【J2第26節】(味スタ)
東京V 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[東]高木善朗(78分)
<警告>
[東]杉本竜士(83分)
[熊]キム・テヨン(67分)
観衆:5,723人
主審:上村篤史


五分五分の戦いだと思いました。勝敗を分けたのは、”時の運”のようなものだと思ったのですが、指揮官・清川監督は想像以上に嘆き、怒っていました。

「若手に戦う姿勢が見えなかった」「今日の戦い方は満足できない」(熊日)と、この人が見せる温厚な表情とは違い、一刀両断なコメント。それは「前節のような(押し込まれる)立ち上がり方をして、前半途中までは何もできなかった」ことを、激しく嘆いているということだったのでしょう。

清武と上原を累積警告の出場停止で欠く熊本は、平繁との2トップのパートナーに、齋藤を初めて先発起用。2列目は右に八久保、左に嶋田という若い前線を組んできました。ボランチの一角にはキム・テヨン。

18位のヴェルディは、勝ったり負けたりとムラのある戦い。しかし、ガンバからべテラン・二川を獲得していて侮れない。

20160731東京V

常々われわれは、相手を圧倒するくらいの球際の強さがなければわがチームに勝機はないと書き続けています。その点において、試合の開始早々からヴェルディに、セカンドボールを拾われ続けた。この、前節の金沢戦同様の立ち上がりに、指揮官が大いに不満だったのは間違いありません。「意識していてもボールが自分の予測と違う方向に行って、違うことが起きた時に身体が反応していけなかった」(公式)と、八久保は釈明する。「スタメンで使ってくれることはなかったので、久しぶりだし、緊張で身体も硬くなっていた」と言う齋藤は、動きがいかにもぎこちなく、ファーストディフェンスがはまりませんでした。

27分のピンチ。ヴェルディがカウンターで持ち込むと、澤井がエリア中央に侵入して右足アウトでシュート。これを佐藤がなんとかクリアすると、今度はそれを左のゴールラインぎりぎりで拾った北脇の強烈シュート。それも佐藤が全身でブロック。守護神が立ちはだかり、先制点を与えません。

ただ、基本的には両者のチームコンセプトは違う。ボールポゼッションを重要視するヴェルディに対して、持たせて奪ってカウンターという狙いが熊本。そう見ていれば、徐々に前半も終わりごろになると、熊本にも好機がやってきます。流れを引き戻し始めた。

36分、嶋田がハーフウェイライン左サイドで奪って、ひとりで運んでエリアに入る寸前撃ったシュートは、ファーのポストに嫌われる。続いても、高柳が右へはたくと、藏川が縦に。八久保がえぐってグラウンダーでのクロス。ファーサイド平繁が詰めますが、DF田村へのプッシングのファールを取られる。うーむ、それは違うだろうと。

前半アディッショナルタイムには、守から攻への切り替え。齋藤がハーフウェイライン付近でもらうと反転。一騎鋭いスピードでドリブル。DFを抜き去りましたが、最後は敵GKに飛び込まれキープされました。

後半、足に違和感を覚えた二川を下げて、アランピニェイロを入れるヴェルディ。熊本は齋藤から岡本にスウィッチ。右サイドに入れると、八久保を2トップの一角に。

攻守の切り替えの早さが増した試合展開。カウンターから熊本が右サイドを八久保に破らせ、そのクロスにニアに上がっていた植田の頭が合わず。ファーの嶋田のスライディングも届かない。
逆にヴェルディの安在のクロスにファーの澤井のダイレクトシュートは、佐藤ががっちりブロック。

熊本は嶋田を下げて、ユーティリティプレーヤーの黒木をそのまま2列目に入れる。ヴェルディがFW北脇を諦め、杉本を投入したのは、試合時間も残り15分を切るころでした。

熊本の攻勢のあとでした。反転してヴェルディがカウンター。中盤を省略してアランピニェイロに渡ると、強烈なミドルシュート。一旦はゴール左ポストに跳ね返るも、それを押し込もうとするヴェルディ。GK佐藤が右手で撥ね返したボールがゴール前にこぼれる。それを見逃さず拾った高木が、3試合連続ゴールを押し込むことになります。ヴェルディに先制点を与える。

後半39分、7月19日に加入発表があったばかりのFW若杉が登場。「緊張はなかった。プロ選手相手でも思った以上にやり合えた」と、前線で身体を張ったプレーを見せます。

そして迎えた後半アディッショナルタイムは残り4分。そのラストワンプレーだろうというシーン。DFライン園田からの縦のボールに抜け出した岡本がラインぎりぎりからクロスを上げる。中央の八久保のヘッドはしかし、バーに嫌われる。拾った選手のシュートも、GKの手中に収まり終了のホイッスルが吹かれました。

「決まった感触はあった」。八久保はそう熊日には語っています。

しかし、ゲキサカで、このときを振り返るコメントでは、「さっき、やっさん(岡本)と話したんですけど。やっさんも中の状況を見ていなかったそうで、僕もボールが来るとは思っていなかったんです。それでもあそこに走り込むことで、他のスペースが空くかなと思って走り込みました。ボールが来たときはしっかり当てようと思ったけれど、全然上にいってしまいました」と、ちょっと予測していたプレーではなかったことを吐露しています。

「運が悪いと言われるかも知れないけど、決めきれないわずかの差がある。それが実力の差」(熊日・八久保コメント)。そう総括した八久保。この日は、ラッキーボーイにはなれませんでしたが、恐らく一戦一戦のこの”実戦”での、プレーの細かいところの成功や失敗体験が、ルーキーにとってのなにものにも代え難い経験になっていること違いない。

公式サイトには書かれなかったけれど、熊日の記者は聞き逃さなかった若手に対する指揮官の”苦言”。それは期待の表れであり、そのベースの部分をキープしなければ、わがチームでの出場機会を逃すのだという”要求”でもあり。そのための叱咤。

結局、終わってみれば清武の不在がそのままチームの勝敗に結びついてしまう現状。八久保に斉藤はもちろん。そして今日の若杉。プレー時間はほんとうにわずかでしたが、このチームがもうひとつ上に行くにはこの新しい”若い力”が台頭してくる他にはないわけで…。選手にとってもチームにとっても、そのめったに巡ってこないチャンスだったゲーム。清川監督はこれを何としてでもモノにしたいと臨んだんでしょうが、それが選手の側からいまひとつ伝わってこなかったのかもしれませんね。

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