10月30日(日)
【J2第38節】(うまスタ)
熊本 2-0(前半1-0)札幌
<得点者>
[熊]清武功暉(11分)、平繁龍一(65分)
<警告>
[熊]齋藤恵太(90分+7)
[札]永坂勇人(10分)、前貴之(45分+2)
観衆:7,880人
主審:池内明彦


今節の前日の熊日では(先週の「勝ち点3を取らないといけない」という発言と違い)、残り5試合に向けて清川監督はこう語っていました。「勝ち点を最低でも『1』ずつ積み重ねる必要がある」(29日付・朝刊)。やはりはっきりと「勝ち点1(引き分け)をベースにして勝ち点3(勝利)を狙う試合運び」に舵を切った、とわれわれは思いました。首位・札幌を迎えて、より手堅く試合に入ってくるだろう。そう思わせました。

しかし、それも笛が鳴ってしまえば、なんのなんの序盤から積極的に前に行くのは熊本。非常にいい入り方でした。左サイドで得たFKの連続で、清武が札幌ゴールを脅かすと、続く右CKのこぼれ玉を、村上がミドルで狙う。枠内にストレートに向かっていたと思いましたが、これはバーに嫌われる。前節に続いて実に惜しいシュート。

続くゴールキックを村上がヘッドで跳ね返すと、それを齊藤がやはり頭ですかさず平繁につなぐ。平繁はワンタッチで裏のスペースに出すと、そこに再び齊藤がスピードを活かして飛び出した。エリア内、キーパーとの1対1直前、追走する札幌DFに倒されて笛が鳴る。主審が示す先はPマーク。よし!

PKのキッカーに志願したのは清武でした。札幌の大型GKソンユンが両手を広げて立ちはだかると、さらにひときわ大きく見える。かたずをのんで見守るスタジアム。緊張の瞬間。清武の蹴ったシュートは、ソンユンの逆を突いてゴール右隅に突き刺さります。

決めれば一気に勢いづく。決めなければ意気消沈。このゲームの行方を左右するような、そんな重い仕事を清武がきっちりと決めてくれました。秋晴れのうまスタに8千人近くを集めた熊本サッカーフェスタのこの日、益城町や嘉島町といった被災地からもバスを貸し切って無料招待が行われました。スタンドでは赤いタオルマフラーがぐるぐる振られます。

札幌は内村、上原をシャドーに従えた都倉の3トップのように見えました。繋いだあとに、都倉に当てて内村、上原が突破していくという狙いだったのでしょう。前線に厚みを見せる布陣でした。

20161030札幌

しかし今日の熊本は、前節中盤が空いて機能しなかった4-4-2を捨てて、4-3-3に。この村上、上原、テヨンの中盤3枚が非常に効いていましたね。セカンドの回収にしても、相手へのプレスにしても、距離間がよくて。だから都倉に当てに来る札幌のボールにも、最後列の植田と薗田が余裕を持って対応できた。テヨンの存在感と、村上と上原の二人があれだけ前に行けるなら4-1-4-1とも言えるシフトでした。もちろんそこには、久しぶりにトップを張った平繁からスウィッチが入る組織的プレスの成果もありました。戸惑うように成すすべもない札幌は、前半シュート1本に終わりました。

ただ、さすがに札幌もこのままではない。後半、俄然テンポを上げてきます。アバウトなクリア一辺倒になってきた熊本でしたが、徐々に齋藤のスピードを活かしたカウンター攻撃で、ゲームをオープンにさせていきます。

攻守切り替えが速く選手たちの疲労も激しい展開。しかし、熊本にとって先制点1点ではまったくセーフティではありませんでした。追加点が欲しい。追加点がないと危ない。

それは左サイドのスローインからでした。片山から清武。清武が溜めて片山に戻すと丁寧に置くようなクロスをニアに入れる。平繁がうまくDFのマークを外して入りこむと頭で反らした。GKソンユンの反応も追いつかず、ファーサイドのネットに当たってゴールにこぼれこみました。

後がない札幌は前寛之から神田。永坂からジュリーニョに2枚替え。対する熊本も清武、平繁を岡本、巻に代え、最後は倒れこんだ薗田にバツが出て鈴木を投入。残されたピッチ上の選手も含めて、多くの選手が足を攣っていたことが、この試合の攻守切り替え、運動量を物語っていました。

絶体絶命のピンチは84分頃。内村に代わって入った菅が都倉からボールを受けてPA内右から強烈なシュート。これをGK佐藤が右手一本でクリア!

「前節、札幌のヴェルディ戦での最後のパワープレイにワクワクした」(スカパー)と言っていた佐藤。そのキーパーらしい”アドレナリン”が、この終盤で熊本のゴールを死守します。

アディッショナルタイムはなんと6分。何度も何度も札幌の攻撃に晒されます。それを身を挺して掃きだす熊本。そうやって、ようやく手にしたクリーンシート。首位・札幌を完封。快勝でした。

思えば昨年の終盤にも、首位を突き進む大宮相手に、ホーム水前寺で3-0の完封勝利を演じたことがありました。他にもこの時期、昇格目前の相手に土をつかせたことが何度もあった。終盤の熊本の”存在感”が、今年も発揮できたでしょうか。

中盤から前の6人。清川監督が練習のかなかでコンディションを見極めた人選でしたが、この組み合わせはいいですね。齋藤のスピード、清武の技も活かせる。また、見てみたい布陣でした。

熊本は勝ち点3を加え43となり、順位を15位まで上げました。多くのマスコミの論調は、残留に確信を得たようですが。北九州が岐阜と潰しあい、讃岐は町田に勝利して、勝ち点がジリジリと上がってきました。今季の降格ラインは高い。

AC熊本の池谷社長は、このサッカーフェスタ前の熊日の特集内(29日付)で、「首位札幌をたたく」と予言しつつ、「残留に必要な勝ち点は45」と読みました。勝ち点にしてあと2つ。勝利ならあと1試合。引き分けならあと2試合。残り4試合。いやいや、そんな抽象的な話ではありません。松本、京都、岐阜、大阪。です。まだまだ楽観はできません。

暮れなずむスタジアム。被災地からの都合バス10台の招待客の前で、勝利で沸く試合後の「カモン!ロッソ」。ゴール裏で踊るのは、震災後初めてのことでした。今日のところはひとまずホッとしたい。そして、本当に心底ホッとするときは、色々な苦労を思い起こし、少しわれわれも涙腺を緩めてしまっていいですか?早くその日がくればいいのですが…。


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