5月17日(水)
【J2第14節】(長良川)
岐阜 1-2(前半0-1)熊本
<得点者>
[岐]永島悠史(54分)
[熊]安柄俊(18分)、巻誠一郎(66分)
<警告>
[岐]ヘニキ(16分)
[熊]安柄俊(5分)、野村政孝(77分)
観衆:3,650人
主審:岡宏道


いやはや心臓に悪い試合でしたね。イヤフォン挿しながらDAZNで観ていて、時折小さく叫んだり呻いたりするものですから、家族から迷惑がられてしまいました(笑)。

20170517岐阜

中3日の連戦。ミッドウィークの岐阜戦に、清川監督は先発を7人入れ替えてきました。前線は巻と安、ボランチは上原、上村。CBに前節の汚名挽回を期すイム。SBとしては初先発となる光永。そして出すだろうと予想したとおり、昨季岐阜に期限付き移籍していた田中。「回復が間に合っていない選手もいたので」(DAZN)と指揮官は言いますが、選手層を試すには絶好のカードのような気がしました。

というのも、岐阜は今季から大木監督が就任して大きく戦術変更している。今発売中の「フットボール批評」の大木監督インタビューを立ち読み(笑)したんですが、ボールを持つ時間が長ければ失点しないというポゼッション志向のサッカー。短くパスを繋いで崩してくる。それにはかなり体力が必要だろうと聞かれて、「サッカーは“たった90分しか”走らない」と答えた言葉も印象的でした。

その岐阜に対して、「熊本蹴球通信」のマッチプレビューでも大木サッカーに詳しく触れたうえで、「熊本にとって大切なのは、ボールを握られ動かされるのは想定した上で、奪いどころを明確にして共有すること」と井芹さんも指摘していたように、相手を上回るハードワークでボールを奪えるメンバーを熊本は並べてきた。そんな期待を持たせる布陣でした。

そして、そんなイメージ通りのゲームでした。細かいパス回しでバイタルを脅かしてくる岐阜。しかし熊本もそれにしっかり対応し、ボールを奪うと前節と同じように縦に素早く仕掛る。

18分、GK野村からのキックを前線の巻が反らすと、そのボールに安が飛び出す。収めようと走るところをヘニキに後ろから倒されFKを獲得しました。

Pアーク手前左からのFK。キッカーに立った嶋田と安。安の右足から放たれた低いボールは、壁の間をすり抜けると、ニアのDFの足に当たって角度を変えゴール左隅に突き刺さり熊本が先制します。

ハーフタイムにDAZNがポゼッション率70%対30%と紹介したように、ボールを持つのは圧倒的に岐阜の方でした。しかし、ちょっとしたところでパスミスを犯したりするところは、岐阜の大木サッカーが完成には今一歩ということも感じさせ。この時期に対戦したことは、ちょっとした幸運だったかも知れないとも思う。

後半一気にギアを上げてきた岐阜に押されるように54分に失点。右から作って永島がドリブルで切れ込むと、対応できぬままに中央で撃たれる。DFの股を抜く強烈なグラウンダー。野村の反応もむなしくゴール右隅に転がります。

しかし、この同点弾を加勢にして一気に勝ち越し点を狙う岐阜に対して、熊本イレブンは意気消沈することなく粘り強く対応した。自分たちのサッカーを続ければいいと、ある意味愚直に続けた結果がこのあと実を結んだように感じます。

運動量豊富な上村の随所への顔出し。前半はちょっと空回りしていた田中も落ち着いて、持ち味を発揮してきた。

高い位置で奪ってバイタルに運ぶ。Pエリア内に入れると安がトラップ。反転してシュートは枠の上に外れますが、3人目、4人目の動き出し、繋ぎも良かったこのシーンが、次の得点シーンの予兆だったでしょう。

66分、左サイドで奪うと一度DFラインまで下げ、右SB黒木に預けた。黒木が運び、中に切れ込み相手を引き付けると右奥のスペースにはたく。田中が走りこむとダイレクトでクロスを上げた。ニアの庄司がヘッドでクリア。ファーに構えていた巻がそれを胸トラップで収めると右足を振りぬく。GKベクトルの右足に当たってゴールインします。岐阜を突き放す貴重な追加点でした。

風間を諦め難波を入れた岐阜の最初のベンチワーク。熊本もきつくなって少しずつ対応が遅れ始める。それは岐阜も同じ。中盤にもスペースが大きく開き始めると、岐阜は山田に代えて田中パウロ。熊本は田中に代えて齋藤を入れる。更に熊本は前線での収まりどころを求めて、巻に代えてグスタボを投入。安もいよいよ足を攣ったところを見定めて林に交代しました。

85分。岐阜の左CKからの混戦のなかでGK野村のファンブルが押し込まれネットが揺れますが、これはオフサイドの判定で事なきを得る。

迎えたアディッショナルタイムは4分。岐阜の猛攻に晒される。バイタルからヘニキの強烈なミドルシュート。これは野村がファインセーブ。続くCKはなんとかクリア。前線に運んだボールを奪われるとロングパス。岐阜・古橋がこれをうまくトラップ。GK野村と1対1。PA内左からのシュートはしかしわずかに枠の右に反れる。決定機を逃した古橋が頭を抱える。野村のポジショニングがコースを消していました。そして終了の笛が鳴る。

感無量の様子の野村。一度、二度とグローブの着いた手で顔を覆う。佐藤の怪我で代わってゴールを守るようになって、ようやく5試合目にして手にした感激の勝利でした。

「相手がパスサッカーをやってくるのは知っていたが、最後のところを取られなければいいと思っていたし、最後で食い止められた」(公式twitter)と言う野村。本当に文字通り最後のところで止めていた。新しい守護神の登場でした。

左SBの光永は「相手に回されることは分かっていて、チームとして取り切ることができた」と控えめに言う。しかし、右サイドで起点を作ろうとする岐阜の意図には、片山先発という当然の予想があったでしょう。そのなかで守備的にならざるを得なかったかも知れない今日の光永。この先発起用は、けっこうこの試合の勝敗を左右したポイントだったかも知れない。それが清川監督の意図(スカウティング)だとしたらさすがです。

若いメンバーで固めたなかで、最年長の巻が決勝点を決めたことがうれしいし、意味が大きいですね。同点にされたあとも意気消沈しなかったのは、この人がキャプテンマークを巻いてフィールドで鼓舞し続けたせいではないでしょうか。そのうえで決勝点という仕事までこなした。

正直課題は残しました。試合のクローズの仕方には大いに問題がありましたし、肝を冷やしたアディッショナルタイム、まさに綱渡りの辛勝と言えました。GK野村と新たに作り直す連携といつぞや書いたとおり、ようやく勝ち取った1勝でした。

そういう意味では互いに”途上”のチーム事情のなかで岐阜に競り勝ったこの試合。貴重なこの勝ち点3は、前節から繋げ、そして今後につなげなければいけない”内容”を伴った勝ち点3だと思います。順位は19位から18位にひとつ上げました。

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