今週の熊日の連載3回シリーズ。首藤マネージャー、高部、福王のインタビュー構成でしたが、印象的だったのは首藤マネージャーの言葉でした。

「熊本にJリーグチームを」に代わる目標が見つからない。県民運動は社会を変える運動。そのチームの原点を忘れたら、ロッソはただの貧乏クラブ。奮い立たせる「旗」を立てて欲しい...と。

まさにJリーグ33チーム中、やはり33番目のポジション(=新参者の貧乏クラブ)であることだけは間違いないですね。いつも志を確かめながら進んでいかねば...ということでしょう。

来期からJFL昇格する北九州。市長からは3000万円の支援金継続と国際基準の新スタジアム建設構想が表明されるなど、一気に加速してきているようです。街のパワーからすれば当然ですが、でもこれはすごいですね。思えばロッソも、九州リーグ時代に破格の1億5千万という予算を確保し、”金満チーム”と揶揄されましたが、以前指摘したとおり、JFL時代確保した3億弱という予算は、リーグ中、中位の規模ではなかったかと・・・。そしてJ2参入が叶い、見回してみると最低レベルの予算規模。一気に”貧乏クラブ”と呼ばれる立場の変化に気づかされます。

さて、ストーブリーグの真っ只中。まさに本物のリーグ戦の様相でもあります。これもまた、戦力(クラブの資金力)と戦術(クラブのビジョン)の戦い。そして移籍市場という外部での戦いだけでなく、チーム内(契約更新)でもそれは激しさを増しているようです。

例えばJリーグトライアウトに関しても、確かにこれまではJリーグ移籍市場が納まってからというカテゴリーの順番待ち、時期のハンデはあったものの、「一緒にJに行こう。Jのステージに戻ろう」という殺し文句があった。ところがJに上がった今、順番待ちではなく、一気に同時期の同市場で他クラブと戦わなければならない。新参ものの一貧乏クラブが示せるものは何か?宮崎光平(鹿本高校⇒広島⇒福岡)が福岡から放出されても・・・

そんなとき、われわれだったら、選手をどう口説くのか。ビジョンは? 県民運動をどう理解し、こんなチームになりたい。どんなチームをめざす、と言うのか。

まず、ロッソの特徴のひとつとして挙げられるのは、先の元徳島GM氏も指摘したように、有料入場者の多さではないでしょうか。これまでのJFLの感覚では、観客はせいぜい数百人。アルエットのJFLホーム開幕戦で千人ちょっとの入場者数があって、かなり大きな数字だったという感覚がありました。

これまでのJFLからの昇格組で、当初から数千人という有料入場者があるモデルは恐らくロッソが初めてではないかと思います。今期10月20日ホンダ戦の有料入場者数四千数百人がJFL記録(チーム筋)と言われたように、コンスタントに三千人程度の有料入場者数があるというのはかなりな財産だと思います。(もちろんそれでも、ロッソの見え方=メディア露出はとんでもない高いレベルにあるので、これとクラブの実態とのギャップは大きなものですが・・・。)すでに決算として出ている昨シーズンのロッソの入場料収入が3600万円。ちなみにこれはホーム17試合での数字。1試合あたり約200万円。どうでしょう、今シーズンは1試合あたり250万円はいっているでしょうか。そうすると今期の入場料収入は4250万円。これはJ2の水戸、徳島、愛媛と比較してもあまり遜色のない数字です。

そうなんです。入場料収入の比率の高い、スポンサー収入に偏らない経営。これがロッソのひとつの目標ではないかと思います。例えばJ2の場合、その比率平均は17%くらい。それを20%以上にできれば・・・。そしてさらにそのなかでも、シーズンチケットで支えるというモデルを掲げていくべきだと思います。これこそ安定経営の切り札ではないかと。以前、上保事業部長が「おカネを払って来ていただくことが何よりの支援です」と発言したように、これこそ県民運動。来期ホームゲームは21試合。雨の日や平日開催も考えれば、当日の入場者数だけではどうしても収入見通しを立てにくい厳しさがあります。またチケットの単価も上がります。家族連れでいけばまとまった出費になるでしょう。なによりスカパーでの中継は最大の競合相手になることが想定されます。

イングランド・プレミアの場合総座席数の約60%がシーズンチケットに充てられると言われています。まあこれは極端なケースですが、ロッソの場合もシーズンチケットを平均単価2万5千円で4千枚売れば、とりあえず1億円になる計算です。仮に6億の予算だとすれば比率は16%・・・。ひとつのモデルとして、J2時代から甲府は23~28%の入場料収入比率。

シーズンチケットホールダーになることこそチームを支える第一の手段ということがファン常識になればいいですね。何より、われわれファンレベルで友人、知人を、あるいは職場で勧誘活動ができるネタでもあります。それにクールなチケットケースとかがセットになっていると嬉しい。あるいは日常的にもホールダーであることが実感できるようなピンバッジとか...と言っても時間がない。スケジュールはJFLより半月以上前倒し。実に待ち遠しい。

もうひとつ、上保事業部長の以前の発言で「今後もより地域に密着したクラブ運営をめざしたい。地元出身選手の獲得、育成を積極的に行うなど。」と育成型、地元密着型のクラブビジョンがはっきり示されました。今期も先発11人中6人が地元出身者だった試合がありましたが、Jリーグに上がったことで、少し落ち着いて若手の育成型に取り組めるということもありはしないでしょうか。今期のルーキー山内と西森は、貴重な即戦力となり、彼らの活躍がわれわれをJリーグに連れていってくれたと同時に、彼らをJリーガーにすることができました。

熊本は有数のJリーガー輩出県であると思いますが、地元にJリーグチームが出来たことによって、より以上に、若手の育成の裾野が広げられることになったと。まだまだ伸びしろのある若手の育成を続けていけば、それがいずれチームの力になり、チームの魅力になり、また移籍市場を賑わす好循環が生まれてくるのではないかと思うのです。

なんだかとても地味なビジョンになってしまいましたが、クラブワールドカップを横目にそんなことを思っていました。(首藤君を奮い立たせることも、魅力的な選手を口説くことも到底できませんね。)でも、ロッソがどんなクラブになっていくのか、育てていくのか。応援したくなる“魅力”をどこに見出すのか。これからもっともっと知恵を絞っていかなくてはと思います。甲府という一度倒れかけたクラブのJ1へのチャレンジは、その他のクラブを勇気づけ、夢をもたらしました。おそらくわれわれが目指す先も、Jリーグ創設メンバーの多くの財閥系チームではなく、新潟や大分、そして甲府といった後発市民チームなのは間違いないでしょう。

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