【J2第19節】(ベアスタ)
熊本 2-0(前半2-0)讃岐
<得点者>
[熊]清武功暉(34分)、嶋田慎太郎(42分)
<警告>
[熊]キム・テヨン(31分)、植田龍仁朗(87分)
[讃]藤井航大(50分)
観衆:5,191人


前々節のリーグ復帰後初勝利は、ようやくホッとしたというのが正直な感想でしたが、長崎戦以来9試合ぶりになる今節の無失点試合は、それ以上の嬉しさがありました。「長くはがゆい思いをしていたし、守備陣で頑張っても結果が全てなので、今日は結果が出て(無失点)良かった」(公式)と言うのはGK佐藤。試合しょっぱな、讃岐のカウンターから木島のクロスに中央で仲間に合わせられますが、それをファインクリア。先制点の機会を阻止した守護神のこのプレーが、勝利を大きく手繰り寄せました。

20160619讃岐

10分以降は熊本の時間帯。左サイド片山からマイナスに嶋田に送ると嶋田が撃つ。強烈な枠内シュートは、GK清水がクリア。続いても片山から受けた清武がDFを背負いながらマイナス。平繁のダイレクトシュートは枠の左。すぐあと、中盤で潰されるがアドバンテージ。岡本が左から上がった清武に。エリア内からのシュートはGKはじく。こぼれ球はエブソンがすかさずゴールライン外に出す。そのあとのCKは、ニアの平繁がバックヘッドで流すも枠の外。

押せ押せの熊本。「サイドを大きく使って」という清川監督の指示を受けて、さらにワンタッチプレーを交えて讃岐ゴールを脅かす。

ただ、しかしゴールが割れない。この好機を逸していると”流れ”が変わらないかなぁ。などと心配していた時間帯でした。

34分。アタッキングサードで左右幅を使って讃岐を揺さぶっていた熊本。讃岐の馬場にボールを奪われるも、それを猛烈なプレッシングで奪い返したのは清武。高い位置とはいえどもまだゴールまでは35メートルの距離。しかし、「アップのときからいいシュート感触だった」という清武は、その距離から思いっきり右足を振りぬいた。ボールは無回転で飛び出すと、ゴールマウスの直前で落ちるように伸びて、名手清水の指先をかすめ、ゴールネットに突き刺さります。

スタジアムももちろん、テレビで観ていた人も含めて誰もがまず感嘆のため息をもらすようなスーパーゴール。そしてその後に歓喜の雄叫びが待っていました。

その後も讃岐ゴールを脅かし続ける熊本。追加点は42分でした。最終ラインから送られたフィードに右サイドで清武がエブソンに競り勝ってゴールラインぎりぎりからマイナスの折り返し。しかしエリア内ニアの平繁には合わず。拾った讃岐SB韓が、岡本のチェックに慌てたのか左足アウトで逃げるようにクリアするがいかにも小さい。それは詰めて来ていた嶋田へのちょうどいいプレゼントパスになって。これは嶋田も利き足ではない右足で、落ち着いて押し込む。実にいい時間帯で追加点を取りました。

ただ、前半アディッショナルタイムに高い位置で仲間に奪われ、シュートまで持っていかれたように、讃岐にチャンスがなかったわけではない。2-0は一番危ないスコアと言われるように、次の1点がどちらに転ぶかによって、戦況はわからないもの。清川監督はハーフタイム、「後半の入りもすごく大事!」と選手たちを送り出します。

それを受けて後半開始早々も熊本の攻勢が続く。讃岐のCKからのカウンター。清武が持ち上がってからのスルーパスはわずかに平繁がオフサイド。続く清武のFKは、またも無回転のブレ球ながら、GK清水が横っ飛びで防ぐ。今度は右サイドを崩すと、岡本が得意の低く速いクロス。讃岐のDFがあわやオウンゴールかと思われるがクリアする。

「下がり過ぎるな」という指揮官の指示もありましたが、攻撃が最大の防御とばかりに、追加点を狙いにいく熊本の姿勢が見えました。

ただ、60分を過ぎた頃でしょうか。讃岐がギアを上げて、球際を厳しくしてきたのでしょうか。熊本のファールが増えて讃岐のFKが多くなる。同時に徐々にアタッキングサードを脅かされ始めると、指揮官はきっぱりと嶋田に代えて薗田、平繁に代えて巻と2枚替え。3-4-2-1(あるいは5-4-1)のシフトに変更します。このあたりの見切りはいつもどおり。

前節のワントップはアンデルソン。うまく凌げなかったのは、書いたとおり。そして残り時間15分に強いのが讃岐でした。讃岐のカウンター。熊本のDFラインはスクランブルのように下がるのみ。しかし木島のシュートは枠を反れてくれて胸をなでおろす。

熊本は清武に代えて上村を2列目左サイドに入れる。「練習でもしたことがないポジションでびっくりした」(熊日)と言う上村。「(守備で)いつ行けばいいか分からず、迷っていたせいでプレシャーに行くのが遅れてしまった」と反省の弁ですが、今の熊本、このベンチメンバーで、前線からのディフェンスを維持するためには、この選択しかなかったのは頷けます。

「下がり過ぎるな!」と叫ぶベンチ。巻は前線で競ると潰されてファールを貰う。役割を分かっている。アディショナルタイムは3分。敵陣でなるだけボールを進め、前線で巻と上村がプレスしてパスミスを誘う。讃岐の仲間からのアーリークロスに藤井のヘッドはドンピシャでしたが、枠の左に反れ、その瞬間熊本の完封勝利の笛が吹かれました。

清武のスーパーゴールがあるまでは、前節と同じような展開だと感じていました。追加点を得てからも、後半押し込まれることを心配していましたね。

セオリーならば、後半守りに入り、讃岐に前に出てこさせて奪ってカウンターで更に追加点を狙うということなのですが、指揮官は真っ当に攻めて追加点を狙うことを選びました。

まあ、それは成りませんでしたが、逃げ切りにはうまく成功しました。守備陣は最後まで慌てる様子がなく、自信を持ったプレーぶりだったのはもちろんですが、やはりGK佐藤の、ファインセーブ3本! それとそのポジショニングの巧みさが光りました。いよいよ頼もしい守護神だということが実証されたゲームでした。

さぁ、熊本は勝ち点を積み上げて20。順位は暫定ながら15位になりました。

それにしてもこの鳥栖のホーム、ベアスタでの不敗神話が続いています。というよりも、復帰後の初勝利も、そして2勝目であり完封勝利もこの鳥栖スタジアム。「このスタジアムでは負けない」。そんな験のいいスタジアムを貸していただいたということ。

更に言えば(前日は鳥栖戦だったにも係わらず)スタジアム運営をしていただき、スポンサー・サイゲームスとクラブには破格の招待企画をして頂いた。熊本の応援もしていていただき、勝利後の儀式「カモン!ロッソ」の真っ赤なゴール裏には、気付けばところどころにサガンブルーのユニの姿もありました。それもありがたく。

そして、最後に鳥栖のサポーターから掲げられた横断幕の言葉はいきなりで、もう泣くまいと誓っていたこの年寄りの涙腺をまた崩壊させます。

「友よ、次は約束の地で逢おう」。

それはお互いだけに通じる、シンプルなメッセージでした。そう、次にこのスタジアムに来るときは、カテゴリーがJ1でなければいけない。それが約束なのです。

サガン鳥栖の皆さんありがとうございます。あのあなた方をJ1へ送った試合だけでなく、この震災を経験して、”友”のありがたみが痛いほどわかったのが、特に鳥栖の皆さんでした。このご恩は熊本のファンたちが次の世代に語り継いでいくでしょう。

そして、熊本は夢にまで見た“ホーム”に7月から帰ります。厳しい日程が待っていますが、だれもそんなことを言い訳にはしないでしょう。

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