【J2第12節】(札幌ド)
札幌 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[札]オウンゴール(67分)
<警告>
[札]マセード(23分)、宮澤裕樹(55分)、上里一将(63分)
[熊]上原拓郎(57分)
観衆:9,834人
主審:高山啓義


翌日の熊日の見出しは、「闘志前面 ロアッソ惜敗」「首位苦しめ収穫も」というものでしたが、記事の論調も含めて、われわれも全く異論のないところでした。確かに結果は敗戦。しかし、熊本は前節のふがいない戦い、球際、切り替え、闘志といったもの全てを払拭し、首位・札幌相手に互角以上に戦った。結果的に勝敗を分けたのは、ただただ”勝負強さ”というほんの紙一重の差だったのではないでしょうか。

ミッドウィーク(木曜日)の札幌戦は、本来5月7日に組まれていた第12節の再設定試合。これから熊本は、天皇杯を挟んで愛媛戦、横浜戦と、震災後スキップした試合を消化する連戦に臨む過密日程になります。

そのなかで清川監督はこの試合、先発を7人も入れ替えるという大英断。累積警告の植田の代わりに一か月前にC大阪から期限付き移籍してきた小谷を初起用。その相方のCBには札幌を古巣とする薗田。左SBは片山。ボランチには上原。左SHは、先日獲得が発表された菅沼。そして2トップは巻と若杉。「試合に出たくてギラギラしている選手を選んだ」(熊日)と、指揮官は言う。

20160825札幌

試合の入りは良かったですね。セカンドボールをうまく回収している熊本。上原が、ハーフウェイライン付近からロングシュートを狙う。岡本もパスを受けると反転、ミドルを撃つ。前節の反省以上に、この二人には古巣対戦というモチベーションが明らかに見えました。

薗田も含めて、古巣対戦の選手のモチベーションに期待する。あえてぶつける。古くは池谷監督、それから高木監督もよく使ったなーと思い出されます。清川監督もその意図なのか。

ただ、どうも札幌戦になると力むのか岡本。藏川からのクロス。若杉が競って左に流すと、ファーの岡本の足元へ。絶好のゴールチャンスでしたが、枠の右にそれます。

久しぶりに先発起用されたFW若杉にとっても、結果を残したい試合でした。33分、高い位置でDFからボールを奪うとループで狙うが、これはバーの上。42分にも、奪って左サイドからドリブルで入ると、そのまま撃つがこれはキーパー。前半アディッショナルタイムには、FK上原のキックをゴール前どフリーで頭で捕らえますが、ゴール左に反れる。これは札幌も肝を冷やしたはず。得点に絡むプレーで沸かせたのですが…。

「前回、長崎戦で出場したが何もできず、今日、出場してチャンスをもらって、手応えはあったと思う」(公式)と語った若杉。このなかの1点でも決まっていれば、という展開だったのです。

初先発、そして90分間走りきった菅沼も存在感を示しましたね。清武が体調不良のため不在のゲーム。清武に集まりがちな今の熊本のボールを、随所で受けてさばく、あるいは勝負する。左に菅沼、右に岡本というのは、ちょうどチェスでいうところのナイトの動きを両翼に配したようで、頼もしくてそして面白い。

「後半も全体で良い入りをすること」という清川監督のハーフタイムの指示。そして敵将・四方田監督は、「攻守の切り替え、球際の部分など、全体的に足りない。後半は気持ちを強くもってたたかおう」と言うところが、前半の内容を物語っていました。後半も60分過ぎまでは、熊本がうまく試合を運んでいたのですが。

67分。札幌のリスタートからでした。宮澤のキックに都倉が飛び込むが合わず。福森が折り返すと、中でオウンゴールを誘ってしまいます。苦しみながらも、苦しみながらも、なんとか札幌がゴールをこじ開ける。そこが首位・札幌の底力という感じでした。そして、その後の試合運びも。

熊本は、巻に代えて齋藤。左サイドから菅沼がエリアに突破。絶好の好機も、齋藤とお見合いして譲りあう。岡本に代えて八久保が入る。八久保がえぐってマイナスパス。けれど、ゴール前には誰も入っていない。

熊本は、四方田監督が「今季ホームで最悪の内容」(熊日)と言う札幌に、しかしキッチリ点を取られ、守りぬかれました。「失点のところだけ隙が生まれた。結果として0-1というところが、首位との差」(同)というのは、また古巣から勝ち点が取れなかった岡本のコメント。人気ものの彼は、今日も試合後、高柳、薗田、上原とともに札幌ゴール裏に挨拶に行き、札幌サポーターから温かい拍手をもらいましたが、本当はこの試合、誰よりも勝利したかった一人に違いない。

”試合巧者”。これが、延期もあってこの時期今季初めて対戦することになった札幌の印象でした。さすがにこの位置にいるチーム。あなどれない。

しかし敗戦とはいえ、今節熊本が得たものは少なくなかったと思います。

過密日程とはいえ、大胆ともいえるように先発を7人も入れ替えたこと。少し選手を固定しがちだと感じていた清川監督の采配からすれば、勝ち試合のあとでも選手を入れ替え、選手間の競争を煽っていた前小野監督を彷彿とさせました。チーム内での競争なくして、チームの進歩はないのだという信念。

そして、1点ビハインドの終盤。園田を前線に入れてのパワープレー。清川采配としては、初めて見るような気がします。奏功こそしませんでしたが、最後まで諦めない意思表示のベンチワークは、高木監督時代を思い起こさせ。

そう。前節のエントリーでは、スカウティングについて嘆いてみましたが、清川監督には、長年仕えていた歴代監督たちの采配の引き出しがあるはず。掘るべき”井戸”はいくらでもあるはずなのです。

そんなこんなで、チームとしての奥行や可能性が感じられた敗戦だったから、冒頭の言葉となりました。そういう意味では、今週末天皇杯に関しても、チーム内の伏兵を試すチャンスが大いにあるだろうし。それを踏まえて、これからのチームの総合力の向上が期待できるだろう、そう思わせる起点となった試合。敗戦でしたけど、得るものも大きい試合でした。

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