3月5日(日)
【J2第2節】(Cスタ)
岡山 1-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[岡]豊川雄太(47分)
[熊]小谷祐喜(90分+2)
<警告>
[熊]村上巧(66分)
観衆:10,286人
主審:上村篤史


劇的な引き分けでした。と書こうと思っていたら、熊日も同じような見出しでしたね(笑)。

第2節はアウェー岡山戦。「何とか勝ち点を、欲を言えば3を取って帰りたい」と言う、わが清川監督(DAZN)。確かに難敵・岡山相手とはいえ、ちょっと消極的かなと。だが、前節のデビュー戦でわれわれにも、他チームにも強烈な印象を残したFW安の姿が、スタメンにもサブにもない。怪我なのでしょうか。代わりに前線に入ったのは俊足ドリブラーの田中。高めの岡山のDFラインの裏のスペースを突く戦術でしょうか。

一方「我々のベストを引き出せるかが(この試合の)ポイント」(同)と敵将・長澤監督は冷静に語ります。しかし、開幕戦で名古屋に敗れ、黒星スタートとなった岡山。ホーム開幕戦となったこの試合に掛ける思いの強さは言うまでもない。開始早々から厳しい球際と寄せ、数的優位のボール奪取で迫ってくる。

20170305岡山

岡山のプレスをなかなか剥がすことができない。奪って運ぼうとしても縦パスがカットされる。徐々に出し手と受け手の意図もずれ、ミスも増えます。

長澤監督のスカウティングだったのでしょう。ボールサイドに寄ってコンパクトに守備をする熊本の大外へ、大きなサイドチェンジのパスを通す。21分、スローインからのアーリークロスを豊川がダイレクトシュート。これはGK佐藤がセーブします。

33分には前線の3人で運んで大竹がシュートモーションからパスを選択。PA内の藤本に通ればというところでしたが、園田が潰して難を逃れます。

一方的に攻め込まれる展開。しかし凌いでいる。試合前、「前節(開幕戦で)勝利しているというアドバンテージを、いいメンタリティに利用したい」と言ったのはGK佐藤(DAZN)。たしかにその“気持ちの差”が猛攻にも冷静に対処させたのか、スコアレスで前半を終えます。

前半を終えたあと、それと後半の笛の前、両チームの監督にベンチ前でインタビューする。まるでNHK中継のようでもあるのが、DAZNになってからの特徴でしたが、前半を終えた長澤監督は、この展開を当初の予定どおりだと言いながら、「後半の頭のところと、最後のところに勝負どころが来ると思うので、しっかりとマネジメントしたい」と言っています。全くのところ、この後の試合展開を”読んで”いました。

後半開始早々。まず最初の岡山の右サイドからの攻撃。伊藤のクロスは不発に終わりましたが、右奥へ再び運ぶ。今度は加地が追い越してえぐると、右足でフワリと上げた。ニアでジャンプした藤本。後ろで飛んだ小谷もかぶって、更にその後ろにいた豊川の頭に。ゴールマウスに突き刺します。文字通り”シャドー”の働き。後半開始早々から圧をかけて、岡山が均衡を破ります。

その後も岡山の攻勢。左サイドからのクロスに中には豊川が構えていましたが、その前で佐藤が止める。間一髪。ただ、この勢いを止めない岡山の攻勢に対して、気落ちせず、追加点を許さなかったことが、この試合展開のなかで、非常に大きかったと思います。

平繁に代えて巻を入れると、熊本の”重心”が少し前に移動したように感じました。更に岡本に代えて八久保が入ると、巻との2トップ。田中が2列目に。八久保の運動量とスピードで岡山を次第に押し込む。岡山も、豊川を下げて三村を入れ、対抗する。

予兆は80分のシーンにあったかも知れません。CBの小谷が右サイド高いところにいてDFからボールを奪うとエリアに侵入。GK櫛引との1対1でしたが、シュートは阻まれる。

しかし…。なんでそこに小谷がいたのか?

熊本が持つ時間が長くなると、長澤監督のイレブンへの「落ち着け、落ち着け」という指示のポーズ。けれどDAZNの解説者も、「この熊本の”やり方”なら、残り何秒かで得点もある」と言う。

まさしくその言葉を信じたいアディッショナルタイム3分も終わりに近づくころでした。片山からの、かなりアーリーなクロス。山なりのボールを放り込みます。ゴール前に”誰か”が飛び込めば…。ゴールマウスから飛び出した櫛引より先に頭に当てた。ボールがゴールに転がり込みます。同点!そして終了の笛が鳴る。やった!

その瞬間、勝利を確信してチャントを歌っていた1万人の岡山サポーターが静まり返る。

殊勲の同点弾を押し込んだのはなんとCBの小谷でした。それも、パワープレーを命じられて上がっていたわけではない。DAZNで見返してみると、その瞬間、流れのなかで右サイドを猛烈なスピードで上がって行っている。「残り時間も少ない。自分の判断で攻めあがった」(熊日)のだという。その”ステルス”な動きがあって、巻に集中していた岡山のDFの裏をかいて、完全にフリーになれた小谷が櫛引と競い合ったのでした。

「失点は悔しかった。最後に取り返せて良かった」と小谷が言う(熊日)。自責の念が、彼にあの終盤、右サイドを駆け上げさせたのでしょう。劇的とも言える同点弾を押し込み、それによって、岡山は目前にあった勝ち点3がするりと手の中からすべり落ち、勝ち点1に留まると同時に、手にしたのは大きな心理的ダメージでした。指揮官が「(後半の)最後のところに勝負どころが来る」と、言ったとおりになりました。

熊本は勝ち点1を加え、4位に位置しました。が、それよりなにより、劣勢のなかで勝ち点1を得られたことが大きい。いや、開幕戦も完勝とはいえないなかでの勝ち点3。そしてこの圧倒的に劣勢な試合での勝ち点1。課題が多いなかで、しぶとく積み上げたこの4点は、かなり価値のあるものだと思います。

開幕前の状況を思えば、シーズンのスタートとしては、なかなかです。次節は同順位の山形戦。ホームえがおスタに集結して、絶対勝たせましょう。

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