし52分、先制したのは熊本でした。群馬の攻撃を凌いで左サイドから持ち上がると、右にサイドチェンジ。もらった黒木が中にカットインするとシュートコースが見えた。豪快に左足を振りぬくと、ポストに当たるものの、今度はゴールに吸い込まれました。

熊本は先制した試合の勝率は100%。そんな嬉しいデータを試合前のスカパーが紹介していました。

しかし63分、平繁が痛んでアンデルソンに交代すると、群馬もFW小牟田に代えて小林。その小林が右サイドで粘ってドリブルで突っかけると、間に一人使って最後は中村がエリアに侵入。しかしシュートは右サイドネットで助かる。

群馬のポゼッションが増え始めると、左右に振られ守る時間が長くなってきた熊本。岡本を下げて薗田を入れ、3バックというより5-4-1の布陣。虎の子の1点を守り、0で凌ぐというメッセージは、この時間帯のこの攻防ならセオリーどおりだったでしょう。

だが、アンデルソンひとりの前線では、カウンター要員としては不十分。群馬が常盤を入れ、長身ドリブラー永井を投入した頃には守勢一辺倒。それでも凌ぎ、時間を使って、ようやくアディッショナルタイム3分に入って、連勝の喜びを今か今かと爆発させようとしていたとき。それが冒頭のシーンでした。

「連戦ということもあり、なかなか思った試合運びができなかったが、なんとか前半をしのいで、得点を取る機会を狙っていき、ああいう形で点が取れました」(公式サイト)。試合後の清川監督のコメントを読むと、前半を見る目が少しわれわれよりネガティヴだったのがわかる。ハーフタイムでも選手たちに「よく耐えている」と。

しかし「その後は少し守備的にして後ろの枚数を増やした。なんとか勝点3を熊本に持ち帰ろうとしたんですが、向こうの圧力もあって引き分けという形になってしまった」(清川監督)と。

われわれが見る以上に、連戦の中での選手たちのコンディションは苦しいものがあったのかも知れません。それでも指揮官は、3日前と同じ先発メンバーを選びました。また、残りの時間を考えても、あそこで守備的にしたのはセオリーどおりではあります。ベンチメンバーを見ても、そういう采配になるのも肯けるところです。

しかし。しかし、たったあと1分というところで凌ぎきれなかった。これはもう勝負の綾と言ってしまうほかないのか。

画面を通じてのわれわれの想像に過ぎませんが、どうもあの時間帯のワントップという戦術でアンデルソンが孤立したのかどうか、判定に対してすごく過敏になっていたような。イライラしていたような。最終盤、スカパーの実況によれば清川監督から“もっとお互いに話せ”といった指示がとんでいたようなピッチ内の状況。なんとなくそのイライラが全体に伝わって、チームのギリギリの集中力を削いでいたようにも見えました。

いや、個々の選手がどうこうではなく、勝負の綾はそんなところにあったんだと、納得したいだけです。

新人監督にとっての経験値が、またひとつ加わったことは間違いありません。言葉数の少ないコメントがその苦悩を物語っているような気がするのはわれわれだけでしょうか。「勝点1でしたが、持ち帰ることができたことはよかった」と言うのも、とても本心から出た言葉には聞こえず、悔しさに満ち溢れているように思えました。


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