【J2第23節】(えがおS)
熊本 1-0(前半0-0)千葉
<得点者>
[熊]黒木晃平(63分)
<警告>
[熊]上村周平(16分)、黒木晃平(38分)
[千]熊谷アンドリュー(90分+4)
観衆:5,692人
主審:吉田哲朗


いやぁ、色々と身体に悪いゲームでした。うだるような暑さのなか軽い”熱中症”かと思うほど頭の芯に痛みを感じる一方、先制点を奪ったものの、度重なる相手のセットプレーに、胃も痛むという。

まあ、それもこれも、勝利が全てを吹き飛ばしました。これで今シーズン千葉に対しては、1勝1分の勝ち越しです!

3日前の天皇杯浦和戦をターンオーバーで凌いだ熊本は、その中から3バックの一角に小谷をチョイス。その後の選手交代でも、浦和戦での実戦経験が選手起用に生かされることになります。

対する千葉は、熊谷アンドリューをアンカーに置いて、前線には指宿とラリベイ、少し下がった位置に清武という布陣。これについて池谷監督は試合後、「若干、メンバーが予想と違ってややこしさがあったんですけど、うまくオーガナイズできた」(熊本蹴球通信)と、勝因を語っています。

3連勝中の千葉は、混戦の上位陣のなかにあって下位相手に取りこぼせない。試合前のエスナイデル監督は、熊本に対して「前回対戦とは違った印象。攻撃的に来るだろう」と予想していました。

20170716千葉

そのとおり。開始早々左サイドを崩すと、光永がクロス。ファー黒木のシュートはDFにブロックされますが、こぼれ球を今度は左から八久保、抑えの効いたシュートを放つ。しかし、これは千葉GK・佐藤がパンチングで防ぎます。

今節の熊本は、無理して中央を縦パスで通すのではなく、高い千葉のSBの裏のスペースに、パス交換やサイドチェンジで、黒木、光永の両WBを走りこませる狙いのよう。一方の千葉は、身体能力の高い指宿にボールを収めて、そこにラリベイや清武を絡ませる。

千葉のセットプレーが徐々に増えてくる。16分頃の中央からのFK。距離はあったものの清武のキックは、得意の無回転ブレ球。ゴールバーの手前で、スッと落ちましたが、畑がクリア。ナイスセーブ。

ただ、一方的に千葉に押し込まれていたわけでもない。両者球際厳しく、攻守の切り替えの早い、観ていてスリリングな展開。24分頃には、黒木のクロスがDFに当たってバックパスのようになるところを、ニアにいた安が強引にダイレクトで撃ちますが、これもGK佐藤が好反応でクリアします。

前半終了間際には、中盤のプレスからこぼれたボールを安が拾って持ち上がる。左から上がった上里もフリーでしたが、ここはストライカー心理。強引に撃つもDFにブロックされます。

「後半、体力勝負になってくる。どれだけ相手より勝ちたい気持ちを持ち続けれるかが大事」(公式)と、後半選手たちを送り出した指揮官。この亜熱帯のような暑さのなかで走り負けないよう、選手を鼓舞した。「相手のリスタートに絶対負けないこと」も加え。

それに応えるように、むしろ前半以上に千葉のDFラインでのボール回しにハイプレスを掛ける。いや、これは後半特に指示されたのかも知れない。これが後々ボディブローのように千葉を苦しめることに。

長く続いた千葉のCKやFKを、粘り強く凌いだ熊本。まずは60分頃、前線からのプレスを嫌がったキム・ボムヨンの横パスが、まるでクロスのようになり、八久保が頭から飛び込む。これはゴール左にそれますが、スタジアムは大いに沸きます。

すると63分、最後列の園田が右奥へ送った長いパス。千葉・乾がカットするも、猛然とプレスを掛けてきた黒木が視野に入ったのかGKへのバックパスが短い。躊躇せずそのままスピードを緩めなかった黒木。Pエリアまで侵入し、そのボールを奪うと、落ち着いてGKも交わして、無人のゴールに流し込みます。

総立ちのスタンド。暑さも吹き飛ぶ。

この熊本の先制点と前後して、千葉もベンチワークを始めますが、解説の小林氏が試合後言うように、千葉側は「時間さえあれば、いつか点は取れる」という楽観があったかも知れませんね。それほどの得点劇をこれまで演じてきただけに・・・。

指宿に代えてホルヘ・サリーナス。高橋に代えて羽生。町田には船山。もちろん代わって入った選手も曲者ではありますが、それまで手を焼いていた選手たちを”選ぶように”引っ込めてくれて、熊本にとってはラッキー。

それに対して熊本は、全体的に足が止まり始めたとみるや、まず中山に代えてシャドーの位置に三鬼を入れた。上里が足を攣ると無理させず、林をシャドーに入れて三鬼をボランチに回す。これによってチーム戦術も、バランスも維持した。浦和戦が活きましたね。

たびたび襲うセットプレーのピンチも、池谷監督になって変更したマンツーマンによって、責任持って身体を寄せて、相手に自由に撃たせない。「コーナーキック、リスタートの数が多かったので、それだけがちょっと不安材料ではありましたけど、多かった分、みんなが集中できたのかな」(熊本蹴球通信)と、試合後指揮官も言う。

何度もゴール前で敵と交錯し、痛みながらもボールを放さないGKの畑。安定感が備わってきた。

残り時間が少なくなって、千葉はDF近藤を上げてパワープレイ。熊本の最後のカードは、この日Jリーグ400試合出場のセレモニーが行われた巻。やはり”仕上げ”はこの男。4分と示されたアディッショナルタイム、ロングボールに抜け出そうとして熊谷に倒される。いや倒させる。古巣の千葉をイラつかせる。憎らしいほど頼もしい。

時間を考えたのでしょう。安のこのFKが大きく右に枠を外れると、終了の笛。DAZNの画面では監督を含めたベンチのコーチ陣が円くなって抱き合い、喜び合う姿がありました。試合後すぐのDAZNのインタビューで池谷監督は、「スカウティングがはまった」と言って、コーチ陣を褒め称えることを忘れませんでした。

攻撃力、得点力を自負する千葉を相手に完封です。しかも、苦手としていたセットプレーが続いていただけに、終始ドキドキさせられました。この勝利で熊本はホーム2連勝。勝ち点が22となり、前日の勝利で山口に抜かれていた順位も再び逆転。なにより降格圏の2チームとの勝ち点差を9に広げることができました。

ハードワークの勝利でした。そのハードワークのベースにあったのは、「どれだけ相手より勝ちたい気持ちを持ち続けられるか」でしたが、この試合を観ていると、選手たちがハードワークを苦にしていないように見えた。なんだかまるでそれを楽しんでいるようにも。

「だいぶ変わってきていると思います。また、そういうなかでああいう結果、ああいうシーンが生まれることによって、彼らが走ろうという気になっていくと思うんですよね。成功体験ができたということはすごく良いことだ」。得点シーンを交えながら、そう指揮官も言う。

もはや熊本だけでなく日本中が猛暑のこの列島。この熱い季節をこの戦術で戦い抜くことは大変なことだと、例年思うことなのですが、まずはこの”成功体験”を持ち続けたい。次節は降格圏内の群馬と再戦ですが、ゆめゆめ前回のような不覚を取らないよう。「順位は今、自分たちが上ですけど、チャレンジャーとして戦いたい」「自分たちらしく、アグレッシブにプレーすることが大事」。今日の無失点勝利に貢献したCB村上がそう言うように。ですね。

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