【J2第21節】(うまスタ)
熊本 1-5(前半1-3)C大阪
<得点者>
[熊]薗田淳(8分)
[C]清原翔平(13分)、ブルーノ・メネゲウ(27分)、リカルド・サントス2(35分、90分+1)、杉本健勇(64分)
<退場>
[熊]薗田淳(25分)
<警告>
[熊]清武功暉(33分)、嶋田慎太郎(62分)、植田龍仁朗(68分)
観衆:9,322人
主審:窪田陽輔


大差がついてしまいました。残念な“ホーム復帰戦”となってしまいました。

戦前、清川監督が対戦相手のセレッソをして、「選手個人個人はJ1クラス」と言っていたのを捉えて、井芹さんが「九州J-PARK」のプレビューでも指摘されていたとおり、ならば“組織”で戦うしかない熊本でした。しかし、そこでの一人退場。数的不利はあまりにも大きい損失でした。

対山口戦以来、実に85日ぶりの「うまスタ」でした。開門前にスタジアムに到着すると、パークドームまで続く長蛇の列。キックオフまでまだ2時間以上。これは…。熊本がJリーグに“昇格”した年、初めて迎えたホームゲームを思い出させて。皆がみんな、この日を待ちわびていたのです。

熊本に来てくれたセレッソサポもそのことをよく分かってくれていました。スタンドに掲げられた横断幕には「熊本にJリーグが帰ってきたこの日をオレ達も忘れない」と。この記念すべき日の対戦相手となったセレッソ。サポーター代表も、そのことを光栄に思うと、試合前に拡声器でわれわれに呼びかけました。しかし、最後にはこう付け加えることを忘れませんでした。「試合には絶対勝たせてもらう」と。

その言葉どおり、5連勝中のC大阪。その重圧は容赦なくのしかかってきました。

20160703C大阪

熊本がこの日選んだ布陣は3-4-3。前節からは植田、薗田、高柳、岡本、清武と5人先発を入れ替えてきた。試合の入りは決して悪くはなかった。

8分、いきなり試合が動きます。熊本の左CKはショートコーナー。清武が入れ直すと、ファーサイドで園田が折り返す。中央3人の選手が詰めていましたが、真っ先にヘッドで押し込んだのは薗田。先制点!

その時、この日ようやく安全が確認され開放されたメインスタンドを、ぎゅうぎゅう詰めに埋め尽くした9千人あまりの赤のサポーターが一斉に立ち上がり、歓声を上げた。われわれも喉が枯れるほど吼え、ガッツポーズしました。

しかし喜びも束の間。13分にC大阪左CKから詰められ同点にされると、この試合の分岐点になった27分、左SBから上がったロングパスにリカルドサントスが薗田と競って入れ替わるとエリア侵入。思わず薗田が手を掛けてしまうと倒れるリカルド。主審がすぐに笛を吹くと、Pマークを指差し、そして薗田には赤いカードが示される。

厳しい判定ではないかと正直思いました。一発レッドなのかと。ピッチに一礼して薗田が去る。

熊本は4-4-1にシステム変更。しかし冒頭に書いたとおり、これでは前線から組織的に仕掛ける熊本の守備は機能しない。ボールを奪って清武がエリアに入ってもフォローが遅い。2列目の連動が難しい。

リカルドサントスに3点目を決められ、前半のうちに1-3になると、後半熊本もリスクを負って黒木を下げて鈴木を入れ、再び3バックにします。

しかし、中盤でカットされると杉本の4点目。終盤は連戦の疲れも隠せず、アディッショナルタイムに5点目を献上。思わぬ大差となってしまったのでした。

C大阪がDFラインの後ろに大きなスペースを空けていたのも係わらず、途中交代が巻でよかったのか疑問もあります。スピードスター齋藤が投入されたのは76分になってから。やはりまだ傷が癒えないせいなのか。見せ場はわずかでした。

この日、殊勲の先制点を上げながら、退場の対象となった薗田は「試合を壊してしまって残念です」と言いながら、次のように言っています。是非読んでいただきたいのでリンクを貼っておきます。

自身Jリーグ初ゴールでした。プロになって10年、才能がありながら怪我に悩まされ、不遇を極めた選手でした。一念発起して移籍した熊本で、身体と相談しながら日々練習を積み、そしてつかんだ先発の座。その”記念すべき試合”での初ゴール。はち切れんばかりの笑顔。サッカーの神様の贈り物だと思いましたが…。

「天国と地獄を味わった気分です」という薗田。「ゴール後の立ち上がり喜ぶ姿。赤く染まったスタンド。また違ったかたちでそんなシーンを残りの試合で見たいしお見せしたい」「早くサッカーがしたい」と繋げています。

「本来はもっと11人でやりたかったなあと。これだけの雰囲気だったので、それが正直なところです。でもなによりもホームに戻ってこられたというのが大きいことで、帰れる場所があるというのは本当にありがたいことです」(サッカーダイジェストweb)。巻はそう試合後述べました。嶋田は「この試合を絶対に忘れずに進むことが大事」と。

一人少なくなった時点で、守りながら終わらせることはできました。しかし、真っ赤に埋まった85日目の”ホーム”で、そんなことはできなかった。指揮官は、やはり”攻める”ことを選びました。この連戦のなかで、それがどんなにキツイことかわかっていても、です。

試合後、熊本の選手たちはC大阪のサポーターに挨拶に行き、C大阪の選手たちもまた熊本に挨拶に行く。スタンドはメインだけで、それはまるで高校生や社会人の試合の礼儀のようでもありましたが、違ったのは、満杯の座席と、そして”震災”を経た互いへのリスペクト、「支援をありがとう」「頑張れ」という気持ちの交換でした。

そんなシーンに、C大阪サポから「ロアッソ熊本!」のコール。お返しの「セレッソ大阪」のコールがかぶさる。

このスタジアムは、震災後、全国からのありとあらゆる支援物資が運び込まれた場所。全国からの”気持ち”が集まってきた場所。そんな場所で85日ぶりに開催された熊本の真の”ホーム戦”。

結果は残念でしたが、ここに僕たちのチームが帰ってきました。熊本はようやくここに帰ってきました。サッカーが戻ってきました。復興への確かな一歩を進めました。そしてもう切り替えるしかありません。次の試合は、中2日で迫っています。

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