まず最初に。
今月15日の熊日朝刊で、荒木時彌さんの訃報に接しました。元県サッカー協会長。大津を“サッカーの町”として発展させた元町長でもあり、この人がいなければ今の大津高校がこんなに強豪校にはなれなかったとも言えます。そしてなにより、株式会社アスリートクラブ熊本の初代社長として、その人望のもとにロッソ熊本(現ロアッソ熊本)の設立に貢献していただきました。2008年5月のエントリーで「初代社長・荒木前サッカー協会長が立ち上がりの急場をしのぐ形で就任されました。健康面の不安もありながら(大津町長を退かれたのもそのあたりがあったと聞いています)、これも本当に無理を押してつないでいただいた。そしていよいよ九州リーグがスタートというタイミングでグランメッセ理事長を満了した前田社長にバトンタッチされた…」と書いています。謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに、生前のご労苦に対し衷心から感謝申し上げます。

さて、今節アウェー町田戦は、0-1の敗戦でした。

10月16日(日)
【J2第36節】(町田)
町田 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[町]松本怜大(48分)
<警告>
[町]畠中槙之輔(90分+1)
[熊]齋藤恵太(42分)、巻誠一郎(74分)
観衆:4,218人
主審:上村篤史


20161016町田

試合開始から、右サイドアウトの齊藤のスピードを生かしCKを得る熊本。5分頃には、アーリークロスをワントップの清武が落として、菅沼がDF右の裏に絶妙のスルーパス。齋藤がGKと1対1になるも、このダイレクトシュートを吹かしてしまいます。しかし、前線の3人の距離感はいい。

対する町田も右CKを得ると、一旦ファーに抜けたボールを中島が入れ直す。ヨンアピンの強烈なダイレクトシュートにヒヤリとするものの枠の上に反れました。セットプレーでの得点数は現在リーグ中2位なのだと、スカパーのアナウンサーが紹介する。

すると直後の16分。小谷と植田の間に蹴られたロングボールに、一気に加速して駆け込んだ仲川のスピードに慌てた小谷が、エリア内で倒してPKの判定。キッカーは場数を踏んだ中島でしたが、これをGK佐藤がぴったりと読み、左に飛んだ。しっかりとキャッチして町田の先制点を阻止します。

これで勢いに乗るのは熊本の方のはずだったのですが、町田の厳しいプレスに押し込まれる時間が続く。バイタルで人数を掛けて細かいパスで崩そうとする町田。仲川の速さに手こずる小谷。そんな前半でした。

「フィニッシュで終わろう」。そんな敵将・相馬監督のハーフタイムでの指示が効いたのでしょうか。後半開始早々の町田のポゼッションのなか、クロスをパンチングで跳ね返す佐藤。何度も拾いなおして入れ続ける町田に、ゴール前、体制を立て直そうとする佐藤でしたが、左45度の角度から町田・松本が、思い切りミドルで振りぬくと、ゴール右隅に決まってしまいます。

その後、熊本は嶋田を入れ、巻を入れ、最後は平繁を投入して、アディッショナルタイム4分が終わるまで惜しいシーンを演出し、最後のCKでは佐藤まで上がって攻撃しますが、結局この1点が、結果的に決勝点となってしまい敗れました。

この敗戦により順位は17位に後退。6位京都との勝ち点差が20に広がり、今シーズンのプレイオフ進出の目がなくなっただけでなく、21位北九州、22位金沢との差も6に縮まってしまいました。

これからは(これからも)1戦1戦、薄氷を踏む思いの戦いが続く。

これももう7年前のエントリーになりますが、日経の名コラム、吉田誠一さんの「フットボールの熱源」から引用した文章を思い出しました。

JリーグのGM講座で講師を務めたリバプール大学のローガン・テイラー博士が「プロサッカークラブは観客に何を売っていると思いますか」と受講生に尋ねる。博士の答えは逆説的。「プロサッカークラブは苦痛を売っているんですよ」と。吉田さんはこう続けます。「支持するチームが先制されれば、サポーターは心を痛める。負ければ、なおのこと。リードしていても、『追いつかれるのではないだろうか』とひやひやする。勝ったとしても、『次は鹿島戦かよ』と心配になり、『こんなことで1部に残留できるのだろうか』と思い悩む。いつになっても心は休まらず、苦しみは続く。」それでも「それがわかっていても、またスタジアムを訪れる。」

しかし、受講者はある思いに至ります。「苦痛を感じてくれるのは、そこに愛があるから」だと。

2009年のあの頃も、相当の”苦痛”を感じていたからのエントリーでしょう。あれからも色々なことがあり、2013年も降格圏を彷徨い、財務状況からクラブ消滅の危機にも遭遇した。

そして今季、熊本を廻る”未曾有の出来事”の状況下で迎えるこの”苦痛”。それはまさしくホームクラブへの”愛”との裏返しに違いありませんね。

荒木さんをはじめ、先人たちの努力があって出来上がったJリーグ100年構想のクラブのひとつわが熊本。引き継いでいくわれわれは、この”苦痛”から逃れようとすることは決してできない。ここから残り6試合を懸命に応援する。ただただそれだけです。

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