今年ほど天皇杯に興味のない年もありませんでした。もちろんロッソがJ参入の一か八かの年だったせいで、リーグ戦以外には興味がわかなかったのです。
しかし、今日のホンダ・鹿島戦。JFL代表のホンダの奮闘にはちょっと興奮しましたね。一人退場になるまでは、全くどっちに転んでもおかしくない試合展開。熊本出身の吉村の途中投入後は思わず手に汗を握り見守りました。
明日はKKウイングでFC東京・広島戦。来期戦う広島のスカウティングを兼ねて足を運ぶ予定です。

さて本題。今週のサッカーダイジェスト、恒例のセルジオ越後氏の「天国と地獄」という連載で、ロッソが扱われています。ある意味、非情に手厳しく・・・。
要旨は、来期J2に熊本と岐阜の2チームを昇格させたが、Jリーグは安易にチーム数を増やすことを優先していないか?という意見。
まず岐阜については「今年10月の理事会では経営面の課題を厳しく指摘されていたはず。(中略)かなり無理をして間に合わせただろうことは想像がつく」。と指弾し、熊本についても「今期2位に入ったものの、1位の佐川には勝ち点14もの差をつけられている」として成績面を問題視、「そんな彼ら(2チーム)がJ2に参入することで、J2全体のレベルがどうなるのか、心配・・・」と評しています。
セルジオ氏の矛先はあくまでJリーグ本体。「基準を満たすお金さえかき集めれば、経営や強化に無理が生じてもかまわないというJリーグ姿勢の表れ」といい、また「強化よりも興行、それもクラブではなくJリーグ自体のための興行が優先されている」と糾弾しています。
そして彼の提案は「例えばJ1が14チーム、J2も14チーム、J3も14チームの計42チームの3部リーグ制。」として、「下にいくほど、スタジアム規模や運営費などのハードルを低くする」と具体案を示しています。

基本的にキリンカップの”名誉解説者”ともいえる氏の立場は、日本サッカーそれも特に日本代表の”ご意見番”にあります。それゆえ現状のチーム拡大路線が、日本サッカーの「強化」に繋がらないと見えているようです。Jリーグの標榜する百年構想や、地域密着構想などはあまり感心がないように見えます。
J3までのチーム数構想も、長期的視野での理想形では賛成できる面もありますが、現在はまさにそれに向けた過渡期のような気がします。

一方で全く視点の違う人のインタビューを今発売中の「サッカー批評」で見ました。FC岐阜の今西GMです。もちろん当事者という立場と、”ご意見番”という立場の違いが明確すぎますが・・・。

岐阜の今西さんについては、実はわれわれあまり詳しい認識がなっかったのですが、この同時昇格を機に色々調べてみて、その経歴に恐れをなしました。
東洋工業に所属し日本代表でも活躍した現役時代のこと。Jリーグ創設期、取締役強化部長兼・総監督としてサンフレッチェ広島を作ったこと。フランスW杯アジア地区最終予選途中での加茂周監督更迭、岡田武史コーチの昇格に関与したこと。日本サッカー協会技術副委員長などの要職を務めたこと。、大分トリニータや愛媛FCの創設にアドバイザーとして参加したこと。などなど・・・
そんな人が三顧の礼で、岐阜に迎えられているということ。

「私は長いことサッカーのおかげで多くの経験を積み、いろいろなことをやらさせていただいた。」
という今西氏。広島における自分の役割は終わったと感じていた。しかし「まだサッカーから受けた恩には報いきっていない」という思い。そんなときに岐阜からGMの話があったのだという。
そこにはもちろん、故郷にクラブを作りたいという森山の情熱があり、単に興行としてでなく、人を育てる、地域を活性化させるためにサッカーを役立てたいという今西氏の強固な信念があった。
それが岐阜県知事をして破格な協力姿勢を敷かせ、同郷のJリーグチェアマン鬼武氏から満幅の信頼を勝ち得たと思われるのです。

サッカー批評で彼はこう述べています。
「ここに来るまでは、実はFC岐阜の経済的な状況などは何も知りませんでした。」
ただ
「これに文句を言ってもしょうがない。本来自分の役割じゃないはずの金集めに奔走するんしかない。他にやる人がいませんからね。」
しかし、今後の経営に関しての言及では
「今までの経営状況はひどかった。今後は収入に見合った支出しかしない。選手ももっと安く確保するにはいくらでも方法はある。私にはノウハウがあります。」
「地域に根ざしたいろいろな活動はあとまわしではなく、並行していかなくてならない。勝負ということになればやっぱりお金があるチームが勝つ。でもお金がないクラブでも工夫すれば新潟くらい観客が集まるんです。あそこまでいかなくても2万人、2万5千人くらい集まれば予算は20億を超えますからね。そうすればJ1でもやっていけるんです。」
「いかに観客を増やすか。市民県民をいかに味方につけるか。それが地方クラブのキーポイントだと思うんです。」

なんだかロッソ熊本が標榜していることと言葉自体はそうそう変わらないのですが、今西GMの頭のなかにある”次元”と差があるような気がしてならないのは、単に彼の経歴がそうさせるのでしょうか・・・。
FC岐阜。サッカーの中身だけでなく、今後もなかなか侮れないクラブなのだと思います。

ひるがえってセルジオ越後氏との対比。それは日本サッカー界に対して、それぞれがこれから果たそうとしている責務、そしてそれぞれの立ち位置の違いといえばそれまでなのでしょうが。
それにしても”ご意見番”や”評論家”というのがいかにお気楽な立場なのかをつくづく感じ入ってしまうのです。
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