11月3日(木)
【J2第39節】(松本)
松本 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[松]高崎寛之(67分)
<警告>
[松]田中隼磨(17分)、宮阪政樹(90分+3)
[熊]片山奨典(90分)
観衆:13,241人
主審:榎本一慶


「首位喰いはうまかーですね。二位ぐい、三位喰いしましょう。まだまだ腹一杯にはなりません」。いつも拍手コメントを送っていただく”ゆうらん”さんの、前節のエントリーに対してのコメントは、われわれはもちろん、熊本に係わる全ての人の気持ちだったでしょうね。首位・札幌の次に対戦する今節の相手は2位・松本。前節の快勝の勢いを持って、アウェーとはいえど連勝を飾り、一刻も早く降格可能性域から完全に脱したい。

しかし、3位清水との勝ち点3差の松本も、自動昇格圏内2位以内の確保という高いモチベーションで、1万3千人以上のアルウィンのサポーターを後ろ盾にして、熊本に立ちはだかりました。

20161103松本

序盤から勢いを持って攻め立てる松本。植田のクリアの小さいところを松本DF後藤の抑えの効いたダイレクトボレーシュートは、GK佐藤がキャッチできずに左に撥ね返す。それを拾って田中が素早くクロスを入れるがなんとかクリアします。その松本の右CK。中央での後藤のヘディングは、片山が掻き出す。危ない。

熊本は、松本の素早くそして強い球際の寄せ、インターセプトを嫌って、ロングボールで交わして攻める。見るからに痛みの激しいアルウィンのピッチを考慮したのもあるかも知れません。

スローイン。片山から貰いなおした清武がカットインしてアタッキングサード。柔らかなクロスを入れますが、これはクリアされる。いつもならこの距離から強引にでもシュートを打っていくはずの清武。前半終了間際にも似たようなシーンがありましたが、撃たない清武。敵GKがその能力をよく知っているシュミット・ダニエルとあって、完全に崩しきらないと、アバウトなシュートではゴールは割れない。そういう思い(プレッシャー)もあったのではないでしょうか。

一方的に攻められている熊本。主導権は松本にある。しかし、スカパーの解説者は、熊本の守備組織を評価してか、「どちらかというとゲームは熊本のペースで進んでいる」と言う。確かに無用に飛び込まない今日の熊本は、松本にボールを”持たせている”ようにも見える。

ただ、31分でした。松本・那須川の左からのクロス。PA内で石原への対応で上から覆いかぶさった植田がファール。PKが告げられます。キッカーは高崎。

でも何ででしょう。長年サッカーを観ていると、”予知能力”が身につくのでしょうか。何故だかこのシーン、PKは決まらないような気がなんとなくしていました。案の定、高崎のキックに左に飛んだ佐藤がばっちりセーブします。

清川監督が試合後、「PKを防ぎ流れが来ると思った」とコメントするように、こういった後は勢いが逆転するものです。しかし、PA内での松本の猛攻に対して熊本が人数をかけて防御しているなか村上が痛む。結局はピッチに戻ってきましたが、一旦担架で運ばれ、ベンチもざわつく間に、掴みかけた”流れ”を相手にまた渡してしまった。そんな感じがしました。試合は”生もの”。常々そう思っているわれわれにとって、この数分間の空白はなんとも悔やまれます。

しかし、スコアレスドローで前半を終えたのは、結果として熊本にとってはゲームプランどおりだったと言えるでしょう。シュート数は松本12に対して、熊本の1。

「多くのチャンスはないかもしれないが、ピンチを防いだのだから、チャンスは絶対来る。最後まで常に全体でサッカーをしよう」。それがハーフタイムでの清川監督の檄でした。松本のワントップ高崎は、植田と薗田が代わる代わるマークして、完全に抑えていました。

しかし。たった一瞬でした…。

67分、左サイドで攻防していた松本。石原が大きく右サイドに振った。ここで大きく広げられた熊本。植田もニアサイドに走った松本の選手に釣り出される。ここで迷わず右サイドで貰った工藤は素早くクロスを選ぶ。距離の空いたゴール前の黒木と薗田の間へ。そこに高崎が飛び込むことを信じて。

高崎がヘディングで反らすように流し込む。さすがの佐藤も触れませんでした。

この時点で、同サイドに固執せずに、逆サイドに振ってピッチを大きく使うことを選択できた松本の判断の勝利でした。負けられない熊本が、巻、平繁、岡本を次々に投入して、ここから前掛かりに仕掛けましたが、先制した試合の勝率の高い松本。自陣ゴールに寄せ付けず、1点を守り抜き、同点に追いすがろうとする熊本を退けました。

したたかな松本の戦い方に熊本は連勝ならず。勝ち点は43のまま。この日、金沢は愛媛に敗戦。北九州が長崎に引き分け勝ち点1を得て金沢を越え20位になり降格圏脱出。岐阜は22位ながらも群馬に勝利し、これまた勝ち点を37にしました。つまり、20位から22位までの3チームが、同じ勝ち点37で並ぶ事態に。わが熊本は、その3チームとの勝ち点差6で、16位に位置しています。残りは3試合…。

まったく予断の許されない状況。京都、岐阜、大阪。しかし対戦相手を見越した勝ち点計算はもちろん、他チームの対戦相手を考慮した勝ち点予想などしない。それが無駄だとわかっているから。ただただ、目の前の敵に向かっていくだけです。

ただ、今節を終えてひとつ思ったこと。対戦相手の松本山雅。下のカテゴリーでは一度も対戦せぬまま、J2昇格後に一気に抜き去られたうえに、J1に先に昇格されたクラブ。田中隼磨を始めとしてパウリーニョ、高崎、工藤…。各ポジションに、それぞれ能力のある選手を集める獲得力。なにより、J1昇格以前から、この地方都市にして1万人以上を毎試合集める観客動員力。

このままいけば、再びJ1昇格の権利を得る。この”力”は、なんなのか。どこからくるのか。長野県における松本市の位置関係、スポンサー企業の存在…。どこに力があるのでしょうか。

甲府や鳥栖といった先輩格の”プロビンチャ”だけでなく、今や岡山にも後塵を拝しているような気がして。熊本に何故できないのか。目下の残留争いが落ち着いたら、もう一度考えを深める必要がある課題だという気がしています。

さて、一足早くJ1は最終節。福岡、湘南に続き、最後に降格が決定したのは名古屋でした。まさかこの別格と思っていたビッグクラブが…。結果的には15位新潟との得失点差4が命運を分けました。勝ち点1が、1点がという思いと、年間予算にして40億、50億という別次元のチームでも、ひとつボタンを掛け違えると取り返しがつかなくなる怖さ。そんなリーグなんですね。

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