【J2第29節】(うまスタ)
熊本 3-0(前半1-0)千葉
<得点者>
[熊]平繁龍一(31分)、岡本賢明2(54分、74分)
<警告>
[千]近藤直也(69分)
観衆:4,538人
主審:野田祐樹


分が悪いというか、苦手というか…。ここまで相性の良くない相手はなかなかいない。この勝利の喜びを、どんな言葉で書き始めればいいのか。過去「勝ったぞー!千葉に」と喜びを爆発させたこともありましたが、この試合のMVPたる岡本の「一喜一憂してはいけない」(熊日)というコメントを受け、少し冷静に書き始めようかと思います(笑)。

今日も日中37度を越えた熊本は、まとわりつくような暑さ。しかし、先週と比べるとスタンドでは風を感じ、キックオフ後はその風もやや強くなり、熱気を吹き飛ばしてくれました。果たしてピッチ上はどうだったでしょうか、今日も試合中に飲水タイムが設けられました。

CBに植田、右SBは藏川、左が黒木。ボランチにキムテヨン、左SHに嶋田、2トップの一角に平繁と熊本は布陣を変えてきた。対する千葉は、前節北九州を下し、長谷部監督に代わって3試合目にして初勝利。その勢いを保つように九州に居残り、この試合連勝を狙います。

20160814千葉

試合の入りから、熊本は非常に良かった。ボールを貰ったら前を向くという意識。多少のリスクを犯しても前へパスを付けるという意識。判断の早さ。サッカー脳が冴えているという感じがします。前の試合とは全く違う。

パフォーマンスを嘆いたあの1週間前の長崎戦。あるいは凌いでドローにした前節・水戸戦から中2日。清川監督は、どんな”魔法の言葉”を使って、選手たちのメンタルをここまでにしたのかと思いました。しかし、それは魔法ではなかった。「今週はなか2日ですけど、やっぱり前線に良い形でボールを入れて、そこから仕掛けようということを少し、全体で意識した」(九州J-PARK)という指揮官。短い時間の中で修正してきました。

ボール回しのうまい千葉にプレスを剥がされるのを嫌ってのことでしょう、守備ではあまり無用に食いつかない。ブロックをしっかり敷いてスペースを消し、チャレンジ&カバーを徹底。ロングボールの対応でも、セカンドがうまく拾えていました。

ボールを大事にする千葉はもともと遅攻の傾向はあるものの、熊本のここぞというハイプレスを嫌がり後ろで回す。そうすると熊本DFは、ラインをきっちりと上げて行く。陣容は常にコンパクト。千葉に持たれてもチーム全体が落ち着いて対処しているのがわかります。そしてやはり清武。一瞬でも狙える隙があればシュートを打つ。相手ゴールに向かう、戦う姿勢が序盤で熊本のリズムを作っていましたね。

先制点は31分。キムテヨンからの長くて早い縦パスを、嶋田がセンス良くワンタッチで清武に付けると、清武はワンテンポためて(多分、相手DFは清武が自分で打つイメージが半分以上あったのでは)左から裏を取ろうとしていた平繁に絶妙のスルーパス。相手DFも入りますが、これを平繁がきっちりとゴール右隅に蹴り込みます。久しぶりの得点にジャンピング・ガッツポーズ。テヨンが入れた攻撃のスウィッチ。嶋田と清武、平繁が描いたゴールへのイメージは繋がっていました。

その後も熊本の攻勢。惜しい場面が幾度もありますが追加点が取れない。1点のリードでは、どうしても前節を思い出させて、われわれを不安にさせます。

最大の課題は、前節書いたとおり「後半の入り方」。ハーフタイムで指揮官も指示したように、開始から15~20分頃までの戦い方でした。千葉はボランチの佐藤に代えて町田を前線に入れてくる。前回対戦時に2点奪われた嫌な相手。

しかし今日はDF陣がきっちりと対応。千葉のCKから、作り直して町田が右から入れようとするがテヨンがカット。

とにかく15分まで凌ごう。われわれが、何度も電光掲示板の試合経過時間をチラチラ確認していたときでした。54分、千葉・船山の持ち上がりを園田がカット。高柳、嶋田、清武と素早くパスを繋ぐ。ゴールを背にして受けた清武は左から上がった岡本にヒールパス。一気に前が空いた岡本が、エリア内に侵入すると豪快にゴールに突き刺しました。

再び流れるようなコンビネーション。苦手な時間帯での追加点は、主将・岡本の初ゴールでした。

さすがにそこからは千葉も猛攻を仕掛けてくる。しかし、熊本は粘り強い守備で対応。アタッキングサードでのパス回しをカットする。身体を張る。最後はGK佐藤が素晴らしい反応で弾き出す。

千葉ともなれば、わずかな時間でも2点をひっくり返す力はある。しかし、この日の千葉の攻撃はどうも淡白な感じがしないでもない。連戦の疲れか、はたまた連携の粗さか。

すると74分、右サイドからパスを受けた清武が、今度はワンタッチで浮かせて岡本に裏を取らせる。岡本は胸トラップからゴール右に侵入。シュートモーションから一度切り返すとDFも振り切られる。落ち着いて3点目を流し込みます。

まさか(と言うと失礼ですが)、あの千葉相手に、流れのなかから崩して3点先取。あと欲しいのは完封でした。中山、八久保と交代カードを切っていた熊本が、最後3枚目に切ったカードはFW齋藤。しかし、これはカウンターからの駄目押し追加点の狙いもありますが、セットプレーのピンチでの高さの補充もあったのではないでしょうか。攻撃も、守備も。

そして手にしたクリーンシート。シュート数は熊本19に対して千葉も14。壮絶な打ち合いともいえる数字。これを零封したのですから見事です。

課題だった後半の入りを粘りで克服。そしてカウンターで追加点を奪うという理想的な試合展開になりました。3得点とも清武のアシスト。平繁も岡本もここから乗っていきたい。清武はここのところマークが厳しくなってきているので、この二人の得点はチームにとってもいい方向。競い合って得点してほしい。

そして、古傷のある岡本も、とうとう90分間最後まで走り続けた。「厳しい戦いが続いて、自信を失う時もありましたが、今は自信をもって、コンディションも問題ないので、結果を求めていきたい」(公式)と言う。そして「ニュースで熊本地震から4ヶ月とやっていて、すごく早いのか、遅いのか、分からないが、自分達はサッカーで盛り上げることができるので、熊本で盛り上げていきたい」とも。

そう、ちょうど震災から4カ月の日。そして奇しくも相手は3カ月前に、リーグ復帰戦を戦った千葉でした。

前回対戦時から、何が熊本は違ったか?と記者に問われた敵将・長谷部監督は、「コンディションがだいぶ違うのかなと感じました」と応えた(九州J-PARK)。「前回対戦の時は、トレーニングもきちんと積めていないなかでの試合だったと思います。今日は生き生きと、連戦のなかでも全員がボールに対して、ゴールに対して、アグレッシブにプレーしていた」と。

清武も、「あれから僕らも試合を重ねてきたので、今日は同じコンディションで戦えて」と言う(九州J-PARK)。しかし、「前回の千葉戦が僕らのスタートだったし、あの時負けていたので今日は借りを返そうという気持ちで入って」とも言うように。同時に、清川監督がどこのインタビューかは忘れましたが、「次々に試合がやってきて」と、この復帰後3カ月の戦いの日々を表現したように・・・。

当然、あの時と今ではコンディションが違う。しかし今日、選手たちの足を最後まで動かしたのは、対戦相手が、あの”リスタート”の相手、千葉だったせいも大いにあるかも知れないなと。

あの日は、どんなにもがいても身体が思い通りに動いてくれなかった歯がゆさ。足が攣ってしまって走れなかった悔しさ。調整不足という戦う以前に見えない敵がいた。もちろん千葉は圧倒的に強く、容赦しなかった。それもありがたかった。復帰戦は嬉しかったが、現実を突きつけられた。それでもそんな言い訳は誰も口にしなかった・・・。

次々にやってくる試合のなかで、あの日の悔しさを忘れていたとは言いませんが、それどころではない連戦の日々でもありました。しかし今日、3カ月たって千葉との再戦を迎えて…。思えば、あのゲームは、熊本にとってまさしくリスタートであり”原点”ともいえる、メモリアルな試合だったんだなと。だからこそ、この勝利は熊本にとって、単なるリベンジとか快勝といった言葉では説明できないものがあります。

「あの日からの絆は永遠に…」。今日はそんな横断幕を掲げてくれた千葉サポーター。岡本の「すごく早いのか、遅いのか、分からないが」という言葉のように、われわれにもあの震災の日から4カ月、リーグ復帰から3カ月の怒涛の日々が思い起こされました。そして今日も、久々の勝利に浮きたつ感情もやがて収まってしまうと…。やはりあの試合のエントリーのタイトルと同じですが、そんなサポーターへの思いも含めて改めて言いたい気持ちです。「ありがとう千葉」

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