7月8日(土)
【J2第22節】(Ksスタ)
水戸 2-2(前半0-1)熊本
<得点者>
[水]内田航平(83分)、山村佑樹(89分)
[熊]安柄俊(25分)、グスタボ(90分+5)
<警告>
[水]佐藤祥(62分)
観衆:4,306人
主審:清水修平


主審から示された後半アディッショナルタイムは4分。DAZNの画面に示されるTAG Heuer社の時間表示ではもう残り十数秒しかない時間帯でした。

その前の10分足らずで、同点、更には逆転に持ち込んだ水戸が、あとは時間を消費するだけのプレー。86分に交代で入ったグスタボが、ここまでボールを一度でも触ったかどうかと思っていました。けれど、そんなグスタボがアタッキングサードに入るところでボールを貰うと、躊躇せずに足を振った。シュートは実は枠外にはずれていたんでしょうが…。しかし、水戸のDF・細川の足に当たって角度を変えると、ゴールの右に吸い込まれます。スピードがあったればこそのグスタボのゴールで、熊本が同点に追いすがり、そのまま終了の笛を聞きます。まさにラストワンプレー。記録上もオウンゴールではなく、間違いなくグスタボのゴールとなりました。

前節の岡山戦での敗戦で、5連勝13試合負けなしというチーム記録が途絶えた水戸。しかし、この好成績ゆえに7位につける。この試合に向けても、「(熊本は)監督が代わってシステムが変わったが、天皇杯でやっているのでやり方はわかっている」と、西ヶ谷監督は豪語する(DAZN)。

それは、熊本は3バックで来るということはわかっていたということも含まれているのでしょうが、それでも水戸は4-4-2で、あえてミスマッチを選びました。そして、熊本は「勝った試合のあとはいじらない」というセオリーどおりのスタメン。

20170708水戸

水戸の強力2トップ。高さの林と、速さの前田をどう抑えるかという”局面的”な課題もありますが、前回対戦時は、ボールの出どころ、ボランチの橋本なりを自由にさせすぎたという反省もあります。

開始からアグレッシブに押し込んできた水戸の攻撃を凌ぐと、熊本もボールを持てるようになる。水戸の守備は、前線から来ると思えば、あるいはセットして構える。その守備を熊本は2人、3人のコンビネーションで崩そうと仕掛ける。水戸は奪うと、中盤を省略して前線の前田を走らせる。そんな展開。

試合後、敵将・西ヶ谷監督は「前半が悪すぎた。それに尽きる」(DAZN)と答えるのですが、前線からハイプレスで行くのか、セットして構えるのか臨機応変に変更しているのは、前回対戦のとき熊本が「前半は暑さもあって、全部行ってたらもたないので、ある程度持たせてから行くということでやっていた」(植田)と言っていたことにも似ているようでもあり。ただ、ボランチの橋本、内田を使わず前線に放り込むばかりの戦術は、熊本にとって対処のしやすさがありました。

25分の先制の場面は、水戸のスローインから。プレスを嫌がった水戸がバックパス。Pエリアでもたつくところに安が果敢に走り込んだ。それを水戸DFが引っ掛ける。与えられたPKを安がきっちりとゴール左に沈めて、熊本が先制します。

水戸ももちろん黙ってはいない。すぐあと、内田のスルーパスに抜け出したPエリア右からの佐藤のダイレクトはシュートだったかクロスだったのか。GK畑も触れず、飛び込んだ前田も合わず。ゴール左に抜ける。

池谷監督になってからの新システム、新布陣で、CB中央の村上がキーマンだと書きました。「持ち上がったりパスを散らしたり、最後尾からタクトを振る。」(2017.07.03 東京Vに完勝。)と。しかし、この試合を観ていて思ったのは、本当に特筆すべきなのは敵のプレスに物怖じしない彼のボールキープ力なのですね。だからこそ、次のプレーに繋がるのだと。

その連動効果で、ボランチの上里のプレー振りがいい。WBの黒木、光永にピタリと付ける大きなサイドチェンジのパスで、実況のアナウンサーを唸らせます。ようやく池谷監督になって上里のよさが目だってきたようですが、これも最終ラインの村上、そして相方の上村とのコンビネーションと思う。パス成功率92%というすごさで貢献します。

しかし、39分には水戸が右からアーリーで入れると前田が収めて前を向こうとするところ。追い越してきた湯澤が奪うようにボールを拾うと強烈シュート。けれどシュートはバーに嫌われる。運も味方してきた熊本。前節のようです。

後半、水戸は3バックに変更します。折り返しを迎えたリーグ戦。相手が前回対戦を踏まえて”リアクション”した戦術で向かってくることに対して、「更にリアクションして応じる」と答えていた水戸の西ヶ谷監督(DAZN)。この試合でも、すぐに”Re・リアクション”を示してきた。

前田がワンツーで右サイドを抜けてエリア内。キックフェイントを加えて撃つが右サイドネット。

熊本は一方的に凌ぐ。しかし、前節ヴェルディ戦も簡単にクリーンシートが得られたわけではない。苦しい時間帯は長かった。その時間帯を凌いだ。その経験は生きている。

水戸は二枚代え。橋本を下げるのは嬉しいが、難敵・船谷が入ってくる。水戸の波状攻撃を撥ね返し続けるものの、少し足が動かなくなってきているのは明らかに分かる。それでも残り10分を切った、そんな時間帯でした。

水戸の左CK。白井のファーへのキック。内田が走りこんでヘッドが突き刺さる。同点。マンツーマン・ディフェンスのはずが、外されていました。

「終了間際の同点!」。と、この試合をまとめようとしている実況アナウンサーに対して、「終了間際というには早い。まだ見どころがあると思います」と言い切ったのは、この日のDAZNの解説の川端氏。まさしくこの後の試合展開を予測するようでしたね。熊本は、八久保を下げ、勝ち越し点をグスタボに委ねる。

しかし、水戸の攻勢は収まらない。89分、左サイド奥に船谷を走らせると、エンドギリギリから折り返し。中央、DFのリフレクションを右で拾った山村が素早く撃つ。ゴールネットを揺らして水戸が逆転します。

すぐに後半アディッショナルタイムに突入。水戸の選手も、サポーターも誰もが、勝利を確信していたことでしょう。水戸は時間を使うプレー。あとは終了のホイッスルを待つのみ。

ところが、AT4分。最後のドラマ。冒頭に書いたシーン。しかし、敵DFに当たって入ったゴール、これを”奇跡”と言ってはいけないでしょう。「シュートは打つべきだ」「打てば入るシュ―トがある」。前節に書いたとおりだと思います。

まるで勝ったように喜ぶ熊本のベンチ、そしてサポーター。対して水戸の選手たちは皆、下を向く。手に入れようとした勝ち点3が、1に終わったダメージはことのほか大きい。

”連勝できなかった熊本”、そして”連敗しなかった水戸”なのですが、それぞれの意味の重さは、皮肉にも逆のような気がします。

一時は、連勝で勝ち点3を手にしようとしていた熊本。しかし、この引き分けに関して指揮官は「最後よく追い付いてくれました。勝点1を持って帰るのをよしとしたい」と(リーグ公式)。

「逃げ切る意識が働いたのか、受けに回って、かなりの圧力を受けて失点を重ねて」しまったとも言う池谷監督。「課題であるセットプレーで失点して」しまった。「交代の選手の確認も次に改善しないといけない」と。

とりあえずドローに追いついたことは喜びたいが、「まだまだ修正すべきところ、課題が多い」(DAZN)というのが池谷監督の感想のようです。チームはまだまだ進化するのだと。

「勝ち点1を持って帰るのをよしとしたい」。それは、この試合展開のなかでも、そのとおりなのですが。19位で順位は変わらないまま、18位の岐阜との勝ち点差は実は、引き分け試合の差でしかないという事実を再認識すると、本当に今節は貴重な引き分け、勝ち点1を積み上げたのだとも思えるのです。

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